第98回関東学生陸上競技対校選手権大会は、5月23~26日の4日間にわたり、神奈川県の相模原ギオンスタジアムで開催され、大学の威信をかけた戦いが繰り広げられた。
中長距離ブロック・長距離パートからは7名が出場。レベルの高い男子1部では、筑波大学は依然として挑戦者の立場でしかないのが現状であるが、学生たちは精一杯に戦った。
中長距離ブロックとしては、男子1部800mで薄田が6位入賞、三津家が、男子3部1500mで大会新の優勝し800mで2位となった。男子1部3000mSCで川瀬が惜しくも入賞を逃す9位、1部男子競歩1万mで山本が10位と健闘した。
男子1部 1500m
相澤(理工3)と小林(体育1)が出場したが、ともに予選落ち。相澤は3分49秒台、小林は3分50秒台の記録を持つが、関東インカレは非常にレベルが高く、その程度の記録では、まったく歯が立たないことを予選から見せつけられた。
二人とも練習の過程で、足に不安を発症し、思い通りに練習を積めたわけではないが、仮に二人が万全の状態でも予選通過は難しかっただろう。毎年のことだが、この関東インカレでは「3分45秒以内の記録(走力)を有していないと予選すら通らない」そう思わせるほどのハイレベルな1500mになっている。
小林(体育1)予選2組9着 3’56”37
「自分の中では、どこかのタイミングで先頭に出て勝負したいと決めていたのですが、800m過ぎでそのチャンスがあったにもかかわらず、弱気になってしまい、中途半端なレースをしてしまいました。結果よりも弱気になり逃げてしまった事の方が悔しいです。レベルの高いレースを経験し、得たものは大きかったので、次は自信を持って自分のレースが出来るように練習していきたいと思います。」
相澤(理工3)予選3組8着 3’57”54
「位置取りは先頭に近かったもののスローだったため、悪くなかったと思いますが、そこからのペースアップに対応できませんでした。最後もスパートの途中で接触してしまって不完全燃焼でした。一度1500mの練習から離れて体力をつけて、また全日本インカレを目指したいと思います。」
男子3部 1500mタイムレース決勝
三津家(M2)優勝 3’53”20 大会新
自らレースを引っ張りつつ、最低限の目標として掲げていた「大会新での優勝」を達成。ただ、1周目を58秒で入り、少しオーバーペースぎみで失速してしまったことを本人は反省していた。ペースをコントロールする感覚の養成、後ろからまくられた時に反応し、そこから再度のスパートをかけることができなかったことを課題として挙げていた。上のクラスを目指して取り組んでいることがよくわかる。
男子1部 1万m決勝
池田(体育4) 39位 30’51”73
暑さが残る気象コンディションの中でレースは始まったが、強い選手たちには「そんなのは関係ない」と言わんばかりに速いペースでレースは流れた。大柄な池田は自身のいつものスタイルで走り始め、ほぼ最後方からレースを進めた。その位置でも、1周67秒台のラップが続く。池田の持ちタイムからして、そのペースで走り続けることはできず、ズルズルと後退していったのは、やむをえないこと。その後は、ひたすら我慢の単独走となり、厳しいレースとなった。
池田のコメント
「ハイペースは覚悟の上でしたが、想定していた中でも最悪のレースだったと思います。インカレに出場する意味が問われる内容でした。実力不足もありますが、準備段階で、もっとできることはあったと思います。5000mは、もう少ししっかりとしたレースをしたいです。」
男子1部 3000mSC予選
川瀬 2組7位 9’08”95(予選通過)
30度を超す猛暑の中でレースは始まった。川瀬(医学5)は、過去の2年は惜しくも決勝進出を逃す悔しい思いをしているだけに、今年こそは!と並々ならぬ決意でレースに臨んだ。スローペースで最後のスパート合戦になることは避けたかったので、前半は先頭を何度も走る。最初の1000mを3分くらいで引っ張る予定が3分4秒台のとなったのは、暑さの影響か、それとも体調の問題なのか、動きにキレがなかったように見えた。2000mを6分8秒で通過するとレースは動き、川瀬は置かれてしまったが、粘り通して、予選通過を果たした。
1組目で走った斎藤(体育4)と2組目で走った重山(体育3)は予選落ち。とくに斎藤は、春に調子を崩した影響で復調に手間取り、この日も本調子にはほど遠い走り。このような結果で最後の関東インカレを終えることになったのは、やるせない気持ちだったであろう。全日本インカレに向けて頑張ってほしい。
予選後の川瀬のコメント
「川瀬レース展開としては1組目と組編成を見てハイペースでないと決勝に行けないと思ったので引っ張りました。しかし、そこまで体も動かず東海の坂口君に被せられてスローにされてしまいました。結果キツくて体が動かなかったこともあり1800m付近でのペースアップに対応できず離されてしまいました。最後はなんとか切り替えて決勝に滑り込めましたが、やはりカラダにキレがなく動いてないなという感覚でした。
決勝はレースプランとしては3’00”を切るペースで押していき、後ろから抜いていくつもりです。予選で身体には十分過ぎるくらい刺激が入っていると思うので、体は動くと思います。初めての決勝、楽しみながら医学の5年生らしく、しぶといレースで入賞狙って全力で走ります。」
男子1部 3000mSC決勝
川瀬 9位 9’07”88
決勝レースは、前日の予選よりさらに暑さが増した感があった。さすがに、この気象コンディションではハイペースにはならなかったが、3周過ぎからレースが動き始めた。予選をギリギリ通った川瀬は、8位入賞しか頭になかった。集団の後方で、レースの動きを見極めながら、8位に入ることを目指して力走した。後半に一人づつ抜いて順位を上げたが、あと一人が届かなかった。
医療機関で実習が続く中、限られた時間で練習を積んできた。医学生の身で決勝進出を果たしただけでも快挙だと言える(本人はそんなことは思っていないだろう)が、入賞に一つ届かない9位という結果は、やはり悔しさがあっただろう。川瀬の多忙さを知っている部員は、本人以上に予選で喜び、決勝で泣いていた。ある意味では偉大な先輩。後輩たちは、この姿を焼き付けて、今後に生かしていってもらいたい。
決勝後の川瀬のコメント
「後ろから上がっていく作戦でしたが1000m通過3’02”で一杯一杯で1000mでのギアチェンジ、2000からのギアチェンジのどちらともで前の8人とは実力の差を見せつけられました。4回目の関東インカレにして初めてピーキングが合わず、スタミナでなんとかまとめる自分の走りで精一杯というインカレに出場して戦う状態ではありませんでした。なので後輩のみんなは川瀬であのくらいなのかと思わず、もっと戦えるビジョンを持って来年以降の関東インカレに臨んでほしいです。
個人としては長い距離は低いレベルではありますがある程度走れる目処がついてきたのに対し、3000mSCを中心に短めの距離での成長が実感できていません。自分が記録を伸ばすのに何が足りないのか今一度考えて練習、私生活を見直すようにします。
予選決勝共にたくさんの人に声をかけられ走りきることができました。2日間本当に応援ありがとうございました!!そして、インカレ中のように普段からもっともっとチームで声を掛け合って高め合っていけると思うので、もっとみんなが良いチームにできるよう今回のインカレのことを胸に刻みながら今後頑張っていきましょう!!」
男子1部 1万m競歩 決勝
山本(体育3)10位 42’12″57
山本が大健闘の10位に入った。先頭はかなりのハイペースで、入賞ラインの集団に喰らい付くつもりが、その位置でレースを進めることができなかった。突っ込んだレースができなかったのは、5月初旬のレースで失格したことの影響もあったであろう。それでも山本にしてはハイペースであることには変わりない。動きを意識しながらのハイペースのレースは厳しかっただろう。
しかし、山本は離されてからも粘り通して、順位をどんどん上げていった。 警告と注意なしでベスト記録を出すまで、この短期間で修正できたことは、集中した取り組みの証。今後の期待が高まるレースであるし、筑波大生のインカレ競歩での10位以内は久しぶりのこと。応援席も大いに盛り上がった。
男子1部 ハーフマラソン決勝
猿橋(理工3)と渡辺(体育3)が出場。午前9時6分のスタートだったが、その時点でさえ気温が高く、厳しいレースになることが予想された。ロードと暑さに強い金丸が急性皮膚炎を発症して棄権となったのは残念だったが、冬を越して急成長を遂げた猿橋に期待がかかった。
暑さと起伏の激しいコースという状況から、レースはスローペースで始まった。先頭のペースが徐々に上がる中、猿橋と渡辺は自重ぎみにレースを進めた。後半に順位を上げる安全策を採ることは事前に決めていた。その作戦通りに猿橋は、後半になって順位を上げて、25位でゴール。渡辺は、無念の途中棄権となった。
猿橋 25位 1:08’09”
「前半は余裕を持ち、後半順位を上げるというレースプランでした。暑さの影響で最初の5kmからペースが速いと感じ、集団から遅れましたが、後半は落ちてきた選手を何人か抜いて25位という結果でした。途中、右足の痺れやさしこみがあり、後半は16分20秒付近のペースで落ち着いてしまいました。ここを16分00秒で抑えて、フィニッシュタイムがあと1分早ければ順位も10位前後にまでなり上位のレースに参加できたのではと思うと、少し悔しさが残ります。ただ、距離走やクロカンでの脚づくり等の練習はやってこなかったことや30度近くの気温だったので、レースの評価はしづらいですが、関東インカレという舞台を経験できたことは、僕の中では大きな収穫です。」
渡辺 DNF
「落ち着いて走ることを心掛け、後半に入ってから前の選手を拾っていくつもりでしたが、手足が攣れて後半はまったくペースを上げることができませんでした。昨日や今朝から水分補給には気をつけていましたが、気づかぬうちに脱水症状のようになっていたのかもしれません。代表として選んでもらいながら不甲斐ない走りしかできず、情けなく思います。これから更に気温が高くなってくるので、こうした厳しい環境でも戦える力をつけていかなければならないと思いました。」
男子1部 5000m決勝
暑さがさらに増した15時過ぎのレースで、厳しいレースが予想された。そんな中でも、先頭はハイペースで進んでいくレース展開。池田(体育4)と藤田(体育4)は、付いていくのに精一杯で、前半で早々と脱落してしまった。実力不足は明らかだが、池田はインカレ2レース目、藤田は貧血が治らず、という理由もあった。二人のコメントにあるように、「走力を高めるしか、このインカレで戦う方法はない」ことを、本人たちも応援した部員たちも痛感したレースとなった。
池田 31位 14’59”14
「付いていける所まで付いていくつもりで走りました。ペースが速く、前半で離れてしまい、向かい風でペースの維持も難しかったです。今回のインカレを通して、実力の無さを身をもって実感したので、これから気持ちを入れ直して練習していきたいと思います。」
藤田 36位 15’42秒45
「レースは最近の練習通りの結果だったと思います。3月下旬から貧血で思うように練習が積めなくなり、練習量を減らしたり、食生活を見直すなど、様々な対策を講じてきましたが、貧血の状態から回復させることができませんでした。練習量を減らしたことにより、体重増加もしてしまい、全く走れる身体にならずに本番を迎えてしまったことは残念でなりません。ただ、このようなハイレベルのレースでは、万全な状態であったとしても、まともに戦うことは出来なかったと思うので、トップレベルの選手達との実力差を痛感しました。最後の関カレで、本気で狙っていた試合だけに、不甲斐なさと悔しさしかありませんが、次の目標に向けて、まずは身体の状態を良くしていきます。」
男子1部 800m決勝
薄田 6位 1’50”03
中長距離ブロックの男子で唯一気を吐いたのが、中距離の薄田(体育3)。昨年の全日本インカレ800mで5位に入賞している実力者であるが、中距離800mは展開が読めず、位置取りが致命傷になる場合もある。風も強く吹くコンディションがさらにレースを難しくさせてもいた。
予選は難なく通過したが、準決勝が厳しいレースとなった。やや速めのレースの流れから得意のロングスパートで勝負をかけて最後の直線が強い向かい風。後続に抜かれてヒヤッとしたが、記録上位のプラスで拾われて決勝に進んだ。
決勝は珍しくハイペース。じっくり構えてラスト勝負にかけたが、速い流れに薄田にも脚が残っていなかった。最後の直線で一人抜いて6位に上がるのが精一杯だった。今大会3本目となるレースで薄田自身の記録も悪くないだけに、上位入賞者が強かったと認めざるをえない。この悔しさを全日本インカレで晴らしてもらいたい。
男子1部800m予選
2組4着 伊藤翔吾(体育3)1分54秒87
3組3着 有松憧(医学2)1分52秒03(準決勝進出)
4組3着 薄田健太郎(体育3)1分50秒82(準決勝進出)
男子1部800m準決勝
1組5着 薄田健太郎(体育3)1分51秒03(決勝進出)
2組6着 有松憧(医学2)1分55秒27
男子3部800m決勝
三津家貴也(M2) 2位 1’51”86