5月19日から22日までの4日間、東京の国立競技場で開催されました『第101回関東学生陸上競技対校選手権大会』に、長距離パートから8名が出場しました。その結果を種目順に報告させていただきます。
今年の関東インカレは、3年ぶりの有観客開催。さらに、2020東京オリンピックが開催された国立競技場が舞台ということもあり、昨年よりもさらに会場の熱が高まる4日間となりました。そんな熱気溢れる舞台に長距離パートの学生が連日出場し、筑波大学の代表として戦い抜きました。 (3年 藤原)
5月19日 【男子1部1500m 予選】
関東インカレ中長距離種目は1500mで開幕し、長距離パートから小林竜也(体育4)、吉田海渡(体育2)、堀口花道(体育1)の3名が出場した。
昨年同種目7位入賞の小林には2年連続入賞の期待がかかり、吉田も昨年のU20日本選手権6位入賞の実力を示したいところ。また、1年生ながら代表選手となった堀口も、中学時代から全国大会などの大舞台を経験していることから、大舞台での勝負強さを見せてくれるはず。複数の決勝進出が期待された。
【1組】
1組目には、小林と吉田が出場した。着順での決勝進出ラインである5着以内を確実に取ることを最優先に、スタートを切った。
レースは序盤から集団後方に選手が固まる構図となり、2人とも位置取りに苦労する場面が多々見られた。1000m手前で小林が、ラスト一周の鐘が鳴るタイミングで吉田が、それぞれ順位を上げ前方を捉えていく。しかしラスト300mからの壮絶なスパート合戦で遅れを取ってしまい、吉田が7着、小林が14着という結果に終わった。ただ、3分51秒51で7着フィニッシュの吉田は、タイム上位による+2人での決勝進出の可能性が残され、次の2組目の結果が待たれることとなった。
【2組】
2組には期待のルーキー堀口が出場した。堀口は高校3年時に出したタイムが資格記録であり、自己記録の更新と決勝進出に期待がかかった。
序盤から最後方でレースを進めた堀口は、乱高下するペースにも落ち着いて対応していく。しかし残り300mでの猛烈なスパート合戦についていくことができず、15着でのフィニッシュとなった。
タイムを出すには厳しいレース展開となったが、レース終盤まで対応したのは流石の一言である。この大舞台での経験をこれからの日々で活かしてほしい。
また2組目の結果より、吉田が翌日の決勝進出が確定した。
【堀口コメント】
「初めての関東インカレでしたが、1年生の時点で選手として走れたことは、とても良い経験になったと思います。しかし、タイムやレース内容は思い描いていた通りにはならず、大学生のレベルの高さを思い知らされる結果となりましたが、周りのサポートや応援のお陰で精一杯走り切る事が出来ました。今回経験した悔しい気持ちを持ち続けて練習に励み、大きな大会で活躍出来るような強い選手を目指して頑張ります。」
5月20日 【男子1部1500m決勝】
前日の予選を突破した吉田は、落ち着いた様子でスタートラインに立っていた。
レースは序盤からハイペースで進むが、前日と同じように後方で無理に力を使わずに走っていく吉田。集団に合わせてペースを刻んでいく中で1200mを3分3秒で通過すると、気が付けば5番手でラスト勝負に出ていくレース展開をみせていった。
ラスト勝負でも後ろの猛追を振り切り、6位でフィニッシュ。自己ベストの更新と初めての入賞を果たし、吉田にとって2つの目標を達成する嬉しいレースとなった。
また3分46秒69という記録は、筑波大学歴代8位の好記録となった。
【吉田コメント】
「レース1週間前に足に違和感が出てしまい、練習も思うようにできず不安が大きかったですが、目標としていた1500mでの入賞を果たすことができて嬉しかったです。今回は足の状態を考慮して5000mは欠場という形になってしまいましたが、来年は1500mで表彰台、5000mで入賞できるように頑張りたいと思います。応援ありがとうございました。」
〈予選〉
組 | 着順 | 氏名 | 所属 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 7 | 吉田 海渡 |
体育2 | 3分51秒51 | q |
1 | 14 | 小林 竜也 |
体育4 | 3分55秒39 | |
2 | 15 | 堀口 花道 |
体育1 | 3分57秒63 |
〈決勝〉
順位 | 氏名 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|
6 | 吉田海渡 | 3分46秒69 | PB・歴代8位 |
5月19日 【男子1部10000m決勝】
関カレ初日の夜、男子10000mの決勝が行われた。長距離パートからは福谷颯太(体育4)と國井辰磨(体育4)の4年生2名が出場した。
スタート時の気温は21.5℃、湿度39%と、この時期にしては比較的良好なコンディションの中のレースとなった。
レース序盤は大きな集団となって進んでいく中、福谷は集団中央で、國井は後方でレースを進めていく。
留学生ランナーの飛び出しなどにより、ペースが激しく変化するレース展開になった。そのペース変化に対応できなかった國井は苦しい走りとなってしまったが、福谷は少しずつ順位を上げていく走りを見せた。
最終学年で初の関東インカレを戦った國井にとって、ほろ苦い結果とはなったが、この経験を夏から予選会、箱根駅伝に向けて活かしてくれるだろう。
苦しいながらも終盤9000m手前まで日本人先頭集団に食らいつく意地の走りを見せた福谷は、ラスト1000mの急激なペースアップについていくことができなかったものの自己記録を11秒更新した。これは筑波大学歴代5位の結果となった。
【福谷コメント】
「今回のレースプランは、対抗戦特有の細かなペース変化に負けずに展開し、入賞ラインで戦うことでした。レースは最初の1kmが2分57秒で始まり、5kmが14分33秒前後でした。タイムとしては丁度良いペースでしたが、1周毎やカーブ・ストレートで細かなペース変化があり、タイム以上に消耗するレースでした。
そのツケが回ってきて8000mあたりからじわじわ集団に付くのがきつくなり、ラスト1kmでは集団から完全に離されてしまいました。それでも何とか粘り切り、29分00秒66の11着で自己ベストでした。結局ペース変化で消耗し、ラスト入賞争いに参加できず、それに加えて28分台を逃したので目標は何も達成できませんでした。
ただ、1月から関東インカレを見据えてほぼパーフェクトで練習を消化し、万全の状態でレースに臨めたこと、レースでも現状できる最高のパフォーマンスを発揮できたことは、自分にとって大きな収穫でした。
昨年は消極的なレースを展開してしまい、何もできないまま10000mが終わってしまい、後悔しか残らないレースになりました。その経験が箱根予選での飛躍や箱根出走に繋がったと思いますが、今年は悔しい体験をしたインカレで今のベストを尽くせて良かったです。また、今大会も他大学の選手との差を感じましたが、以前より明確で確実に近づいていると感じました。今後はその差を詰めていけるように練習を積んでいきます。楽しかったです!応援ありがとうございました。」
【國井コメント】
「4年で初めて関カレに出場することができ、苦しくも貴重な経験ができました。本番までの取り組みとしても納得のいく形で状態を仕上げることができ、当日も調子が良かったのですが勝負のレースでの緊張感、大舞台での雰囲気に飲まれてしまい結果としては前半で集団から離れてしまいました。
そこからは夢中で走っていてあまり記憶がないですが、走り終えてから残りの期間でサポートについた時、同期の活躍を間近で見て、あの舞台で力を発揮する姿に憧れの気持ちと悔しさがこみ上げてきました。関カレを走らなければ出来なかった貴重な経験、感情を残りの競技人生で表現していけるよう頑張ります。応援ありがとうございました。」
〈男子1部10000m決勝〉
順位 | 氏名 | 所属 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|
11 | 福谷 颯太 |
体育4 | 29分00秒66 | PB ・筑波大歴代5位 |
32 | 國井 辰磨 |
体育4 | 30分44秒27 |
5月20日 【男子1部5000m予選】
今年の関東インカレ5000mは、出場者が40名を超えたため予選が実施されることとなった。予選1組に小林竜也(体育4)が、予選2組に平山大雅(体育3)が、それぞれ出場した。吉田海渡(体育2)も1組にエントリーしていたが、この日の昼に1500mの決勝レースを走っており、疲労を考慮して欠場となった。
小林は昨年の関カレ5000m日本人8位、平山は今シーズン1500mで自己記録を大幅更新するなどスピードにより磨きがかかっており、2人とも予選の順位争いに真っ向から勝負していくところが見どころだ。共に決勝に進出する力は十分持っており、どのようなレース展開を見せるかが期待された。
【予選1組】
小林は序盤から常に5から7番手あたりをキープし、ラスト勝負にも落ち着いて対応、見事2着で決勝進出を決めた。ゴール時にはガッツポーズも見せ1500m予選の悔しさを晴らすことが出来たと共に、最終日に再び戦うためのスタートラインに立つことができた。
【予選2組】
出場の平山は初めての関東インカレ。他大のエースと決勝で戦うべく、予選に挑んだ。序盤から集団の中盤から後方に位置し、余裕を持ってレースを進めていった平山。
4000m付近では4位グループの第2集団の先頭にたち逃げ切りを図った。最後は苦しくなってしまったが、無事10着でフィニッシュ。小林に続いて決勝進出を決めることが出来た。
5月22日【男子1部5000m決勝】
関カレ最終日、長距離種目の締めくくりとして男子5000mの決勝が行われた。2日前に行われた予選を勝ち抜いた小林と平山が、他大学のエースとの勝負の場に立った。スタート直前には2人ともスタンドから応援をしている筑波大学の仲間たちに向かって手を振るなど、程よい緊張感に包まれていた。
レースは先頭が63秒とハイペースで始まったことから、早々に縦長の展開となる。小林、平山は共に後方からのスタートとなったが、レースが動いても対応できる位置へと徐々に場所を移していく走りを見せていった。そして1000m通過が2分45秒と、決勝の舞台で自己記録も更新できそうなペースで刻んでいった。
レース中盤、それまで大きな集団でレースは進んでいたが、少しずつ選手が離れていくようになった。平山は3000m付近で苦しくなり少しずづ集団から離れ始めるが、粘りを見せてその差が大きくならないよう必死にペースを刻んでいくようになった。それでもここから一人で残り2000mを走り抜くのは容易ではないが、来年に繋がる良い経験ができたレースとなったのではないだろうか。
小林も4000m手前、レース後半に差し掛かってかなり縦長になった集団の最後方から離れそうになる苦しい展開となった。先頭集団は徐々にペースが上がってレースがいよいよ大きく動き始めたが、小林はこれから始まる最後の争いのスタートに加わることが出来なかった。
しかし、ペースを大きく落とすことなく走り続けていった小林は、ラスト一周力を振り絞り、4〜5秒離れていた集団の後ろに追いつく気迫の走りを見せゴールをした。
【小林コメント】
「関東インカレは特別で、この舞台で勝つ為に4年間努力してきました。しかし、昨年末からの故障で思うような冬季練習が行えず、不安がある中で最後の挑戦を迎えました。
迎えた初日の1500mは予選落ちでした。当然悔しかったですが、大会前の練習からして1500mは厳しい部分もあったので、引きずることなくすぐに切り替えました。2日目の5000mは、積極的に攻める自分らしいレースで予選を通過しました。4日目の決勝は、他大学の選手との力の差に手も足も出ませんでした。走り終わってからは悔しさと、終わってしまった喪失感で涙が止まりませんでした。
しかし、どんなに困難な状況でも、諦めず、自分の目標に向かって貪欲に取り組んできた自分を誇らしく思います。また、多くの方々にサポートして頂き、特に学生トレーナー(体育4年佐々木、笹野)のサポートがなければ4日間で3レースを走り切ることができなかったです。憧れの国立競技場、そして、素晴らしいチームメイトとともに戦えて一生の思い出になりました。もっと強くなれるように努力します。応援ありがとうございました。」
【平山コメント】
「関東インカレ5000mに出場しました。結果は予選14’13″85、決勝14’23″92で22着でした。上半期の目標を『関東インカレ5000m入賞』に定め、冬季から最大限の努力をしてきました。それでも、決勝では全く歯が立たず、悔しい結果に終わりました。ただ、悔しいという気持ちよりも純粋に戦えるレベルではなかったという実力不足を痛感する気持ちのが大きかったというのが正直な感想です。
自分が成長すれば、他大の選手も成長しています。予選会で勝負するためには今の練習よりもさらにレベルアップしなければならないと感じました。この試合で感じた事をこれからの練習や試合に活かしていきたいと思います。次は全日本予選、そして、5000m13’45切が目標となります。箱根駅伝予選会を見据えつつ、個人の目標達成にも最大限努力していきたいと思います。
この度はたくさんの応援ありがとうございました。来年は強くなった姿をお見せできるよう、1年間努力していきます。これからも筑波大箱根駅伝復活プロジェクトを応援していただけると嬉しいです。」
〈男子1部5000m予選〉
組 | 順位 | 氏名 | 所属 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 小林 竜也 |
体育4 | 13分58秒48 | Q |
1 | – | 吉田 海渡 |
体育2 | – | DNS |
2 | 10 | 平山 大雅 |
体育3 | 14分13秒85 | Q |
順位 | 氏名 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|
17 | 小林竜也 | 14分01秒93 | |
22 | 平山大雅 | 14分23秒92 |
5月21日 【男子1部3000mSC予選】
関カレ3日目には松村匡悟(体育4)が、 3000mSCの予選に出場した。松村は昨年の日本インカレにおいて3位入賞の実力者であり、今大会での入賞が大いに期待される。また、昨年の関カレは9位と入賞まであと一歩と悔しい思いをしており、その雪辱を晴らすことができるかどうか、その点も注目される。
スタート前、笑顔を見せるなど関カレの雰囲気を楽しんでいる様子が印象に残る中、5着以内の着順で決勝進出を狙う予選がスタートした。松村は冬季の故障が長引いたため、この予選のレースが今シーズン初戦となった。松村は「2000m付近まではバタバタした走りだった」とレースを振り返ったが、終盤には先頭に出るなど自ら仕掛ける姿勢もみせ、余裕を持って4着フィニッシュ。明日の決勝へとコマを進めた。
5月22日 【男子1部3000m SC決勝】
昨年は9位と悔しさの残った舞台に今年も帰ってきた。今年こそは入賞、そして表彰台に上がることを目標に決勝レースに挑んだ。
スタートから集団の前方でレースを進めていく松村。2000m過ぎから点々と2人が飛び出す展開となるが、集団の中でいつでも勝負を仕掛けることができる位置取りを見せる。本当にこれがシーズン2レース目なのかと疑ってしまうような堂々としたレース運びに驚かされた。
ラスト1周の鐘が鳴り、3位争いが熾烈を極める。障害を越えながらペースアップしていくことは転倒と隣り合わせであるが、松村は4番手で大障害を超えていく。そこから更にギアを上げてペースアップした松村は、最後の障害を3番手で飛び越えそのままフィニッシュ。昨年の悔しさを晴らすと共に、表彰台に登ることが出来た。
冬季練習が思うようにいかなかった松村だが、バイクトレーニングなどの地道な練習を重ねてここまで辿り着いた。チームにはもちろん、故障などで苦しんでいるメンバーにも明るいニュースを届けることが出来たのではないだろうか。
【松村コメント】
「沢山のご声援ありがとうございました。関東IC1部3000mSCに出場し、8’55″93で3位入賞することができました。1月頭から3月末まで膝の怪我により満足な練習をすることができませんでしたが、目指す大会の日程は決まっているのでそこに向けて1日1日 何をするかを考えて生活できたことが今回の結果に繋がったと思います。
3000mSCは予選が今季初のレースとなり、途中まで障害のタイミングが噛み合わず、バタバタしてしまいましたが仕掛けるポイントを冷静に判断し、余裕を持って通過することができました。決勝では表彰台を目標に序盤から位置取りを意識してレースを運ぶことができ、最後は「気持ち」で3位を死守することができました。最後の関東インカレを表彰台で締めることができ一安心しています。
また、今回様々な方からのご声援を頂き、改めて個人としてもチームとしても応援されていることを実感しました。これからも筑波大へのご指導、ご声援のほどよろしくお願いいたします。」
〈男子1部3000m SC予選〉
組 | 順位 | 氏名 | 所属 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
2 | 4 | 松村 匡悟 |
体育4 | 8分53秒66 | Q |
〈男子1部3000m SC決勝〉
順位 | 氏名 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|
3 | 松村匡悟 | 8分55秒93 |
5月22日 【男子1部ハーフマラソン決勝】
最終日の午前中にスタートしたハーフマラソンには、岩佐一楽(体育4)が出場した。昨年は故障に悩まされ、関カレにエントリーするも出場できず、今回が初めての出場となった。
レースは競技場をスタートし、神宮外苑の周回コースへと移っていく。岩佐は先頭集団に付くも徐々に後方へと順位を移し、5kmを第3集団で14分53秒通過となった。しかしその後ペースが落ちてしまい、後半の10km以上は一人旅となったため苦しい走りとなってしまった。
自身の想像していた走りとは程遠かったかもしれないが、同じハーフマラソンで勝負する箱根駅伝予選会に向けての課題などをチームに還元してくれるだろう。次なる目標に向かって新たに進む岩佐の今後にもご注目ください!
【岩佐コメント】
「平素より筑波大学長距離パートへの多大なるご支援、ご声援ありがとうございます。第101回関東インカレのハーフマラソンに出場し、67分56秒でした。初めての関東インカレの舞台で緊張もありましたが、練習してきたことを発揮出来なかった自分が情けなく、とても悔しかったです。
関東インカレで活躍したチームメイトを追い越し、他大学の選手と戦って勝ちきれるように日々の生活、練習を大切にしていきます。これからも筑波大学長距離パートの応援をよろしくお願いします。」
順位 | 氏名 | 所属 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|
32 | 岩佐一楽 | 体育4 | 1時間07分56秒 |
今年の関東インカレは昨年の5人を上回る8人が出場し、チームが成長をしていることを実感することが出来ました。昨年とは違い有観客での開催だったため、会場の雰囲気も良く、たいへん盛り上がりました。そんな関東インカレを肌で感じ、出場した選手も、出場できなかった選手も新たな目標ができた、そんな4日間となりました。