第10回東京・赤羽ハーフマラソン大会は、1月20日(日)に東京都北区の荒川河川敷コースで開催され、筑波大学の学群生と学院生の10名が出場。箱根駅伝予選会の経験者以外は、ほぼ初めて走るハーフマラソンとなった。昨年の箱根駅伝予選会を走った学生では、川瀬と杉山が自己新。大学対抗戦では10校中6位だった。
この冬は「ロードレースにも積極的に出場しよう!」を合言葉に、3月までに複数のロードレース(10km~フルマラソン)に多くの学生が出場を予定している。この日は、その第一弾の東京・赤羽ハーフ。快晴の微風という気象コンディションに恵まれ、大学対抗戦も組まれることから、学生の気持ちは高鳴るはずだが、ほとんどの学生が「自分がどんな走りができるのか?」期待とも不安とも分からない感情に支配されながらの参加となった。
というのは、この大会に向けて、一切の調整もかけていないからだ。新年になってトレーニングが開始されると、サーキットトレーニングやウェイトトレーニング、動き改善練習など、様々な練習が加わっている。はっきり言って、身体の中は様々な部分で壊されていたに違いない。つまりは学生自身が「自分のカラダがどうなっているのか」を把握できない身体の状態であったことだろう、と推察される。
それでも出場するのは、「10月の箱根駅伝予選会を睨んでロードのハーフマラソンの経験を積むこと」に目的があるからだ。タイムは関係ない。「ロードの走りや距離に対するカラダの反応を知ること」が最大の目的。学生それぞれが、おおよそのペース配分の目処を立てて走り出した。
その目論み通りに走れたのは、川瀬と杉山、植田の3名だけ。他の学生は、中間のリズムがまったく取れず、かなり苦しい走りになったようだ。思うような結果が出せた3人は、レース前から明確なイメージを作って臨んでいた。やはり、身体の状態からレースのイメージが描けた者が、それを具現化できるということなのかもしれない。
しかし、下のコメントにあるように、それぞれの学生が“何か”を得ていることは明らかであり、それを今後どう生かす(活かす)かを己に問うことが求められる。
〇大土手のコメントから
「フリー明けに体調を崩してしっかりと練習が出来ていたわけではなかったので、タイムは遅かったですが、今すべき走りは出来たのではないかと思います。前半はリズムが作れず、かなりきつい走りとなりましたが、後半は追い風だったこともありペースを維持することが出来ました。2回目のハーフでしたが、まだまだ身体が作れておらず、脚もハーフに耐えられるものではないと痛感しました。学生ハーフに向けてやるべき事はイメージ出来たので、これから行動に移していきたいと思います。」と大土手がレースの振り返りで語るように、この経験をしたからこそ今後に向けて何かを掴んだはずだ。
〇杉山のコメントから
まずまずの走りをした杉山のように「予選会での失速があったので、どんなに余裕があっても折り返しまでは絶対にペースを上げないと決めていました。その為トータルタイムは少し遅くなりましたが、後半の10キロで1度も3分10秒を超えなかったことは収穫だと思います。調整期間も設けず、走行距離をあまり落とさず、疲労はピークの状態でしたが、その中でも66分台でまとめられたので、とてもいい練習になりました。学生ハーフに向けては、しっかり調整出来るので、64分台を狙って、どんどんカラダを作っていきたいと思います。」と3月に向けて基準ができた者もいる。
〇植田のコメントから
初めてハーフマラソンを走った植田は「ここ1週間は足の不安から練習が満足に出来ず、好記録はあまり望めない状態でのレースではありました。しかし初めてのハーフマラソンを経験して感じたことは、予想や練習時の感覚よりもはるかに長いということ。足の負担が大きく、雑に走っていると最後まで持たないということなど含めて、漠然としていたハーフマラソンに対するイメージを修正、補完できたという点ではかなり有意義なレースだったと思います。3月の学生ハーフに向けて、しっかり距離を踏んでいくとともに走り込みに耐えきる身体を丁寧に作っていきたいと思います。」と感想と必要な対策を述べている。
このように、今までは画策しなかったロードレースへの積極参加。試行とはなるが、この取り組みが良い方向に向かうのではないかという学生の反応であった。第1弾の東京・赤羽ハーフマラソンは、調整なしの“経験”という舞台に終わったかもしれないが、第2弾、第3弾と続く中で、学生たちがどのような成長を遂げるのか、大いに楽しみである。
レース後は、学生全員で『なないろスポーツフェスタ』のビラ配りをし、自分たちがホスト役を務めるイベント「なないろリレーマラソン」への参加を呼び掛けた。
なかなか受け取ってもらえず、苦労しながらも笑顔での配布。これも良い経験と嫌な顔も見せずに元気に務めを果たしていた。
第10回東京・赤羽ハーフマラソンの結果
順位 | 氏名 | 所属 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|
7 | 川瀬宙夢 | 医学・4 | 1:05:32 | PB |
15 | 杉山魁声 | 体育・1 | 1:06:50 | PB |
32 | 池田 親 | 体育・3 | 1:08:20 | |
35 | 山口航平 | 医学・2 | 1:08:24 | 初 |
48 | 田中蒼大 | 体育・1 | 1:09:10 | PB |
50 | 大土手嵩 | 体育・2 | 1:09:19 | |
植田 樹 | 理工・3 | 1:09:38 | 初 | |
吉成祐人 | D1 | 1:09:47 | ||
尾原健太 | 地球・2 | 1:13:50 | ||
薛玄太郎 | 体育・3 | 1:17:50 | 初 |