第180回松戸市陸上競技記録会は、2016年12月23日(祝)に千葉県松戸運動公園で開催され、筑波大学からは5000mと1万mで15名の学生が出場した。天候が不安定で風が強いコンディションの中を、最終組で森田が1位になるなど、1万mに出場した10名のうち6名が自己記録を更新し、チームの平均タイムを大幅に短縮させた。目標としている「来年の全日本大学駅伝・予選会出場」をぐっと近寄せ、笑顔が溢れるチームのムードはさらに高まっていきそうだ。
1万mの1組目には、1年生の齋藤が登場。トップの二選手が飛ばしたために、終始離れた3番手をポツンと一人で追走することに。強風が吹く悪条件の中、苦しい表情を時折見せながらも最後までペースダウンすることなく、31分28秒で走破し、目標としていた31分40秒をクリアした。齋藤の幸先の良いスタート(走り)が皆の勢いをつける役割を果たしたかのように、その後の筑波大勢の快走が始まる。
2組目でトップでゴールしたのが1年の藤田。中距離タイプと思われていたが、夏の走込みの成果が出始めたのか、日体大記録会での5000m大幅自己新に続き、この日も大幅な自己記録更新となった。後半は独走となったが、一人で大きなストライドをキープして しっかり走りきったところは、フロックでも何でもない。今後の期待は膨らむばかりである。
川瀬と中川も30分台を目指したが、後半に失速してしまった。ただ、二人とも自己ベストを更新。とくに川瀬は、僅かな自己記録更新ではあったが、今年出場した13レースのうち、なんと10レースで自己新記録をマークしたことになる。伸び盛りということもあるが、本番に強いセンスは特筆ものである(さすが医学部である:笑)。中川は、練習での調子を全く発揮できず、自己新記録でも この日の走りには満足できるわけがなく、来年の飛躍を誓っていた。
見ごたえのあるレースとなった3組目には、吉成と河野、武田、村上、池田が出場。最初の1000mを2分56秒とやや速い入りだったが、少しずつペースが落ち、5000mの通過が14分59秒。そこからペースの上げ下げがあり、先頭集団の皆がペースを維持したいと思いながらも、1000mあたり3分2~3秒くらいのペースになってしまった。29分台を狙っていた4人は、さすがに厳しいと考え、8000mから吉成が引っ張り、8800mから河野が前に出てペースを上げようと試みるが、急激なペースアップはできず、9000mの通過が27分11秒では万事休す。最後の1周を65秒でカバーしたが、30分05秒まで上げるのが精一杯だった。
レース後は、30分を切れなかった悔しい気持ちと自己新記録の喜びとが交錯する複雑な表情を見せながら、この組の3人(河野・武田・村上)で1万mの記録を合計80秒短縮したことに対しては素直に喜んでいた。そこにはチームプレーがあったからだ。吉成と河野が、走りながら武田や村上に声を張り上げる。「4人で最後までいくぞ!」と。村上は離れそうになりながらも、二人の叱咤激励に応え先頭集団に食らいついた。結局、ラスト1周まで4人で先頭争いを繰り広げ、武田が21秒、村上が37秒の自己記録更新を成し遂げた。また、この3人(河野・武田・村上)は、関東インカレ(ハーフマラソン)の標準記録も突破。その種目を目指すかどうかは別として、出場資格を獲得できたことも大きい成果となった。
最終組となる4組目には、森田が出場。森田は、予選会後から3本の記録会を消化し、5000mと1万mともに大幅に自己記録を更新してきた。本来なら休養して冬季トレーニングに入るところだが、新ブロック長になった森田は「出場すること」を選択し、練習も皆と一緒に取り組んできた。そして、この日は「記録よりも勝負にこだわりたい」とレースに臨んだ。そこには理由がある。森田は千葉県柏南高校の出身で、松戸運動公園までは15分程度という場所で生まれ育った。つまりは「地元開催の記録会で元気な走りを見せたい」という想いがあったわけである。
5000mまでは様子を見ながら2~3番手を追走したが、5000mの通過が14分57秒となっては、自己記録更新は難しい展開である。そこから前に出て3000mほどを1周71~72秒で引っ張った。8000m過ぎに中央学院大の選手がスパートし ペースが急激に上がったが、難なく対応し、ラスト1周を62秒でカバーして、29分44秒で走破した。終わってみれば、自己記録まで18秒ほど及ばないタイムになったが、「たくさん応援してもらい、1位でゴールできて嬉しい」と目標通りのトップゴールを素直に喜んでいた。
第180回松戸市陸上競技記録会1万mの結果
組 | 順位 | 氏名 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | 3 | 齋藤零司 | 31’28″43 | PB |
2 | 1 | 藤田黎士 | 30’44″49 | PB |
4 | 川瀬宙夢 | 31’08″58 | PB | |
17 | 中川 凛 | 32’00″84 | PB | |
3 | 2 | 河野 誉 | 30’05″15 | SB |
3 | 武田勇美 | 30’05″21 | PB | |
6 | 吉成祐人 | 30’08″22 | ||
7 | 村上 諄 | 30’09″66 | PB | |
17 | 池田 親 | 30’59″76 | ||
4 | 1 | 森田佳祐 | 29’44″14 |
PB=自己ベスト / SB=今季ベスト
全日本大学駅伝・予選会に出場できるのは、シード6校を除く20校のみで、それは、各チーム上位8人の1万m平均タイムで決定される。記録会前は、筑波大学は推定22位となる30分10秒だったが、記録会後にはタイムを30分00秒に短縮し、推定順位を21位と一つ押し上げた(4年の勝谷を入れると29分54秒になるが、卒業なので含めない)。現在の20位のタイムは、推定29分56秒だが、他大学も記録を伸ばすことを考えると来春には29分50秒まで到達しないと厳しいだろうと言われている。一人当たり、あと10秒の記録向上が必要な計算。この10秒の短縮が大変であることは確かだが、もう目の前まで迫っているのも また確かで、学生のモチベーションが俄然と高まってきた。
現在の1万mの資格記録(2016年4月1日~)
氏名 | 学年 | 資格記録 | 参考記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|
森田 | 3 | 29’26″11 | 29’26″11 | |
才記 | 4 | 29’35″89 | 29’35″89 | 進学 |
勝谷 | 4 | 29’51″74 | 卒業 | |
金丸 | 1 | 29’58″14 | 29’58″14 | |
吉成 | M1 | 30’02″54 | 30’02″54 | 大学院 |
河野 | 3 | 30’05″15 | 30’05″15 | |
武田 | 3 | 30’05″21 | 30’05″21 | |
村上 | 2 | 30’09″66 | 30’09″66 | |
池田 | 1 | 30’42″73 | ||
平均 | 8名 | 30’00″67 | 29’54″30 |