関東学連主催10000m記録挑戦競技会は、11月23日(土)に慶応義塾大学日吉キャンパスで開催され、筑波大学からは19名の学生が出場し、13名が自己新記録をマークしました。現在のチームの勢いを示す結果であり、箱根駅伝に向けて、さらに勢いが増すこと必至です。その結果報告とチーム状況を報告させていただきます。(担当:猿橋)
10月末の箱根駅伝予選会の激戦からちょうど4週間が経ち、チームは箱根駅伝本戦に向けて準備を進めている最中。そんな中で、実践練習という位置づけで(十分な調整をせずに)臨んだ競技会ではあるが、学生たちは、箱根駅伝の予選通過がフロックではなかったことを十分に示す走りをしてくれた。
この日は、朝から冷たい雨が降り、時折吹く風も強い。実際の気温よりもカラダは寒く感じられた。決して、良好なコンディションとは言い難い上に、この記録会に体調を合わせてきたわけではない。各々に疲労は残るものの、全員が自信を持ってスタートラインへと向かっていく雰囲気があったように思う。今のチームに漂う空気には「静寂な中に潜むエネルギーの充満」が感じられる。
そんなチームの状態を表すように、出場した学生たちは、次々に自己記録を塗り替えていった。終わってみれば、19人が出場して13人が自己新記録をマーク。自己ベストでなかった2人も29分台という非常に中身の濃いレースとなった。(自己記録の伸びと短縮したタイムの内訳を以下に示してみた)。
<自己ベストをマークした13人の内訳>
☆ 金 丸:29’50″21⇒29’20″57(-29″64)
☆ 西 :29’52″34⇒29’27″45(-24″89)
☆ 大土手:30’14″20⇒29’31″58(-42″62)
☆ 猿 橋:29’53″99⇒29’36″47(-17″52)
☆ 杉 山:30’27″30⇒29’38″59(-48″71)
☆ 伊藤太:30’33″53⇒29’56″04(-37″49)
☆ 小 林:30’32″27⇒29’56″19(-36″08)
☆ 児 玉:30’05″45⇒30’02″21(-3″24)
☆ 岩 佐:30’33″46⇒30’10″28(-23″14)
☆ 國 井:32’28″04⇒30’13″82(-2’14″22)
☆ 田 川:30’58″12⇒30’23″25(-34″87)
☆ 河 合:初 挑 戦⇒30’43″12
☆ 福 谷:初 挑 戦⇒30’49″51
<自己ベストに及ばずも29分台の2人>
★ 相 馬:29’27″77⇒29’57″21(+29″44)
★ 川 瀬:29’54″50⇒29’59″98(+5″48)
これで1万m資格タイムの10人平均は、29分43秒42まで上昇した(ベストタイムの10人平均は29分40秒47)。
▼では、ここから各組のレース内容を簡単に報告します
<第2組>
チームの初陣として、2組目に1万m初挑戦となる福谷(体育1)が出場。初挑戦とあって、福谷は、集団の後方でレースを進めていった。4000mで集団から離されてしまったが、後半も崩れることなく、初の1万mを30分台でまとめてみせた。風が強い中では、レースの後半に一人でペースを上げるのは難しい。後半よく粘ったが、この日の気象コンディションは、後手に回ると厳しいと感じる。
「2組 結果」
着順 | 名前(所属) | タイム | 備考 |
---|---|---|---|
10 | 福谷颯太(体育1) | 30’49″51 | PB |
<第3組>
第3組目には、伸び盛りの1年生・國井(体育1)と五十嵐(体育1)、1万m初挑戦の河合(体育2)、怪我明けの藤田(体育4)と田川(医学3)が出場。この組は、先頭集団のペースが速く、前半から早々と集団は3つに分かれた。積極的に第1集団で走る田川、第2集団の流れに乗った藤田と河合、後方で自重した國井と五十嵐という具合に、それぞれの集団での位置取りになった。
田川は持ち味である積極性を発揮して、30秒以上も自己記録を更新。河合も第2集団から離れずに最後まで走り切った。二人とも後半の落ち込みが少ないことから力を付けていることは明らかである。
もったいなかったのが國井。4000m地点で、先頭とは100mも離された最後方集団にいながら、一人でグングンと上がっていき、後半の5000mを14分53秒でカバー。風が吹くコンディションで単独走の後半のペースアップは圧巻だった。29分台も狙えたのではないかと思う。
「3組 結果」
着順 | 名前(所属) | タイム | 備考 |
---|---|---|---|
4 | 國井辰磨(体育1) | 30’13″82 | PB |
7 | 田川昇太(医療科3) | 30’23″25 | PB |
13 | 河合俊太朗(体育2) | 30’43″12 | PB |
19 | 藤田黎士(体育4) | 31’35″62 | |
22 | 五十嵐優汰(体育1) | 32’38″84 |
<第4組>
ほぼ3分前後でレースが流れた第4組。児玉と渡辺が積極的に前に付け、他の者は真ん中から後方に位置した。淡々と流れたレースは、終盤にさしかかるほど集団が崩れ、7000mからペースが落ちた集団にいた児玉と伊藤、岩佐は29分台に黄色信号が点灯していった。伊藤は、意地でも29分台という走りで見事に目標を達成。
児玉も必死で粘ったが僅か2秒及ばない結果は残念だったが、約2年振りにベストを更新し表情は明るい。
岩佐は終盤のキレ味がなく29分台には10秒届かなかったが、調整なしのレースと思えば、1年生だけに十分な走りと言える。
「4組 結果」
着順 | 名前(所属) | タイム | 備考 |
---|---|---|---|
3 | 伊藤太貴(体育2) | 29’56″04 | PB |
8 | 児玉朋大(体育3) | 30’02″21 | PB |
9 | 岩佐一楽(体育1) | 30’10″28 | PB |
14 | 渡辺珠生(体育3) | 31’52″90 | |
17 | 山本尊仁(応理2) | 31’02″48 |
<第7組>
この組は、明治大の二人が快調に飛ばし、レースは速い流れで推移した。集団は3つに分かれ、第2集団を相馬が引っ張った。その集団には、大土手と杉山、小林が加わった。川瀬は、第3集団で流れに乗った。相馬が疲れてきたところで、大土手や杉山が前に。
6000mからは大土手がペースを落とさずに引っ張り続け、ラストスパートも利かせて、2年振りに自己記録を更新。しかも、42秒の更新である。駅伝主将の伸びは、頼もしく感じる。
杉山も大土手に喰らい付き、48秒もベスト記録を更新。大器が花を開きだした。
第2集団から遅れた相馬と小林は、川瀬がいる第3集団に吸収されたが、そこから息を吹き返し、3人揃って29分台をマークしたのは、チームが地力アップしている証だろう。1年生ながら29分台をマークした小林も立派。スピード能力が高いだけに、今後が益々楽しみになってきた。
「7組 結果」
着順 | 名前(所属) | タイム | 備考 |
---|---|---|---|
4 | 大土手嵩(体育3) | 29’31″58 | PB |
7 | 杉山魁声(体育2) | 29’38″59 | PB |
18 | 小林竜也(体育1) | 29’56″19 | PB |
20 | 相馬崇史(体育3) | 29’57″21 | |
21 | 川瀬宙夢(医学5) | 29’59″98 |
<第12組>
この組は29分前後を目標タイムとするグループ。しかし、スタートからペースは上がらない。2000m過ぎには3分/km ペースをオーバーする周回も出てきた。さすがにこのペースまで落ちては、何のための記録会かわからない。西は4000m手前から先頭に出て、ペースを上げてレースを作った。
誰も前に出てくれないまま後半に。急激なペースアップに対応できたのは、金丸だけで、西と猿橋は集団から遅れてしまった。
金丸は最後まで先頭集団に必死に食い下がり、自己記録を30秒近くも更新する大幅なベスト。西もラスト1周を猛然とペースアップして、この日の最低限の目標と掲げた29分30秒切りを達成した。猿橋は、最後までペースが切り替わらないままゴールしたが、それでも大きくベスト記録を更新した。予選会で見せた力は示した。
「12組 結果」
着順 | 名前(所属) | タイム | 備考 |
---|---|---|---|
8 | 金丸逸樹(体育4) | 29’20″57 | PB |
10 | 西研人(体育3) | 29’27″45 | PB |
14 | 猿橋拓己(社工3) | 29’36″47 | PB |
箱根駅伝予選会前に弘山駅伝監督から何度も言われた言葉を思い出した。みんな相当強くなっているよ。走ってみたら、俺たちはこんなに強くなっているのかと思うはずだ」と。予選会終了後に、その言葉の意味を実感した日から4週間後の今日、再びその言葉の意味を知ることになった。
今回の競技会(記録会)に向けても、監督からは「とくに調整はしないよ。まあ、それでも、記録は間違いなく出るはずだから、自信と弾みをつけて箱根駅伝に向かっていくんだ!」と言われてきた。その通りに、それぞれの学生が、自分の走力が増していることを大いに実感できたに違いない。
今回、出場した19人中13人もの学生が自己ベストを更新したことが今のチームの勢い。1万mで29分台を持つ学生の数もチームで10人となったことも、自信となった。駅伝主将・大土手の力走、エース金丸や西、猿橋の意地、相馬と川瀬の安定感、それら上級生のチーム牽引力に加えて、杉山、伊藤、小林、岩佐、國井といった下級生が頑張りで応えている。
これまでにないほどの盛り上がりをみせるチームの雰囲気は最高潮と言えるだろう。かと言って、慢心など皆無。この日の走りで通用するほど箱根駅伝のシード権は甘くないことがわかっているからだ。
僕たちは上昇軍団の挑戦者として、このムードを維持しながら、掲げた目標に向かって、チーム一丸となって強化を続けていきたいと思います。引き続き、応援よろしくお願い致します。
--以下、選手コメント--
金丸逸樹(体育4)
「予選会後の疲労の影響で、少し調子が落ちた状態で、臨んだ挑戦会となりましたが、最低限のまとめる走りで、30秒以上自己ベストを更新することができました。箱根までの残り1ヶ月でもう一度、体を作り直し、最高のパフォーマンスを発揮できるように練習を積んでいきます。」
杉山魁声(体育2)
「予選会の失敗が本当に悔しかったので、意地でもタイムを出すという気持ちで挑みました。結果だけを見れば49秒の大幅ベストでしたが、夏からずっと練習が積めていたので、それをタイムという形で残すことが出来て、少しほっとしています。コンディションを整えれば20秒台、10秒台が出せる感覚を掴むことが出来たので、本戦に向けてもう一段階二段階レベルアップ出来るよう、怪我なく頑張ります。」
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