7月に入り、選手たちは今季のトラックシーズン前半最後となるレースに出場しました。その一つである順大記録会は、毎年、チームの選手多数が出場する大会で、この時点でのチームの立ち位置を確認する重要な意味合いを持っています。今回の記録会で14’30切りを目指した18名は、6月の学内レースで悔しい結果を受けた後、例年以上に厳しい練習を乗り越えスタートラインに立ちました。
ホクレンディスタンスチャレンジ大会には、チームを代表するエース2人が出場しました。他大学のエースや実業団選手たちが多く出場するこの大会は、記録を狙うには貴重な機会であり、どこまで記録を伸ばせるかが期待されました。
六大学対抗戦には、1年生の2人が出場しました。例年1年生が出走することが多い今大会での選手の頑張りは、夏合宿に向かうチームに勢いをもたらします。今年の1年生が他大学に対してどこまで勝負できるかが期待されました。
今回は7月に開催されたこれらの大会の結果について報告いたします。(担当:伊藤、寺田)
7/5, 12 ホクレンDC深川大会・北見大会
ホクレンDCには例年チームのエース格が出場しており、今年はスピードに自信のある吉田(体育3)とエースとしての座が固まりつつある小山洋(体育2)が北の大地へと飛んだ。
今大会に出場する目的は、北海道の冷涼な気象コンディションのなか、実業団選手や各大学の主力選手が数多く出走するレベルの高いレースで自己記録を更新することにある。また、今年は新たに電子ペーサー「ウェーブライト」が全レースで導入されることもあって、大幅な記録更新が期待された。
チームからはまず、小山洋が5日に行われた深川大会の5000m(B組)に出場した。当日のコンディションは、最高で30℃を超すほどの暑さとなった。1日に行われた士別大会が10℃台で推移していたことを考えると、天候には恵まれなかったといえる。
レースでは、通常のペースメーカーに加え、ウェーブライトによってライトの色別に3つのペース設定が用意された。13分台を狙う小山は、序盤から同じく13分台を目標とする集団の中でレースを進めていった。2000m過ぎに集団が分かれ始め、小山は後続の集団に位置した。暑さの影響か、周回を重ねるごとに集団は崩れていき、小山のラップタイムも落ちはじめる。先頭が13分台を記録したなか、小山は組8着でゴールし自己記録更新とはならなかった。
時系列が前後してしまうが、順大記録会の後の12日に行われた北見大会5000m(D組)に吉田が出場した。小山が出場した深川大会とは打って変わって、この日の天候は雨となった。ウェーブライトの設定は14:05と14:15の2つが設けられ、記録更新に期待がかかった。
集団が一体となってレースを進めるなか、吉田は後方に位置し落ち着いて周回を重ねていく。徐々にポジションを上げていき13分台も見える展開となったが、3600mを過ぎて吉田の表情が歪む。ラップタイムも急落し、自己記録には届かなかった。中盤までは非常に良い走りだったために、悔しさが残る結果となった。
【小山コメント】
大幅な自己ベストで13分台を出すことを目標としていましたが、3000m以降にペースを落としてしまい、悔しい結果になりました。しかし、同じレースで13分台が出るのは初めてだったのでどれだけ差があるのかを感じることができました。5000mで記録を狙うために行った練習をハーフマラソンに生かせるように夏の走り込みに励んでいきます。応援ありがとうございました。
【吉田コメント】
前半シーズンの締めくくりとして14分1桁を目標としてレースに臨みましたが、3000m以降失速してしまい、目標達成とはなりませんでした。しかし今シーズンはなかなか思うように走れず、課題も明白になっていなかったため、今回のレースで自分の課題とやるべきことに気づくことができ、いい経験となりました。
〈ホクレンDC 5000m結果〉
大会 | 着順 | 氏名 | 所属 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
深川大会・男子5000mB | 8 | 小山洋生 | 体育2 | 14’35″87 | |
北見大会・男子5000mD | 14 | 吉田海渡 | 体育 3 | 14’26″53 |
7/8 第5回順天堂大学記録会
7/8に行われた順大記録会は、上半期の総決算となるレースとして位置づけられた。すなわち、トラックレースのタイム向上を上半期の主眼とするチームにとって、上半期のラストレースとなる今回の記録会において、どれだけ5000mの記録を短縮できるかが問われた。
チームは今季、試合本番で思うような結果を出せない選手が多く、強化の途中経過として出場した6月の学内競技会の5000mにおいても多くの選手が後半に失速し、悔しい気持ちと課題が残った。しかしながら選手たちは、5000mの自己記録の大幅な短縮という当初の目標を変えることなく、より熱意をもって残りの強化練習に取り組んできた。
一つ一つの練習に対する集中力が増していき、内容はよりハードになりながらも遅れることなく走り終える選手たちの様子からは、目標に対する強い思い、そしてチームとしての一体感が感じとれた。
迎えた記録会当日。会場となる順天堂大学さくらキャンパスに降り立つと、そこでは日が落ちてもなお残る暑さと高い湿度、煽られるほどの強風が選手を待ち受けていた。当然、長距離種目としては厳しい条件であり、選手たちは不安を抱えながらも来る本番に向けてアップを行っていく。
スタート直前になってもコンディションは依然厳しいままであったが、これまでの練習を信じて選手たちはスタートを切った。
まず、3組に15名が出走した。レース展開としては他大学の選手が若干のハイペースで入ると、筑波大の選手ほとんどが後方に位置づけた。早々に集団が縦長になるなか、藤原(体育4)と富山(地球4)、金子(工シス3)は、徐々にポジションを上げ始める。
一方、入りで余裕を持てなかった選手は少しづつ遅れ始める。2000mを過ぎてから集団は2つに割れ、先頭集団に藤原、金子、富山、川﨑(体育1)、丸子(工シス2)、堀口(体育2)、鍔(体育2)が集団に付き、やや離れた第2集団に古川(体育3)、松浦(化学2)、鈴木将(医学2)、中山(体育3)が位置した。小牧(体育2)、寺田(人文2)、長谷川(資源3)、小林(体育4)らは既に集団からこぼれてしまい、苦しい走りとなる。
暑さの影響で全体的にペースが停滞し始め、順調に走っていた選手も苦しくなり始める。ラスト1000mを切って、先頭争いに金子、藤原、富山が加わり、第2集団にいた松浦が猛追を開始する。ラスト1周は、単独先頭に立った金子が後続との差を引き離し、組1着でゴールした。
上半期は故障で苦しんでいた金子だが、今回のレースで完全復活を印象付けた。後続では、崩れることなく走っていた丸子がラスト一周で切り替えると、負けじと松浦も猛烈なスパートで一気に追い上げ、並んでゴールし二人ともに自己記録を塗り替えた。
【丸子コメント】
気象条件はよくありませんでしたが春シーズンのまとめとして練習してきたことを出し切って上位でゴールすることだけを考えて走りました。結果として自己ベストを出すことができ、嬉しく思います。これからさらに力をつけていきます。
〈5000m 3組結果〉
着順 | 氏名 | 所属 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | 金子佑太朗 | 工シス3 | 14’37″85 | |
2 | 藤原潤乃佑 | 体育4 | 14’42″37 | |
3 | 富山翔太 | 地球4 | 14’45″55 | |
5 | 松浦海瑠 | 化学2 | 14’47″05 | PB |
6 | 丸子晴樹 | 工シス2 | 14’48″55 | PB |
13 | 古川幸治 | 体育3 | 14’59″30 | |
14 | 川﨑颯 | 体育1 | 15’06″85 | |
16 | 鈴木将矢 | 医学2 | 15’09″76 | |
17 | 小牧直登 | 体育2 | 15’13″99 | |
22 | 中山純静 | 体育3 | 15’18″06 | |
24 | 寺田周世 | 人文 2 | 15’23″18 | |
26 | 堀口花道 | 体育2 | 15’30″40 | |
27 | 鍔颯人 | 体育2 | 15’32″87 | |
28 | 小林大晃 | 体育4 | 15’39″06 | |
29 | 長谷川健太 | 資源3 | 15’49″09 |
続く4組には、13分台を視野に入れる平山(体育4)、吉田、そしてホクレンDCから連戦となる小山の3名が出走した。スタートして、平山が勢いよく飛び出して2番目に位置づける。1周目は64″、1000m通過は2’47”と序盤からハイペースの展開となる。
吉田と小山もしっかりとペースに対応し、集団の前方でレースを進める。3組目とは異なり、ハイペースながらも集団は大きなまま推移していたが、やはり悪コンディションは選手たちの体力を蝕み、だんだんと集団がばらけ始める。小山は先頭集団に食い下がるが、平山と吉田は遅れ出す。
3000mを過ぎると、先頭の13分台のペースに小山もついていけなくなる。ペースの落ち込みを必死に止めようとする小山だが、徐々に自己記録更新が危うくなる。先頭を形成していた他大学の選手らが13分台でゴールするなか、小山も体力を振り絞ってラストスパートをかけるも僅か0.96秒自己記録に及ばなかった。
中盤大きくペースを落とした平山はラストで複数人を追い抜くスパートを見せたが、目標には届かなかった。
上半期の締めくくりとして臨んだ今大会だが、出場した15名のうち自己ベストは2名にとどまった。弘山監督も「20秒はハンディとみていい」と言うほどの悪コンディションではあったものの、記録更新を目標にしてきただけに選手たちは悔しさを滲ませた。
〈5000m 4組結果〉
着順 | 氏名 | 所属 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|
8 | 小山洋生 | 体育 2 | 14’25″07 | |
16 | 平山大雅 | 体育 4 | 14’37″79 | |
29 | 吉田海渡 | 体育 3 | 14’55″05 |
7/23 六大学対抗戦
六大学対抗戦は、日本大学・東海大学・順天堂大学・中京大学・日本体育大学・筑波大学の6校の代表選手によって総合得点を競う大会であり、今回は中京大学以外の5校が出場した。朝から気温が高くタフな環境であったが、筑波大学から応援として多くの部員が参加しており、選手二人の顔はいつも以上に引き締まっているように見えた。
レースは序盤から他大学の選手がハイペースで引っ張る展開となり、立野と川﨑は集団後方に二人並んでレースを進めた。1000mを2’48で通過すると、2000mもペースを変えることなく通過した。その後先頭のペースが上がり始めると、立野は少しずつ苦しくなり、集団からこぼれ始めた。
川﨑は苦しくなりながらも前に食らいつく粘りを見せた。先に遅れた立野も大きくペースを落とすことはなく、ラスト1000mを2’58でまとめる強さを見せ、自己ベストを更新した。川﨑は惜しくも自己ベスト更新とはならなかったが、安定した強さを見せた。入学以来、安定した強さを見せる二人の夏を超えたさらなる飛躍が楽しみである。
【立野コメント】
今大会において、3000mに出場し8’37”80の自己ベストを更新することが出来ました。これから箱根駅伝予選会への強化に向けて、良いスタートを切る事ができたように感じます。しかし、他大学とのレベルの高いレースの中でただついて行くことしかできず、現段階でのレベルの差を体感しました。その差を埋めるために練習に精進します。今後とも応援の程よろしくお願い致します。
〈六大学対抗戦3000m結果〉
着順 | 氏名 | 所属 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|
17 | 川﨑颯 | 体育 1 | 8’32″68 | |
18 | 立野晴士 | 体育 1 | 8’37″80 | PB |
上半期は、多くのレースで気象条件に味方されなかったこともあり、目標に届かなかった選手が多かった。しかし外に目を転じると、記録を大きく伸ばした他大学の選手は数多くおり、気象条件は言い訳にしかならない。上半期のレース結果だけを見ると、秋の予選会に向けては黄色信号だと言えるだろう。
しかしながら、上半期のなかでも選手たちの練習の質は向上しており、多くの選手が成長していることは確かだ。何より、上半期を終えて選手たちが感じた悔しさ、そして「このままではいけない」という危機感はチームのカンフル剤となり、選手たちの取り組みのレベルを引き上げてくれている。
現在チームは本格的な夏季強化に入っているが、この夏季強化を超えると箱根駅伝予選会は目前に迫る。つまり今が予選会突破に向けて正念場であるわけだが、逆境に立って士気が高まっているチームは上半期の遅れを取り戻す以上の成長を見せてくれるだろう。
箱根駅伝予選会に向けて、チームは本気で強化に励んでします。これからも応援よろしくお願いします。