福谷颯太が関東学生連合チームで箱根駅伝に出場
天下の険・箱根の山(5区)に挑みます
筑波大学 陸上競技部
男子駅伝監督・弘山 勉
第98回箱根駅伝の区間エントリーが12月29日に発表され、関東学生連合チームから箱根駅伝に出場する筑波大学の福谷颯太(体育専門学群3年)は、5区にエントリーされた。今回の関東学生連合チームは史上最強と言われるだけに、往路のアンカーを任されるのは責任重大だが、それを上回る楽しみがある。
連合チームが掲げる「総合10位相当以内(相当とは=オープン参加で参考記録になる)」という目標を達成するために、福谷が天下の険・箱根の山越えを任されることになったわけだが、光栄なことと前向きに捉えたい。
関東学生連合チームに選ばれた16人は以下の通りであるが、史上最高との呼び声が高い。
(氏名、大学名、予選会順位、1万m自己記録)
福谷 颯太(筑波大学) 予選会16位 29分11秒
斎藤 俊輔(立教大学) 予選会19位 28分32秒
中山 雄太(日本薬科大)予選会22位 28分07秒
村上 航大(上武大学) 予選会24位 28分38秒
並木 寧音(東京農業大)予選会28位 28分20秒
竹井 祐貴(亜細亜大学)予選会35位 28分40秒
諸星 颯大(育英大学) 予選会39位 29分09秒
大野 陽人(大東文化大)予選会46位 29分11秒
田島公太郎(慶應義塾大)予選会47位 29分47秒
鈴木 康也(麗澤大学) 予選会51位 29分25秒
宮下 資大(流通経済大)予選会57位 29分35秒
厚浦 大地(関東学院大)予選会64位 29分21秒
桐山 剛 (拓殖大学) 予選会79位 29分00秒
古川 大晃(東京大学大学院)予選会88位 29分08秒
辻野 大輝(武蔵野学院大)予選会90位 29分22秒
山中 秀真(城西大学) 予選会102位 28分57秒
史上最強と呼ばれる理由は三つあると考えられる。
1.箱根駅伝予選会の成績
箱根駅伝予選会で見せたパフォーマンスにある。チーム10番目の麗澤大の鈴木選手までの10人の合計タイムが、明治大学に次ぐ2番目であること、そして、その鈴木選手が個人成績で51位であること。予選通過の全校で、10番目の選手は三桁の100位を超えているからである。
予選会トップ通過の明治大学の10番目は114位であり、2位通過の中央大学でいうと107位となっていることでも、51位という数字は光る。ただし、明治大学は7番目の選手で個人26位と、その強さは際立っていると言えるだろう。
2.箱根駅伝予選会の気象条件
コロナ対策として、前年に続いて、立川駐屯地内の平坦周回コースで箱根予選会は開催された。前回の予選会は、涼しい(寒い)天候で高速レースのなったが、今回は一転、強風という非常に厳しく難しいレースになった。
そんな過酷なレースに対応できた選手は、走力だけではない総合力が備わっていると言ってよいのではないだろうか。そのレースで51位までに入った選手で構成されるチームが弱いはずがない。そう評価するのは、あながち間違いではないと思うわけである。
3.1万mの記録(予選会後)
選ばれた16人のほとんどの選手が、箱根駅伝予選会後に1万mで自己ベストを更新している点。つまり、勢いがあるということ。しかも、日本薬科大・中山選手の28分07秒を筆頭に、記録が良い。29分11秒をマークした福谷が11番目に沈むほどの伸びを示していることが、連合チームの勢いを感じさせる。
その史上最強説が、本番で通用するのか? 全員の練習を見ていない以上、それは何とも言えない。だが、そんな疑念が生じるのは、箱根駅伝出場を逃した大学は、(普通に考えて)翌年の全日本大学駅伝予選会出場を見据えて、1万mの記録を向上させることに注力するはずだからである。
筑波大の福谷も同様である。予選会後は、1万mの記録向上を目論んで、トレーニングを積んだ。しかし、練習が、TOO MUCH(過剰)だった可能性があり、29分11秒に留まった。これが箱根駅伝には奏功するような気がしてならないが、あまりにも都合が良過ぎる考えの域を出ない。
12月10~12日、関東学生連合チームは、短期(2泊3日)で合宿を実施した。コロナ禍で最小限の顔合わせにした格好だが、そこでは、①不安要素を抱えている選手がいないかどうかの確認、②学生の結束を高める、という2つの目的があった。
実施した練習は、14000m変化走+1200m というメニュー。ペース変化の幅は、82秒~68秒/400mで、10000mを30分40秒で通過する結構ハードな内容だった。その練習を16人全員が難なく消化したのには驚いたが、あらためて、連合チームのレベルの高さを認識することにもなったと思う。
この合宿で、区間配置(エントリー)が話し合われた。5区と6区を希望する選手がいなかった(=出走優先順位の高い選手の中で)のは意外だったが、福谷とは、事前に「5区の可能性もあるな」と話していたので、立候補するかたちで5区を申し出、結果、任されることになった。
筑波大学は、大学周辺には練習で使えるコースは平坦しかないことから、夏季強化合宿では積極的に起伏コースを走ることにしている。ハーフマラソンに向けての脚作りに過ぎないが、上り坂の練習を後半になってトップで帰ってくるのが福谷であったから、福谷自身にも 私にも 不安は、それほど感じていない。おそらく適性は高いほうだと考えて良いだろう。
天下の険と呼ばれる箱根の難コース5区だけに、楽観的に考えるわけにはいかないが、連合チームでは予選会トップ成績の選手としての自負を持って、箱根駅伝の象徴である山登り5区に挑んでいく覚悟を持ってもらいたいと思う。
初代金栗四三杯を受賞した鐘ヶ江(5区・区間賞=連合チームで出場)、私(弘山)が駅伝監督になって初めて箱根駅伝に出場した相馬(第95回大会=連合チーム5区)と、5区には縁が深い気がしている。そういう巡り合わせなのか!?と思わずにいられない。
車での下見を経て、福谷もイメージを掴みつつある。車から見たイメージと実際に走る現実とのギャップに戸惑わなければ、あとは、本番で険しい上り坂に耐える集中力だけだろうと思う。史上最強と呼ばれる連合チームの往路のアンカーとして、芦ノ湖のゴールに桐の葉を胸に堂々とゴールしてもらいたい。
それが可能な状態に仕上がっていると思う。本日(12/30)の最終ポイント練習も良い感じで終えたことを報告致します。
関東学生連合チームの予定区間は以下の通りで(これからトラブル等、何もなければ)、十分に戦える布陣だと思います。
<往路>
1区・中山(予選会22位・28分07秒)⇒2区・並木(予選会28位・28分20秒)⇒3区・斎藤(予選会19位・28分32秒)⇒4区・村上(予選会24位・28分38秒)⇒5区・福谷(予選会16位・29分11秒)
<復路>
6区・鈴木(予選会51位・29分25秒)⇒7区・田島(予選会47位・29分47秒)⇒8区・大野(予選会46位・29分11秒)⇒9区・竹井(予選会35位・28分40秒)⇒10区・諸星(予選会39位・29分09秒)
良い順位をさらに押し上げて、往路最終走者として、堂々と芦ノ湖のゴールに飛び込んでもらいたい。そんなイメージをもって、精一杯の走りをさせたいと思います。
【福谷の抱負】
今回、関東学生連合チームとして5区を走ることになりました。箱根駅伝予選会で好走したこともあり、主要区間を走ることになると思ってましたが、「箱根駅伝といえば」と言える5区・山登りを任せてもらえることになりました。驚きや不安もある一方、自分がどのくらい通用するのか!?ワクワクもしています。今シーズンは全てが上手くいった訳ではありませんでしたが、競技者として大きく成長できた1年でした。その1年の最後の大会で、たくさんのことを感じ、吸収してきます。関東学生連合チームの記録は公式には残りませんが、記憶に残る走りが出来るように頑張りますので、応援のほどよろしくお願いします!
前回に続き、今回も沿道での応援は自粛要請が出ていますので、テレビでの応援をよろしくお願い致します。