第91回日本学生陸上競技対校選手権大会(日本インカレ)は、2022年9月9~11日に「たけびしスタジアム京都」で開催され、男子長距離パートからは3名の学生が出場した。その結果を報告させていただきます。(医学群・医療科学類 3年 長谷川嵩汰)
【9月9日(金)1日目】
日本インカレは3日間開催だったが、長距離パートの学生が出場する種目はすべて1日目の9月9日に実施された。この日の最高気温は30℃を少し超え、時折降る雨の影響で湿度がとても高く、1日を通して身体にまとわりつくような湿気があった。長距離走種目にとっては非常に厳しい気象条件となったが、3人は入賞を目指して、集中してレースに臨んだ。
10:05~ 1500m予選 第2組 8着 3’52″85
吉田(体育2)が予選2組目で出場。2組目は超ハイペースで展開されるレースとなり、スタートして400mは、集団の最後尾を走りながら集団に付くかたちになった。800mに差し掛かるころには、集団はかなりの縦長になったために、ラスト1周では先頭集団との差が開いてしまった。それでも最後まで前の選手を追いかけ、一人一人追い抜きながら8着でゴールした。
箱根復活プロジェクトに参加している学生たちは、夏の期間中、予選会(ハーフマラソン)に向けた練習を積んでいる。吉田もチームにとって貴重な戦力の1人であり、長い距離に対応する練習を継続している。その中で、1500mという短距離のスピードが求められるレースに対応するのは、かなり難しいと言える。レースの序盤、集団の最後尾に位置することになったのが、今の吉田の状況を物語っている。
合宿の疲労もある中で、この日のタイムや走りは、上出来と言えるかもしれないが、直前に捻挫した影響が大きかったように感じる。予選会に向けた走り込み中であることと、捻挫というアクシデントがあったこと、1500mという短い距離の種目であること、それらを考慮すると日本インカレ出場しないという選択肢もあった。だが、陸上競技部の一員として、陸上部が最大目標とする大会を簡単に棄権するわけにはいかない。大舞台で走る経験は予選会当日にも活きてくるだろうと考えての出場だった。
吉田コメント
「今回初めて全日本インカレを経験し、一筋縄ではいかないということを痛感しました。予選突破を目標としてレースに臨みましたが、ハイペースな展開に付いていけず、予選敗退となってしまいました。しかし、ハーフマラソンの練習をしていながらも、ある程度のタイムで走れた点や、全日本インカレを2年生で経験できたことは、自分にとって、プラスの経験になったと思います。来年は入賞できるよう精進したいと思います。応援ありがとうございました。」
16:05~ 3000mSC決勝 7着 8’54″92
昨年の日本インカレ3位、今年の関東インカレ3位と、2連続でインカレの表彰台に上がった松村(体育4)が出場するとあって、上位入賞が期待された。レースは比較的スローペースだったが、1500mに出場の吉田同様集団の後方からのスタートとなった。
ハードルをゆとりをもって跳ぼうとするあまり、レースの序盤から先頭集団との差が開いてしまった。周囲はヒヤリとする場面となったが、箱根駅伝予選会に向けて走り込む中でのスピード不足を考慮した冷静な判断だったようだ。1000mを過ぎたあたりから集団がばらけ始め、松村の前方の選手たちが崩れてきたところを、同じ筑波大学の重山(M2・中距離パート)とともに追い抜きながら、先頭集団の少し後方の第2集団で持ちこたえた。
2000mで先頭集団で動きがあり、縦に伸び始めたとき、松村はこれにいち早く反応し、そこから着実に先頭集団後方との距離を詰めていった。ラスト1周に差し掛かるところで入賞圏内に入り、最後はもう一人を抜いて7位入賞を果たした。
後で話を聞くと、2000m付近ですでにかなり苦しい状態であったが、前が崩れるのを見てなんとか持ちこたえたそうだ。ハーフマラソンに向けた練習を続ける中で、スピードレースへの対応は苦しいところではあったが、レース後半に身体が動かなくなるような場面でも持ちこたえることができたのは、間違いなく走り込みという強化の成果であろう。インカレで活躍する松村には、最後の箱根駅伝に挑戦するためにも、予選会での活躍に期待がかかる。
松村コメント
「沢山のご声援ありがとうございました。同期や他ブロックの活躍が目覚ましい中、自分の成績に対し悔しさが大きいですが、何とか入賞することができ、微力ながら筑波大学に貢献することができ嬉しく思っています。
入学時から3000mSCで日本一になることがインカレでの最大目標でした。中々上手くいかないことが多く、振り返ると苦しい4年間でした。入学してから約1年半、怪我に苦しみ、結果を出していく仲間を見て悶々とする日々が続き、競技をすることがストレスになっている時期もありました。地道ではありましたが、諦めずに競技に向き合った結果としてインカレで活躍することができたのかなと思っています。
チームはこれから箱根駅伝予選会に向けて実践練習の時期に入ります。本戦出場を決め、昨年の悔しさを全員で晴らせるように頑張りますので、筑波大学の応援のほどよろしくお願い致します。」
19:20~ 10000m決勝 11着 29’51″02
10000mには我らが駅伝主将、福谷(体育4)が出場した。勢いよくスタートし、外国人選手の引っ張るハイペースになったレースにも臆せず入賞を狙う意気込みが感じられた。速いペースで流れたために、1000mに差し掛かる頃には先頭集団の隊列は伸びるほどだったが、福谷は中央の良い位置取りで走っていた。
3000m過ぎで福谷の少し前で集団が2つに割れるも、福谷は後方集団から抜け出して前を追って先頭集団に再び追いつくという積極的な姿勢を見せ、入賞が見えるようなレースを展開した。4000m過ぎに集団から離れてしまったが、一人になっても、着実にペースを刻み続けた。後半はハイペースなレースに積極的に加わった反動や暑さ、さらに強化合宿直後の疲れから、ペースダウンを余儀なくされたが、29分51秒02の11位でゴールした。
10000mは日本インカレで最も距離が長い種目であり、その種目で福谷が全国レベルの選手たちに果敢に挑み、11位になったことは、チームにとって大きな自信となった。夏の強化期は他校との比較がなかなかできず、自分たちが勝負できるレベルなのか不安に思ってしまうこともある。そんなチームの不安を払拭しくれるような積極的な走りを駅伝主将がしてくれたことで、チームの士気がまた一段と高くなったのを感じた。
福谷コメント
「外国人留学生がいることに加えて、それなりに暑さもあったので、ハイペースにもスローペースにもなることが考えられ、いくつかのレースパターンを想定して臨みました。結果として、外国人選手が速いペースで引っ張り、自分としては前半から突っ込む展開となりました。序盤は上手く集団で走れたものの、中盤に集団が動き出した時に反応出来ず、ずるずる後退してしまいました。集団が動いた際にもうワンテンポ早く反応出来たら終盤まで入賞を狙える展開に持っていけたかもしれないと思うと、悔しさが残るレースとなりました。
しかし、強化合宿を9月初旬に終えてから限られた時間の中でレースに向けて状態を上げていき、前半は自分でも入賞を狙えると思えるような走りができたのは良かったと思います。レースでの学びはとても多く、予選会まで自分がやるべき事も見えてきたので、あと1ヶ月で出来ることをして予選会に臨むことができたらと思います。現地で応援してくれた支援者の方もいらっしゃったようで、とても嬉しかったです。今後も応援のほどよろしくお願いします。」
暑さと合宿の疲労が残る中、3人の主力選手たちが日本学生陸上競技対校選手権大会でも最大限の力走をしてくれました。これが今の筑波です。もちろん、この3人の他にも沢山の有力候補生(これから強くなるであろう選手)がいて、予選会に向けて強化してきました。箱根駅伝予選会まで1ヶ月を切り、各学生も調子を上げ、感覚を研ぎ澄ます時期が近づいてきます。
今年の筑波大の活躍に期待してくださる方々が沢山いらっしゃることは、継続寄附型のスタイルに転換した本プロジェクトのご支援を通して感じることが出来ています。この場をお借りしてお礼申し上げます。皆様の期待に応えられるよう、残りの1ヶ月を精一杯精進してまいります。引き続き応援よろしくお願い致します。
夏合宿の様子は一部をSNSで発信しておりましたが、まだまだ発信できていない内容も数多くあります。情報発信班としては、皆様に筑波大学の現状を少しでもお届けできるよう、努力してまいりますので、今後とも筑波大学の応援をよろしくお願い致します。