猿橋拓己(さるはし たくみ)理工学群 社会工学類3年
3区(21.4km)1時間4分33秒 区間16位
こんにちは。筑波大学陸上競技部中長距離ブロック長距離パート3年の猿橋拓己です。平素より多大なご支援・ご声援を賜り、誠にありがとうございます。筑波大学が26年振りに箱根駅伝出場を果たすことができたのも、日頃より熱いご声援をくださる方々が沢山いらっしゃったからです。僕たちには感謝の気持ちしかありません。
その想いを胸に、僕は今年の箱根駅伝にて筑波大学の代表として3区を走りました。夢の舞台で実際に走って感じたことを書かせていただきます。
戸塚中継所に着いて走る準備をしている間、西(体育3)が1区で好走するのをモニターで確認していました。チームに勢いをつける同級生の走りを見て、「僕もやってやる」と自然と気合いが入りました。ウォーミングアップをしながら、その気持ちは最高潮に達し、スタート前は興奮と緊張が入り交じる心地よさに変わっていきました。それはきっと、箱根駅伝という舞台だからこそ出現する特別なものなのだと思います。
中継所で金丸先輩(体育4)を今か今かと待ち、先輩が筑波の黄色い襷を手に握りしめ中継所に飛び込んだ時の気持ちの昂ぶりは、言葉では表すことができません。夢の舞台に立った高揚感と自分自身への期待感、重圧など、今まで味わったことのない感覚でした(ずっと忘れることのない感情だと思います)。しかし、いざ走り出すと、意外にも緊張することなく集中できました。あっという間に終わってしまった21.4kmだった気がします。
3区は往路の前半区間ということもあり、他大学はエース級の選手を配置してくるだろうと覚悟していましたが、自分の力を発揮すれば勝負ができると臆することはありませんでした。具体的には1時間4分0秒を区間順位の真ん中と予想して、そのタイムを上回ることを目標に掲げていました。
結果は、目標に33秒及ばす、区間順位としても全く納得のいくものではありませんでした。1区の西が好スタートを切り、2区の金丸先輩が流れをつくり僕に襷が回ってきましたが、順位を2つ落とし、4区の大土手(体育3)、5区の相馬(体育3)の負担が増す状況にしてしまいました。レースの流れを悪い方向に向けてしまったことは、申し訳ない気持ちで一杯です。
タイムの評価としては、目標から遅れたものの、自分の力は、ほぼ出し切れたとも感じています。21.4kmというハーフマラソン以上の距離を走るにあたり、途中の5km通過では5000m(トラック)の自己ベストよりも速いタイムで通過、ハーフマラソンの通過タイムも計算上では1時間3分40秒でしたから、自己ベスト以上のタイムで走ることが出来ました。決して満足しているわけではありませんが、最低限の走りはできたと思っています。
それでも区間で16位。5000mの自己ベストよりも速いタイムで通過した5km地点ですでに順天堂大学、中央大学に置いて行かれました。そもそも「僕自身の実力が全く足りていないのだ」と、箱根駅伝常連校との力の差を肌で感じることになりました。
抜かれはしましたが、闘志を保ったまま最後まで走ることができました。たくさんの沿道からの声援や日頃より応援してくださる方々のおかげです。沿道の熱気、夢の舞台を疾走した1時間は、他では味わうことのできない最高のものでした。
箱根駅伝を通じて、多くの友人やお世話になった方々に、僕が箱根駅伝を走る姿を見ていただくことができ、さらには「お疲れ様」「感激した。ありがとう」といった言葉までいただきました。この舞台を走り、結果を残すことがお世話になった方々への一番の恩返しになると感じました。
昨年の予選会で26年ぶりの箱根駅伝出場権を獲得し、箱根駅伝の舞台に立てたことは、僕にとって大きな出来事になりました。箱根駅伝という小さな頃からの夢を叶えることになったからです。しかし、そんな僕個人の気持ちよりも、共に切磋琢磨してきた仲間たちと心の底から喜びを分かち合う歓喜の瞬間(予選会)と箱根駅伝本戦に向けた取り組みは、何にも増して“かけがえのないもの”になりました。間違いなく今までで最高の経験をしたと思います。
だからと言って、箱根駅伝出場を果たしただけで満足する気はありません。今年の予選会、そして来年の箱根駅伝にて今年以上の喜びを感じるために、第96回箱根駅伝予選会&本戦の結果を超えるべく、もっと上を見据えて頑張っていくつもりです。10月の予選会でしっかりと勝ち上がり、箱根駅伝という舞台でリベンジを果たすことを何としてでも成し遂げたいと思っています。僕にとっての学生生活ラストイヤーになりますから、全てをかけて挑みます。
箱根駅伝を実際に経験して、「他大学のエースに肩を並べる選手がいないと勝負にならない」ということを皆が痛感しました。チームの課題は、エースの育成です。4年生となる以上、僕がエースにならなければなりません。チームを“走り”と“背中”で引っ張っていくためにも、強い意志と責任感をもって競技に打ち込んでいきます。
最後になりますが、僕たちは国立大学の代表として、そして、筑波大学らしく、目標に向かって突き進んでいきます。箱根駅伝を経験し、筑波大学の長距離チームはさらに進化していくことができると確信しています。その大きなエネルギーとなるのがたくさんの「頑張れ」という応援です。これからもご声援・ご支援をよろしくお願いいたします。