7月23日に、町田GIONスタジアムにて第33回六大学対抗戦が、8月24日・25日に熊谷陸上競技場にて第71回関東甲信越大学体育大会が行われました。1~2年生を中心とした下級生が陸上競技部の代表として出場しました。その結果を報告致します。(担当:國井辰磨)
第33回六大学対校陸上競技選手権大会(7月23日)
対校戦ということもあり、出場選手は他大学と戦えるだけの走力や勝負強さを持った学生が選ばれた。チームとしては箱根駅伝予選会に向けての夏季一次強化期間の真っ最中であり、主力選手となる学生が出場するのは難しかった、元気な下級生が代表選手に選ばれた。時期的なこともあり、インカレと比べると大会の重要度は少し低くなるが、代表選手は公式ユニフォーム(青色の桐の葉)を着用して出場することになるので、その責任とプレッシャーは、それなりに大きくなる。
男子3000m
この日の天候は晴れ。スタート前の10時の時点で、気温はすでに32℃(体感温度は、相当高い)。照りつける日差しが、レース前から選手の体力を奪う状況は、長距離走レースには厳しいコンディションだった。筑波大学の代表として鈴木将矢(医学1)と寺田周世(人文1)が出場した。鈴木は7月初めに行われた競技会にて1500mの関東インカレB標準記録を突破するほどの実力を付けてきた選手。まだ練習を積んでいない時期に3分55秒を切ってくるあたり、これからの成長が非常に楽しみな選手だ。寺田も入学してから順調に練習を継続して、自己ベストを更新し続けており、今後の飛躍が期待できる選手だ。
レースは最初からハイペースな展開になった。他大学の選手が先頭集団を形成する中、鈴木は1000mを2分45秒で通過。そのままのペースを維持したままレースは進んでいき2000mは5分37秒(この間の1000mは2分52秒)。最後の1000mも粘りの走りを見せ、8分32秒91でゴールした。鈴木は7位に入賞し2点を獲得した。
寺田は初めて経験するハイレベルなレースだけに、流れに乗ることができず、前半は第4集団に位置してレースを進めた。1000mを2分50秒で入り、前の選手を追いながら8分49秒37でゴールした。
二人ともこの種目での自己ベストを更新したが、それよりも対校戦という特別な経験をすることができた価値は大きい。まだまだ未知の可能性を踏める一年生。これからの成長に期待し、チームに刺激を与えるような選手になってもらいたいと思う。
寺田コメント「初めての学外の試合、さらに初めての青桐ユニフォームを着用しての対校戦ということで、レース前はひどく緊張していました。また会場への到着が遅れたことでウォーミングアップがあまりできなかったアクシデントもありましたが、レース本番では今の持てる力を発揮し、自己ベストを約10秒更新することができました。自己ベストという結果に安堵しつつも、対校戦としては筑波大学の得点獲得には至らなかったことから、この先さらに実力を伸ばしてかなければならないと思いました。」
組 | 順位 | 名前 | 所属 | 記録 | 備考 |
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1 | 7 | 鈴木将矢 | 医学1 | 8:32.91 | PB |
10 | 寺田周世 | 人文1 | 8:49.37 | PB |
男子1500m(オープン種目)
オープン種目の1500mのレースに出場したのは、基礎トレーニング組で練習を積んできた小牧直登(体育1)。身長が高く、引き締まった身体の持ち主で、他大学の選手を相手に、どのようなレースを見せてくれるのか、期待がかかった。
スタート直後にアクシデント(スタートして200mで機械の誤作動でストップ)があり、対校戦の1500mを先に実施することになった。時間が経ってからのレースのやり直しは、選手にとって精神的な負担になる場合が多い。一年生という経験が浅いなかで、このような展開は小牧にとっては少し不利になると思われたが、再スタートすると小牧が先頭を引っ張る積極性を見せてくれた。
最初の1周は62秒で、十分に3分台を狙えるペースだったが、終盤は先頭集団から遅れてしまった。再スタートによる競技時刻の変更による動揺、さらに、暑さが厳しい中での前半の力みが、レース後半の走りに影響を及ぼしたように思える。様々な要因があったにせよ、勝負所で離れ、2周目以降はペースを落としてしまったのは反省すべき点だろう。しかし、ラスト400mは気持ちで切り替え、63秒と再びペースを戻して、最終的に7位でゴールし、タイムは4分5秒60だった。
小牧コメント「今回はオープン種目への出場でしたが、初めて筑波大学陸上競技部の代表として出させていただき、いつもの記録会とは違った緊張感がありました。結果は7位で4分5秒とタイムも順位も振るわず、とても悔しかったです。しかし、これから箱根駅伝で戦わなければならない私立大学の力を肌で感じ、もっと頑張らないといけないな、と気持ちが奮い立つような経験ができたことは良かったと思います。来年も、もし機会をいただけるようなら、対校戦のほうで必ずリベンジしたいと思います。」
組 | 順位 | 名前 | 所属 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
OP | 7 | 小牧直登 | 体育1 | 4:05.60 |
第71回関東甲信越大学体育大会(8月24~25日)
関東甲信越大学体育大会には、筑波大学では主に1・2年生が出場する、いわば「新人戦」のような大会だ。7月の筑波大学競技会で選考された下級生が、代表選手として青色の公式ユニフォームを身にまとい、上位成績を目指し力走した。
男子1500m
この種目は午前中に予選があり、その4時間後に決勝が組まれる競技スケジュール。六大学対校選手権でも活躍した鈴木将矢が、今回も代表選手として出場した。
予選は3組あり、決勝に進めるのは組上位3人と全体を通してゴールタイムの速い3人である。鈴木の出場する組は超スローペースでレースが進んでいった。スローペースということは、+3のタイムでの決勝進出のチャンスが見込めない状況になるので、その組の中で上位3番以内に入る必要がある。
もともとスピードに定評のある鈴木だが、勝負がかかる場面においては、能力発揮は未知数であった。しかし、そんな心配は杞憂で、ラスト1周を61秒でカバーして1着でゴールし、余裕の表情で決勝に駒を進めた。
決勝は午前中よりも蒸し暑く、立っているだけでも息苦しい気象コンディションの中でのレースとなった。厳しい気象コンディションを考えると、スローペースになることは間違になく、順位を獲りにいくには難しいレースになることが予想された。予選で勝負強いことを証明した鈴木だが、4時間後のレースで、もう一回スパートをかける力が残っているかどうか、本人も未知数であったようだ。
予想通りのスローペースになった決勝。最初の1周は70秒という予想を超えるスローな展開になった。鈴木は、すぐさま先頭に立ち、300~800mまでレースを引っ張った。ラスト400mになるとスパートが得意な他大学の選手が一気に飛び出し、少し反応が遅れたかたちに。必死に追い、最後まであきらめずに先頭に詰め寄ったが、1位には僅かに届かず、2位でゴールした。2本目のレースにもかかわらず、最後の1周を58秒でカバーできたことは、体力が養われている証拠であろう。さらなる飛躍が期待できる内容だったと思う。
鈴木コメント「今回1500mを走らせていただき、2位入賞することができました。暑さもある中、1日で予選・決勝とありましたが、自分の実力を発揮する走りができました。これから夏の入り込みを経て、駅伝シーズンに入っていくので、気持ちを切り替えて練習に励みたいと思います。応援ありがとうございました。」
組 | 順位 | 名前 | 所属 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
3 | 1 | 鈴木将矢 | 医学1 | 4:15.17 |
〈決勝〉
組 | 順位 | 名前 | 所属 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 鈴木将矢 | 医学1 | 4:07.07 |
男子3000mSC
3000mSCが行われる時間帯はちょうど雨が上がり、日差しが出てきたタイミングで実施された。例えるならば、サウナの中走っているような過酷なコンディションと言える。それもそのはず、スタート時点の気温は31℃で、湿度は98%もあった。湿度は長距離を走るうえで、気温が高いと身体に大きな負担を与えることになる。厳しいコンディションにも対応できるかどうかが問われるレースになると予想された。
鍔颯人(体育1)が代表選手として出場したが、3000mSCを走るのは久しぶりで、少し緊張していたように見えた。最初からペースが遅かったために、1周目から先頭に出たが、暑さの影響を受けて、ペースを上げきることができなかった。最後の1周まで後ろで力をためていた他大学の選手がスパートした際、鍔は対応できず、悔しい2位でのゴールとなった。
3日前まで合宿をしていたこともあり、疲労が残る中での暑さは、とても堪えたようだ。悲観することなく、この調子で成長を続けていってもらいたい。
鍔コメント「気温が高く、自分が苦手なコンディションの中でのレースでした。2位にはなったものの、自己ベストからは程遠い記録に終わり、改めてレースの難しさを感じました。大学初の公式戦は悔しい結果となってしまったので、次からは挽回できるよう頑張っていきたいと思います。」
組 | 順位 | 名前 | 所属 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 鍔颯人 | 体育1 | 9:50.70 |
男子5000m
1日目の過酷な環境とは違い、2日目に行われた5000mのスタート時点での気温は26℃で、この時期にしては走りやすいコンディションでレースは実施された。昨年もこの大会に出場している中山純静(体育2)は、持ちタイムが出場選手の中でトップ。中山は直前までチームの強化合宿に参加しており、疲労が残る中での大会出場になったが、筑波大学の代表として優勝しなければならないという強い気持ちでレースに臨んでいた。
レースは1000mを3分13秒で通過、普段の練習からして充分余裕のあるペースだ。しびれを切らした中山は、2000m過ぎから先頭に出て集団を引っ張る展開に。それでも余裕がある中山は残り600mからロングスパート。2位を大きく引き離し、目標通りの1着でゴールした。
中山コメント「昨年の関甲信では残り2000mでスパートをかけて逃げ切りを図りましたが失速し、3位という悔しい結果に終わってしまったので『今年こそは絶対に優勝するんだ』という強い気持ちでスタートラインに立ちました。2000mでペースが落ちたタイミングで反応し、前に出てからは先頭を譲らずにそのまま優勝することができました。タイムは振るいませんでしたが、大学の代表として出場するという緊張感で勝ち切れたことはとても貴重な経験になりました。この優勝を自信にして箱根駅伝予選会に向かっていきます。」
組 | 順位 | 名前 | 所属 | 記録 | 備考 |
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1 | 1 | 中山純静 | 体育2 | 15:33.52 |
鈴木の勝負強さや中山の優勝といった下級生の活躍が目立った大会となりました。この経験は必ず自分自身の成長につながりますし、チームにも勢いをもたらしてくれます。彼らは上位陣と比べると実力差があるのは確かですが「今年の筑波大は上位陣だけでなく、中間・下位層も強いんだぞ」ということをアピールできたのではないのかと思います。これからも筑波大学の応援をよろしくお願い致します。