5月9日から12日まで第103回関東学生陸上競技対抗大会(通称関東インカレ)が国立競技場で開催されました。大学の代表として7名の選手がそれぞれの目標に向かって全力で挑戦しました。以下に結果を報告させていただきます。(文責:4年熊谷秀人)
1日目
初日には1500m予選と10000m決勝が行われた。1500mには4年連続の出場となった吉田海渡(体育4)と2年連続の小牧直登(体育3)が出場した。10000mには初出場となった4年生エース金子佑太朗(工シス4)が出走した。
1500m
1組目 吉田海渡 3’49″11 5着 決勝進出
1組目は予選らしく集団でレースが進み、ラスト300mのスプリント勝負となった。決勝進出の条件は組で5着以内に入ることで、各校のスピード自慢の選手たちの激しいスパート合戦はゴール直前までもつれ込んだ。1レーンから7レーンまで選手が横一線の姿はまるで短距離走のようで目視ではだれが予選を突破したかわからないほどだった。(下記の写真参照)勝負強い吉田はこの混戦でもしっかり5着をキープし、2年ぶりの決勝に進んだ。
2組目 小牧直登 3’59″10 15着 予選敗退
2組目も集団でレースが進み、ペースの上げ下げが激しいレース展開となった。ラスト1周で一気にペースが上がり集団は縦長になり、小牧は最後尾に位置を下げた。精一杯前を追ったが目標としていた予選通過を果たすことはできなかった。国立競技場で大学の代表として走った経験はきっとこ今後の糧となるはずだ。
小牧のコメント
「2度目の関東インカレ1500mに出場しました。結果は予選2組15着で予選敗退し、悔しい結果となりました。ここまでしっかりと準備してこれましたが、現状は決勝にはほど遠い実力でした。それでも、初の国立競技場での対抗戦楽しんで走ることができました。今後は、この悔しさを5000m記録短縮と箱根予選会に全てぶつけ、今年は予選会に出走し、走力でチームに貢献できるように努力していきます。応援ありがとうございました。」
10000m決勝
金子佑太朗 28’45″92 12着 (PB&筑波大学歴代3位)
各校のエースや留学生選手が多く出場した10000mのスタートラインに金子佑太朗が満を持して立った。金子は怪我に悩まされこれまで関東インカレの舞台に立ったことはなかったが、その実力はだれもが認めるものであり他大のエースたちとどのように勝負してくれるのか期待感が高まった。気象条件が良かったこともあり、レースは留学生たちを先頭にハイペースで進んでいく。集団は早い段階で縦長となり、金子も3000m過ぎにきつそうな表情になり先頭集団から少し遅れ始める。しかし、ここから金子は驚異の粘りを見せる。5000mを14’17の自己ベストで通過すると懸命に前を追い、前からこぼれてくる選手を次々と追い抜いた。ラスト2000mを5’30でカバーし筑波大学歴代3位の好記録でゴールした。他大学の選手と対等に渡り合ったこと、自己記録を更新した金子は充実した表情を見せた。ただ、入賞ラインとの差も肌で感じたと言い、すでにその目は次の目標を見据えていた。他大学にも負けない金子の走りはチームに「俺たちだってやれる」と証明し、鼓舞してくれるものだった。
金子のコメント
「日頃より多くのご支援を賜り、ありがとうございます。関東インカレ1部10000mに出場し、28分45秒92で12着でした。現状の最大限のパフォーマンスができ、目標としていた28分台にも到達できましたが、入賞と筑波大学記録に僅かに届かず悔しさも残るレースでした。今後自分が目指すべき場所はもっと上のステージだと思っています。全日本インカレ・箱根駅伝予選会に向けて、他大学のエースに引けを取らない強い選手になります。沢山の応援、サポートありがとうございました。」
2日目
2日目は1500m決勝が行われ、厳しい予選を勝ち抜いた各校のスピード自慢の選手たちによる勝負に吉田海渡が挑戦した。12人でスタートした集団は400mを59で通過すると牽制が始まり、団子状態になり各選手がスパートに備えた。ラスト一周に入る直線で集団のギアが上がり、一気に縦長になるが吉田も冷静についていく。ラスト200mで4番手の位置につけ、表彰台も見える展開だったが3’48″12で惜しくも8位となった。それでも2年ぶりの入賞となり、改めて吉田の勝負強さと大舞台での力の発揮能力の高さを感じるレースだった。試合後「最低限の走りになって悔しい」と口にした吉田。入賞では満足しない彼の志の高さを感じた。
3日目には3000mSCが行われ、2年連続の出場となる鍔颯人(体育3)と初出場の伊佐昂大(体育2)が出場した。どちらの選手も高校時代から3000mSCを専門種目にしており、決勝進出を目標にレースに挑んだ。
1組目 伊佐昂大 9’07″22 9着 PB
5着までが着順での決勝進出となるレースで関東インカレらしく集団はハイペースで進んでいく。決勝進出を目標に掲げていた伊佐は言葉通り、積極的にレースを進め2000mまで集団に食らいつく。しかし、ラスト1000mを過ぎると集団はさらにぺーしアップし伊佐は少し遅れ始める。それでも最後まで全力で走りぬき自己記録を更新する走りを見せた。レース後は悔しさを滲ませていたが、その目はすでに来年の関東インカレに向いていた。
伊佐のコメント
「関東インカレ3000mSCに出場した体育2年の伊佐昂大です。日頃よりご支援賜りまして誠にありがとうございます。今回の関東インカレは昨年故障によりスタートラインに立てなかった悔しさを晴らせるような快走を見せようとしっかり準備して参りました。目標は8分台と決勝進出でしたが、遠く及ばず僅かな自己ベストという結果で終わってしまいました。完全なる力不足を痛感しましたが、青桐を背負って代表として走れた事はとても誇りに思い、自分の中で何かきっかけを掴むことができたレースとなりました。今後の目標としては、5000mの自己ベストを大幅に更新していくことを第一として、予選会に向けて自力を高めていきたいと思います。これからも応援よろしくお願いします。」
2組目 鍔颯人 9’16″79 16着
1組目同様ハイペースで進んだ2組目、鍔は冷静に集団の中ごろでレースを進める。2000m過ぎに集団が分かれた際にもスルスルと前に出て先頭集団が見える位置で残り2周となる。しかし、ラストスパートがうまくかからず目標としていた決勝進出はならなかった。春先から思うように調子が上がらない中だったが、このレースに合わせるという想いが強く感じられるレースだった。3000mSCのスペシャリストとしてこの経験を来年以降につなげてほしい。
鍔のコメント
「レース展開としては良かったですが、まだ勝負できる実力はありませんでした。これからは5000mの記録を狙いにいくので、そこで結果を残して来年は入賞を目標として頑張ります。」
4日目
最終日はハーフマラソンと5000m決勝が行われた。ハーフマラソンには3年の小山洋生(体育3)、5000mには吉田海渡(体育4)と川﨑颯(体育2)が出場した。
ハーフマラソン 小山洋生 67’57 33位
小山洋生は2年連続で箱根駅伝予選会に出走しており、チームでも中心的な選手であるが3月に故障をし万全ではない中で急ピッチで関東インカレに臨んでいた。レースは山梨学院の留学生が大会新記録ペースで引っ張り序盤からハイペースでの展開になる。小山は冷静に集団の最後方から自分でペースを刻んでいった。前方からこぼれてきた選手を拾いながら最後まで走りぬいた小山の姿はチームを引っ張るものとしてのプライドを感じさせるものだった。
小山のコメント
「今回の関東インカレではハーフマラソンに出場しました。3月の怪我から限られた期間で準備をしてきたのでベストコンディションでレースに臨むことはできませんでした。その中でも序盤からキツさを感じていましたが後半にペースを上げることができ、目的通りの走りをすることができました。勝負に加われなかったことはとても悔しいですが、シーズンインとなったので今後のトラックレースで自己記録を更新できるよう頑張ります。応援ありがとうございました。」
5000m 吉田海渡 14’27″19 38位 川﨑颯 14’29″17 39位
長距離最終種目として5000mが行われた。吉田は1500mに続いて2種目目の出場となった。川﨑は今季すべてのレースで自己記録を更新しており、勢いそのままに初の関東インカレに臨んだ。吉田は集団の前方で川﨑は後方でそれぞれレースを進めた。吉田は3000m過ぎまで集団の中で余裕をもってレースを進めたが、ペースアップに対応できなかった。川﨑は4月の日体大記録後に少し練習が抜けていた部分があり調子が上がりきらないレースとなった。レース後にはどちらの選手も悔しい表情を浮かべ今後のトラックシーズンでの飛躍を誓った。
吉田のコメント
「今回の関東インカレでは1500mと5000mの2種目に出場しました。最後のインカレとして上位入賞を目標にレースに臨みましたが、どちらの種目も悔しさの残る結果となりました。特に1500mに関しては、上位を狙えるレース展開だったのにもかかわらず最低限の走りしかできなかったため、実力不足を痛感しました。しかし4年間のインカレで1番充実した大会となったのではないかと思います。ここからはトラックシーズンの後半に入りますが、5000mで目標タイムを達成できるよう今回の悔しさを胸に頑張りたいと思います。応援やサポート等ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。」
川﨑のコメント
「先日行われました、関東インカレ男子1部5000mにおいて、14分29秒17で39着でした。思い描いていた結果とは程遠い走りをしてしまい、かなり悔しさが残るレースとなりました。ここからは、箱根駅伝予選会に向けて気持ちを切り替えて走りに磨きをかけていきます。応援ありがとうございました。」
駅伝監督 木路修平