保田 教之やすだ のりゆき
【プロフィール】
筑波大学 昭和59年卒
大学在学時代は、「コーチング論」の研究をしながら、陸上競技に勤しむ
-箱根駅伝の成績-
<1年次> 8区 6位
<2年次> 7区 3位
<3年次> 3区 1位(区間賞)
<4年次> 3区 3位
-卒業後-
雪印乳業株式会社 陸上競技部で活躍
大学時代、金木犀の香りがするこの時期は走りがよくなった記憶があります。春は暖かい気候で身体が動くようになり、秋は夏場の合宿の疲れも取れ走れるようになったように覚えています。
学生の皆さんに応援メッセージと言っても、陸上競技を離れた私には「日々努力して頑張ってください」としか言えません。
ところで、今年の初夏に縁あって帝京大学駅伝部監督 中野孝行さんに会う機会がありました。その際、大学のトレーニング施設・グランドを案内してもらい、正直驚きました。トレーニング施設内に専門のトレーナーや管理栄養士が居て、アイシング機器や1,000万円以上する超音波の治療機器が数台、管理栄養士の献立による朝・夕食の食事、怪我の予防と怪我を早期発見して治療する施設が整っていました。
「これなら、選手も強くなるよな~」との私の問いに、選手の10,000mベストタイムは28分台が数名、29分台は当たり前だそうです。それでも帝京大学は、2016年箱根駅伝10位・・・。「タイムの速い選手はいるんですが、強い選手がいないんですよ」、「以前の方が強い選手が多かったですよ」と中野監督の返答でした。
では、「強い選手とはどんな選手?」
私なりに考えた答えは「本番に強い選手なのかな?」、監督の立場から考えると「本番で監督が予定しているタイム以上で走ってくれる選手」が強い選手なのでは・・・。監督が予定しているタイムとは、その時点で選手が持っている力を十分に発揮したときのタイムなのでは・・・。
それでは、「本番で今ある力を十分に出し切れる選手」になるにはどうしたらいいの?
これからは、私の経験知からの話しですので、参考になれば・・・
大きなレース一週間前には、調整期間を取りませんか? この期間が大事なのです。調整期間のトレーニング内容は個々いろいろあるでしょうが、私がお伝えしたいのは気持ちの問題です。この期間は「自分を信じることです」、人間は大切な場面で力を発揮しなければならないとなると、自然にそこに集中して力を出せるものなのです。人間の集中力を信じてください。
しかし、それを阻害するものが「調整期間の練習で身体が重い」「絶好調のときより調整期間の練習タイムが悪い」とか考えるマイナス思考なのです。マイナス思考に入っていくと、せっかく調子が良くても身体が本当に動かなくなっていきます。ある意味「開き直ること」が大切なのです。
誰も絶好調時の走りを求めていません。今できる最大の力を発揮すればいいのです。その力を発揮できる選手が、監督の考える強い選手なのでしょう。私は、自分の調整力を信じて調整期間に必ず調子は上がってくると思い、レースに臨んでいました。
この応援メッセージで、少しでも学生の皆さんが力を発揮してもらえれば、うれしく思います。
2016年10月5日
昭和59年卒業生 保田 教之