西研人(体育専門学群3年/京都・山城高校出身)
1区(21.4km)11位 / 1時間2分46秒
こんにちは。筑波大学陸上競技部中長距離ブロック長距離パート3年の西研人(にし けんと)です。「箱根駅伝を走って」と題して、走った学生10人が思ったこと・感じたことを書かせていただき、1区から襷リレーのようにレポートを繋いでいきます。1区を走った僕からのスタートです。
まずはじめに、26年ぶりの箱根駅伝出場に至るまでのご支援、箱根駅伝当日の応援には、感謝の気持ちしかありません。皆さまのご支援があったからこそ、僕たちは箱根駅伝のスタートラインに立つことができましたし、たくさんの声援に背中を力強く押され、最後まで諦めず前を追い続けることができました。本当にありがとうございました。
さて、SNSでも発信してきましたが、僕にとって初めての駅伝が、実は今回の箱根駅伝でした。駅伝自体が初めてである僕にとって、箱根駅伝は強烈なインパクトがありました。沿道を埋め尽くす観衆(応援者)、ずっと絶えることのない声援は、僕の予想を遥かに上回り、体中から力が湧いてくるような感覚を初めて味わいました。
走っていく先に見える「筑波大学を応援するフューチャーブルーに染まった一団」が近づいてくると、声援はどんどん強くなり、「西!」と自分の名前を連呼されます。電気が体中に流れるような初めての体感と気恥ずかしい気持ちなどが入り交じり、真剣勝負の最中なのに思わず笑みがこぼれてしまうほどでした。
熱い応援の中、筑波大学の黄色いタスキをかけて走れるということで、気分は最高潮に達し、これまでの競技生活で間違いなく最高の経験でした。「ここまで諦めずにやってきて良かった」と本当に幸せな気持ちになりました。
僕自身が走っている間、その後、襷リレーを見守りながら芦ノ湖へ向かう時間も、復路の仲間を応援するときも、ずっと興奮状態が続きました。しかし、筑波大学は総合20位に終わってしまいましたので、大会終了後は落胆しました。「箱根駅伝はそんなに甘くない」「チーム、個人としてもまだまだ実力不足なのだ」と感じさせられましたが、同時に、これほどのかけがえのない体験ができるならば、来年も箱根駅伝に出場し、この興奮を絶対に味わいたいと強く思いました。
僕は1区を走り、1時間2分46秒で区間11位でした。多くの人たちに「よく頑張ったな!」と評価していただきましたが、箱根駅伝を振り返ってみると、こみ上げてくるものは“悔しさ”しかありません。僕にとっての悔しさは、力を出しきれなかったという後悔の意味ではなく、「力を出せてやっとこの程度か」という自分自身の弱さへの悔しさです。
実際に、箱根駅伝は非常に好調な状態で迎えられ、10kmの通過がトラックでの1万mの自己記録よりかなりの速いペースになりましたが、その流れに乗って自己ベストを40秒も上回るタイムで通過しながら最後まで走りきれました。しかしながら、順位は11位で、上にはまだ10校もいるという結果でした。
非常に調子も良いなかで、10kmを自己記録より40秒も速く通過して、後半必死に粘ってやっと11位か・・・。「こんなにも上位とは差があるのか」という悔しさは大きいです。
これが箱根駅伝という舞台ではなく、単なるロードレースで、このタイムならば、僕は素直に喜び、満足していたと思います。しかし、箱根駅伝で戦ってみて、弱い自分が悔しいと思えるようになりました。箱根駅伝で戦ったからこそ、「更に高いレベルへ到達したい」という向上心が生まれました。
こう考えると、晴れの舞台というのは、選手の成長に欠かせないものだと感じます。箱根駅伝に出場している大学との差は、晴れの舞台で味わう喜びや悔しさなどの心の刺激の大小なのではないかと思います。
「こんなものではいけない」「もっと強くなって上のステージで勝負したい」という思いが今、僕の中で強くあります。この強い意志で行動し続ければ、一年後には今以上の自分になり、かなり違った結果が得られるだろうと信じています。
僕自身の再スタートとして、まずはこの冬季シーズンで課題に向き合いながらしっかり鍛練し、これからのロードレース、トラックレースで自己ベストを大幅に更新できるように取り組んでいきます。
今回、箱根駅伝に出場して、「出場できる喜び」「戦う厳しさ」というものを、僕を含めチーム全員が色々な立場から経験・体感しました。それらひとつひとつを一年間、それぞれの胸に持ち続け、来年の箱根駅伝では、さらに強くなった筑波大学をお見せしたいと思います。
今後も変わらぬご支援・ご声援よろしくお願いいたします。