大土手嵩(おおどて しゅう)駅伝主将 / 体育専門学群3年
第4区(20.8km)1時間5分33秒 区間19位
こんにちは。筑波大学陸上競技部中長距離ブロック長距離パート3年、駅伝主将の大土手嵩です。平素より多大なご支援・ご声援を賜り、本当にありがとうございます。箱根駅伝を走って感じたこと、思ったことを書かせていただきます。
筑波大学としては26年ぶりの箱根駅伝出場になった今回、多くの方々に注目していただき、たくさんの声援をいただきました。総合20位という成績に終わり、皆様の期待に応える結果を残すことはできませんでしたが、“チーム筑波”の素晴らしさを再認識することになりました。
陸上競技部OBOG(先輩方)・茗渓会・大学教職員・陸上競技部による一致団結したサポートと激励、ご支援者の皆様の熱い応援とご寄附など、箱根駅伝に出場しなければ結成されることがなかった“大きなチーム”。そのエネルギーと期待の大きさに、僕たちは「やらなければ!」と奮い立たされました。
重責を感じなかったと言ったら嘘になりますが、それよりも僕は、駅伝主将としてチームを引っ張りながらも、個人でも絶対に結果を残してやろうという強い気持ちがありました。それは、駅伝主将でありながら、箱根駅伝予選会を選手として走れなかったからに他なりません。その時の悔しさと情けない気持ちは、今までの競技人生で最も大きなものでした。
その悔しさを胸に、11月の5000mと10000mで自己ベストを大幅に更新してきました。自分が予想する以上の記録短縮に、「やっぱり気持ち次第なのかもしれない」と思ったりしました。駅伝主将としての責務、周囲からの期待、個人としての野心など様々な感情が交錯していました。
箱根駅伝予選突破からの11月の多数の自己新記録達成を経験して、皆も同じ感じ方をしていたと思います。箱根駅伝本戦に向かうにあたり、それら様々な感情を整理しながら戦う意志を持つ集団にしていくことが僕の務めだと思うようになっていきました。
ミーティングを重ね、練習用の襷(本番と同じデザイン)を準備し、ロード練習で襷をかけて走るなど、本番を想定した試行を繰り返し、情熱アップとマインドコントロールを促すようにしました。チームの状態もどんどん良くなっていったと思います。
僕自身の調子も上々で、往路の4区を任されることになりました。チームの雰囲気を最高にすることと、大事な往路競走において、少しでも良い位置で5区の相馬に襷を繋ぐことが自分の役割だと思っていたので、当然のことですが、一秒でも早く襷を繋ぐことだけを考えていました。緊張していたとは思っていませんが、実際はどうだったのか?よくわかりません。それくらい凄い雰囲気だったと思います。
3区の猿橋から16位で襷を受け取った段階で前の選手は確認できなかったので、単独走になることを覚悟して走り出しました。最初の1キロは2分50秒前後と少し速くなってしまいましたが、想定内だったので、そこから1キロ当たり3分前後のペースをキープしていければと考えていました。
しかし、順調だったのは3キロ付近までで、そこから急に苦しくなり始め、1キロ当たり3分10秒前後でしか押せなくなってしまいました。「こんなはずではなかった」という焦りから、さらに動きが崩れてしまい、後ろの選手に抜かれても付いていくことができず、次々に抜かれては離されてしまう最悪な走りでした。
運営管理車からは「後半しっかり上げていくぞ」「フォームを意識して」「リズム、リズム」と弘山監督の声がしっかり聞こえていましたが、頭でわかっても、それに身体が反応できない自分がとにかく情けなかったです。結局、最下位まで順位を落として、5区の相馬に襷を渡すことになりました。
1区の西から続いてきたチームの良い流れを僕のところで断ち切ってしまい、本当に申し訳なかったと思います。あらゆる部分で実力不足ではあったわけですが、その中でも自分の力を出し切れなかったことが最大の反省点であると思います。何が足りないかを反省して次年度に活かし、来年の箱根駅伝でリベンジすること。それが僕にとっての2020年のモチベーションの源になると思っています。
箱根駅伝に向けては、予選会の前後も含めた長い間、たくさんの方々に応援していただきました。当日は、沿道での声援やSNSでの激励メッセージ、手紙など、それらすべてが僕たちの力になったことは間違いありません。
僕自身、苦しい走りになってしまいましたが、応援に何度も救われました。後ろから来た選手の足音も聞こえないほどの声援に包まれて走ることができたことは、本当に幸せだったと思います。だからこそ、沿道やテレビで応援してくださっている方々にもっと良い走りをお見せしたかったです。それができなかった自分自身を本当に不甲斐なく感じます。
「出場するだけで素晴らしい」「走っている姿を見られただけで良かった」とたくさんの方に言っていただきました。確かに、僕たちの昨年度の最大目標は箱根駅伝出場だったので、その目標は達成できました。しかし、本来なら、予選突破は本戦で勝負するためのものであるべきです。そのことはわかっていたつもりですが、僕は「チームとして」「一人のアスリートとして」全く勝負できなかったことがとても悔しかったです。
正直に言うと、もっと勝負できると思っていました。ところが、現実は最下位です。予選会という壁を越えたと思ったら、さらに高い壁が目の前に現れたような気分です。高い壁に阻まれた僕たちは、為す術もなく、自身の弱さを再認識することになりました。
「26年ぶり」であることも、「唯一の国立大学」であることも、勝負の世界では何の意味も持たないことを痛感しました。もちろん、大学スポーツは勝ち負けだけがすべてではありませんし、僕たちの競技面だけではない様々な活動や取り組み、姿勢に賛同していただき、応援してくださっている方々がいることは本当にありがたいです。だからこそ、結果という側面からも活動水準の高さを示し、文武両道を体現していくことが僕たちには求められていると、今は強く感じています。
「もう一度箱根に戻ってきて、勝負したい!」これが僕の今の気持ちです。現代のハイレベルな予選会を突破することが簡単でないことは重々承知しています。しかし、26年ぶりの箱根駅伝出場を経て、「俺たちはやればできるんだ」ということを体感し、予選突破の過程を経験できたことは、僕たちの大きな強みになったと思います。今までは、予選敗退の経験しかなかったチームだったわけですから、この一歩前進した価値は絶大です。
次回はサプライズとは言わせない、もっと強くなった筑波大学で箱根路に戻ってきます。
今後とも変わらないご支援・ご声援をどうぞよろしくお願いいたします。