相馬崇史(体育専門学群3年 / 佐久長聖高校出身)
第5区(20.8km)1時間15分37秒 区間19位
こんにちは! 筑波大学 体育専門学群3年の相馬崇史(そうま たかし)です。今年の正月に、僕たち筑波大学は、桐の葉を胸に、伝統の黄色い襷をかけて第96回箱根駅伝を走ることができました。チーム出場の夢が叶ったのは、日頃より筑波大学箱根駅伝復活プロジェクトへのご理解と、沢山のご支援をいただいたからです。誠にありがとうございます。
26年ぶりに箱根駅伝本戦に出場という「歴史的な経験をしたこと」と選手として「5区を走って感じたこと」、そして、「筑波大学が新たなステージへさらに歩みを進めるためには何が必要なのか」をお伝えしたいと思います。
箱根駅伝予選会を突破して以来、関係者や知り合いからの祝福、マスコミからの取材申し込みがたくさん寄せられるようになりました。授業(テスト)と研究、練習もあり、かなり多忙な生活になったのは当たり前ですが、ここまで注目されるとは、佐久長聖高校で駅伝キャプテンを務めていた僕でも驚くほどでした。
でも、それらは箱根駅伝に出場しなければ、経験できなかったことです。人生で何度も経験できることではないので、嬉しい悲鳴として、覚悟を決めて、全てを受け入れて進んできました(おそらく、チームメイトの皆が同じだったと思います)。いろんな事がありましたが、皆で力を合わせて、箱根駅伝本戦に向けて準備した日々は、とても充実したものになりました。
そして迎えた夢の『箱根駅伝チーム出場』。僕たちの箱根駅伝は、1区の西が大健闘の11位スタートを決め、想定した展開以上の順位で始まりました。そのワクワク感といったら、言葉で表すことのできないほどの興奮を覚えました。しかし、その後は徐々に順位を落とし、5区の僕にタスキが渡ったときには最下位となってしまいました。
当初の目標は、シード権獲得。流れは悪い方向に傾きかけていましたが、流れを変えて、翌日の復路で再スタートを切るためにも、僕の走りがとても重要になると思っていました。
スタートしてから見通しの良いポイントでは、前を走るチームが時々見える状態でしたので、前を走る選手が少しでも大きくなるように追いかけました。しかし、なかなか差が詰まらず、逆に差は広がっていってしまいました。
上り坂の勾配が厳しくなるまでに前に追いつきたいと思っていましたので、焦る気持ちと単独走が続く状況で、どんどん苦しい走りとなっていきました。それでも運営管理車の弘山監督の激と、沿道での割れんばかりの声援が、厳しい箱根の上り坂で僕の背中を“力強く”押し続けてくれました。
レースは終盤、下り坂となってからは、筑波大学としての誇りを示すため、そして何よりこれまで支えてくださった方々に感謝の気持ちを少しでも走りで伝えようと必死に脚を回転させ、一校を抜いて19位で芦ノ湖の往路ゴールに飛び込みました。
筑波大学として26年振りに芦ノ湖のゴールに辿り着いたわけですが、正直、嬉しさよりも、自分がチームの流れを完全につぶしてしまったという申し訳なさと区間19位という目標に遠く及ばなかった不甲斐ない走りに、悔しい気持ちで一杯になりました。
直前までの練習は、チームとしても個人としても充実したトレーニングが積めていただけに、散々な結果はとても残念でなりません。とくに僕は、前回大会で学生連合チームとして5区を走っており、チームでは唯一経験がある分、チームに貢献するのは当然のことと考えていました。さらに、昨年は、体調不良で思うような走りができなかったので、リベンジを果たしたいという気持ちも強かったです。
冷静に振り返ると、自分自身の雪辱を果たしつつ、チームのために何とかしなければならないという気持ちが空回りしてしまったと思います。
今回の結果には、他にも理由がある気がします。昨年、予選会で本戦出場を果たすことを最大の目標にして、僕たちは全てのことに全力で取り組んできました。そして予選会で目標を達成したわけですが、いざ本戦へ向かうとなった時に、チームには少なからず息切れ感が出始めていました。その息切れ感とはフィジカル的な体へのダメージに加えて、メンタル的なモチベーションの維持ができなくなっていたということです。
弱小チームである僕たちが、全ての力を注いで成し遂げた箱根駅伝予選突破。目標達成という気持ちの充実度は半端ないものでした。オリンピック代表を目指してきた選手が、代表を勝ち取った末に挑んだオリンピック本番で惨敗するようなシチュエーションに似ているかもしれません。そのくらい大変なことだったと思います。
僕自身、箱根駅伝を走った経験を少しでもチームに還元しようと取り組みましたが、やはり2ヶ月という短い期間で。チームとして心身のピークをもう一度合わせることにとても難しさを感じました。しかし、それは予選会を突破した他大学も同じです。現に、予選会突破組から4校がシード権を獲得しています。僕たちとシード権を獲得した大学との違いは、予選会までの2ヶ月間の気持ちの在り方と過ごし方にあると感じています。
箱根駅伝予選会を突破した以上、僕たちは、心身共にレベルアップしなければなりませんでした。沢山の支援を受けているのですから、もはや、それは義務とも言えるミッションです。しかし、今回の結果を見ると、それができたのは僅か数人だけ。半数以上が成し得なかったことをチームとしても個人的にも真摯に受けとめたいと思います。
僕たちは、箱根出場校として、2020年度に向かっていきます。上のステージにステップアップするためには、高い目標を掲げ、それに見合ったレベルの高い取り組みが必要不可欠です。箱根駅伝シード権獲得は、以前は想像もできないような雲の上の架空の話でしたが、箱根駅伝の舞台に立った今、具体的な話ができる位置にきたと思います。自分たちには「何が足りて、何が足りていないのか」「何をすべきか」を知り得たことの意味や価値は大きいです。
今年は、総合20位と上位の大学との実力差を突きつけられる悔しい結果となりました。昨年の予選会で起こしたサプライズは、毎年の敗戦で予選通過に必要な尺度(差)を得てきたから起こせたのです。つまり、箱根駅伝で上位に入るために必要なレベルを肌で感じたことで、来年の箱根駅伝で筑波大学が大きく飛躍するための「具体的な模索」が可能になったと思います。4月から僕は最上級生になります。残り一年となった大学生活を悔いの残らないよう、覚悟を持って競技に取り組んでいきます。
最後になりますが、僕たち部員一同、皆様の多大なご支援のおかげで伸び伸びと陸上競技に打ち込める環境が整いつつあることに大変感謝しております。そのご恩に対して、来年の箱根駅伝でキッチリと恩返しできるよう頑張っていきたいと思います。
今後ともご支援・ご声援の程よろしくお願い致します。