第269回日本体育大学長距離競技会は、4月20~21日に日本体育大学健志台キャンパスで開催され、関東インカレや全日本大学駅伝予選会を目指す学生が出場した。
-4月20日-
◇1万メートル
第2組(9:45)
朝の9時45分競技開始の2組目に、猿橋(理工3)と尾原(生命環境3)が出場した。組の出場人数が47名と多く、混雑するレースが予想されたが、1000m毎3分を少し切るペースで流れたために集団は縦長になり、比較的スムーズに滑り出した。猿橋は、序盤から良い位置をキープし、終始余裕のある表情で淡々と走っていた。
4000mを過ぎたころから青山学院大の選手がペースを上げたが、猿橋は自重して第2集団に。そのペースが徐々に落ちて、29分台に黄色信号が灯り始めた。時計の逆算から8000mでスパートをかけ、29分台目指して力走。最後の1000mを2分49秒でカバーしたが、29分台に僅かに及ばない30分00秒97というタイムに天を仰いでのゴールとなった。
しかし、自己記録を44秒も更新する記録は、自身が掲げた目標タイムとピッタリ一致。29分台は次戦へのお預けとなったが、この日の走りからは、29分40秒の実力を有していることが証明され、冬季練習の成果を十分に感じることができた。
尾原は、春に入って実践練習が上手くいかずに、自信のない表情で走り出したが、序盤の3分ペースにしっかりと乗り、その後もペースを大きく落とさずに3分5秒ペースを維持。最後のスパートも利かせて自己記録を2秒更新する30分41秒87をマークした。こちらも目標記録(30分40秒)とほぼ同じだった。
朝早い時間帯の競技だったために、始発の電車に乗って移動という厳しい状況を克服してマークした自己新記録だけに、非常に価値がある。ハンディと思われたが、何なく対応した二人の地力アップは頼もしくもある。
第3組(10:20)
この組には、金丸(体育4)と児玉(体育3)が出場。この二人が記録を伸ばさないと全日本大学駅伝・関東予選会への出場は厳しくなる。金丸のベストタイム(29分58秒)に対して、資格タイムが30分26秒、児玉のベストタイム(30分05秒)に対して、資格タイムが30分58秒であるから、二人の実力が発揮できれば、チーム平均タイムは大幅に向上することになる。
3組目も2組目と同じような3分ペースを少し切る流れでレースが推移。二人とも4000m過ぎに集団から離れ出し、後は粘るだけのレースとなった。今季初戦の1万mとはいえ、練習の出来具合からすると、とても納得できる走りではなかった。とくに金丸はロード走や練習の強さをトラックになると発揮できない傾向にあるところが、非常に歯がゆい。今後の修正を期待したい。
第4組(17:45)
4組から夕方の時間帯となり、池田(体育4)が出場。どの組も出場人数が多いが、総じてペースが速めで縦長となったことから、ごちゃつくレースにはならなかったのは幸い。池田は、いつも通りの最後方からレースを進め、徐々に順位を上げる走り。前半は少し苦しい表情をしていたが、途中からは良い感じで3分ペースを刻んでいった。
池田のベスト記録は29分47秒。最後のペースアップ次第で自己ベストが出せる状況だったが、レース後に本人が「ペースを上げれば届くのはわかっていたのですが、自信がなくて・・」と話したように、ギアチェンジしたのはラスト500m。そこから猛然とスパートしたが、自己記録に僅か5秒及ばなかった。もったいないと感じる結果になったが、この日の目標は「3分ペースで押していき最後の1000mをペースアップする」というもので、まさしく自身が描いた通りとなった。次戦が楽しみになったのは間違いない。
第5組(18:20)
相馬(体育3)が出場。箱根駅伝後の1月から3月中旬まで怪我で練習を離脱していたために、練習を積んだのは実質 直近の1カ月間のみ。さらには、貧血症状も出ており、万全とは言い難い状態での出場。本人は目標を30分00秒に設定してレースに臨んだ。
この組になるとペースは1段階速く、相馬の3000m通過が8分45秒。ここ最近の練習の消化内容を考えるとオーバーペースは否めず、少しづつペースを落としていったのは仕方ないこと。それでも7000mまでは何とか粘っていたが、急にペースが落ち、7000~9000mの2000mで6分24秒も要してしまっては、30分25秒92というゴールタイムもやむを得ないところである。
ただ、ペースを落とした2000mを差し引くと8000mを3分ペース平均で走っており、復調過程でのレース、さらに、貧血ぎみということを考慮すると及第点以上を与えられる走りではないだろうか。意識が高い本人にとっては不満かもしれないが、今後に繋がる走りはできたと評価できる結果だった。
◇1500m
関東インカレの標準記録(A:3分51秒5、B:3分55秒)を狙って学生4名が出場、日本インカレA標準記録(3分49秒)を狙って大学院生1名が出場した。第17組に出場した三津家(M1)と相澤(理工4)、小林(体育1)がインカレを狙う選手。
この組はハイペースで流れ、3分45秒を狙っていた三津家には“願ったり叶ったり”のペース。1000mを2分31秒で通過し、目標記録達成かと思われたが、ラストで失速して3分50秒36。残念ながら目標には届かなかったが、「目指す記録を出すイメージは掴めた」と本人は好感触を得た模様。
3分49秒の記録を持つ相澤は、第2集団のような位置取りで、しかも途中はポケットされて動けず、積極的な走りができなかった。そのまま何もせずに、ゴールしたようになり3分54秒という記録に終わった。体力的な課題を見出すことも目的の一つだったので、それが得られなかったことは痛手である。レースを組み立てる技術的な部分が不足していることが浮き彫りとなったので、そこは次に生かさなければならないだろう。
3分50秒の記録を持つ1年の小林は、入学して走力を戻している段階。練習量が増え、疲労も蓄積してきており、身体の感覚が良くない中で迎えたレースである。集団の後方で流れには乗っていたが、最後までギアが上がらず、そのまま流れ込むようにゴール。実践を重ねながら、走りの感覚を良くしていってもらいたい。
第14組で走った井内(体育2)も関東インカレB標準記録を狙ったが、大学に入学して初の学外大会で緊張していたのか、まったく力を発揮できなかった。スピード能力は抜群に高い選手なだけに、上手く噛み合わなかったのは残念。井内も実践を経験しながら、調子を上げていってもらいたい。
-4月21日-
◇5000m
4名の学生が出場したが、怪我から復調している段階の渡辺以外は、藤田や池田、西ともに平凡以下のレース内容に終わった。スピード持続に対応できるカラダ作りも練習も不足していることの表れだろう。現状を知ることになり、今後の奮起に期待したい。
◇全日本大学駅伝出場に向けて
日体大長距離競技会が終わり、猿橋が記録を大幅に伸ばしたことで、全日本大学駅伝予選会に向けて、チームの1万メートル平均タイムは3秒ほど短縮し30分00秒83に。3年連続出場を果たすためには、今後も記録を伸ばしていく必要がある。記録を伸ばせそうな学生が、池田と金丸、相馬、児玉、猿橋、西など多くいるので、しっかりと狙いを定めてチーム平均タイムを縮めていきたいと思う。
10000m結果
組 | 順位 | 氏名 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|
2 | 2 | 猿橋拓己 | 30’00″97 | PB |
14 | 尾原健太 | 30’41″87 | PB | |
3 | 24 | 児玉朋大 | 30’54″66 | |
27 | 金丸逸樹 | 31’05″77 | ||
4 | 9 | 池田 親 | 29’52″67 | |
5 | 30 | 相馬崇史 | 30’25″92 |
組 | 順位 | 氏名 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|
13 | 21 | 薛玄太郎 | 4’06″54 | |
14 | 17 | 井内優輔 | 4’04″09 | |
17 | 4 | 三津家貴也 | 3’50″36 | |
7 | 相澤拓実 | 3’54″57 | ||
18 | 小林竜也 | 4’00″61 |
組 | 順位 | 氏名 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|
17 | 20 | 渡辺珠生 | 14’53″11 | |
19 | 27 | 西 研人 | 15’10″29 | |
20 | 34 | 池田 親 | 15’23″05 | |
22 | 23 | 藤田黎士 | 15’26″71 |