第3回 全国招待大学対校男女混合駅伝競走大会は、2023年2月19日(日)に大阪長居公園で開催され、全国招待の部(20km・6区間)に19校の大学が出場し熱戦を繰り広げた。3年連続出場の筑波大学は1時間2分40秒で総合7位となり、昨年と一昨年の8位を上回る過去最高順位を獲得した。
トップ選手による男女がタスキをリレーする混合駅伝は、国内ではあまり見られない珍しい大会であり、しかも、フレッシュな大学生の男女選手が力を合わせて戦うレースということもあり、注目度は年々高まっている。
舞台は大阪長居公園内の平坦周回コース。男女で襷リレーする6区間の順番は、男子3km→女子2km→男子5km→女子3km→男子2km→女子5km。距離が示す通り、序盤の順位が鍵を握るのは戦前から予想され、過去のレースを見ても、その傾向は明らかである。
それを見越して、筑波大学は、1区と2区で先頭集団の流れに乗るために、関東インカレの中距離種目で入賞実績のあるスピード自慢の二人を起用した。
関東インカレ1500m6位の吉田に1区を託し、良い流れを作るイメージだったが、その目算は少し崩れた。吉田が最後の先頭争いに絡めずに10位と後手に回ってしまったことで、その後の流れに影響した感がある。だが、先頭とは15秒差。この差を僅かと考えるか、大きいと考えるかで精神状態が変わってくるのが駅伝である。
僅かと思って気負うと悪いパターン(=前半から飛ばすことが強いられ、後半に失速する展開)にはまっていくし、大きい思うと、戦意を喪失する。これが駅伝の難しさと言えるだろう。
2区の川島は、100m前方までに9人が見えるのだから、気負わざるをえない状況だった。スピードのある川島は最初から積極的に前を追い、3人を抜く力走を見せた。前半区間を任された役目をしっかり果たしたが、先頭との差が35秒に開いてしまった。
3区は男子の最長区間とあって、各校はエースを投入してきた。前とは少し差が開いてタスキを受け取った藤原は、落ち着いてペースを刻む走りで、一つ順位を落としたものの、目標に少し及ばないタイムでまとめた。この日の天候を考えると及第点の走りと言える。
4区の市川は、前との距離が開く中、終始落ち着いて走り、2人を抜いてチームを6位に押し上げる区間3位の好走。この時点で5位との差を19秒(約100m)に縮め、まだ上位をうかがえる位置に留めたことは大きい。
5区の古川は、前後の近い位置に争う選手がいない6位でタスキを受け取り、100mほど前を走る5位チームを追ったが、なかなか差が詰まらず、逆に10秒ほど離されてしまった。2kmという中距離とも言えるような距離の単独走で、強めの風が吹くレースは難しかったのかもしれない。現在進めているトレーニングの影響が大きかったようだ。
6区アンカーを務めるのは、筑波大学の女子エースである樫原。前を積極的に追いたいところだが、前との差は30秒。風雨の影響もある中、中距離を主戦場とする樫原にとって、5kmという距離を最終走者の立場で単独で走る格好となったのは厳しかった。長距離が得意な立命館大の選手に抜かれてはしまったが、その後も辛抱強く走り、筑波大学としては最高順位となる7位でゴールテープを切った。
ゴール後、選手たちは悔しさをにじませながらも、笑顔で互いの走りを労っていたように、この駅伝でしか経験できない男女混合駅伝を十分に楽しむことができたようだ。
5月のインカレを目指す選手たちは、今は、冬季トレーニングの期間。基本的な練習を積む時期に向かえるこのレース(駅伝)は調整が難しいと言わざるをえないが、全員が来年への雪辱を誓っていたのが印象的だった。
<第3回 全国招待大学対校男女混合駅伝競走大会 総合成績>
順位 | 大学 | 記録 |
---|---|---|
1 | 日本体育大学 | 1:00:50 |
2 | 関西大学 | 1:01:12 |
3 | 中央大学 | 1:01:17 |
4 | 順天堂大学 | 1:01:35 |
5 | 城西大学 | 1:01:35 |
6 | 立命館大学 | 1:02:24 |
7 | 筑波大学 | 1:02:40 |
8 | 東洋大学 | 1:02:50 |
<第3回 全国招待大学対校男女混合駅伝競走大会 個人成績>
区間 | 距離 | 選手 | 順位 | 記録 |
---|---|---|---|---|
1 | 3km 男子 | 吉田 海渡 | 10 | 8:33 |
2 | 2km 女子 | 川島 美桜 | 9 | 6:36 |
3 | 5km 男子 | 藤原 潤乃佑 | 8 | 14:41 |
4 | 3km 女子 | 市川 碧花 | 3 | 9:58 |
5 | 2km 男子 | 古川 幸治 | 11 | 5:42 |
6 | 5km 女子 | 樫原 沙紀 | 8 | 17:10 |
◆1区 吉田海渡(2年)
結果は区間10位でしたが、臆することなく初めから他大学の選手と勝負できたことはとても自分の中でプラスとなりました。また普段味わえない経験をすることができ、楽しかったです。応援ありがとうございました。
◆2区 川島美桜(2年)
今年は有観客での開催となり、多くの応援の中、スピード感のある駅伝を楽しむことができました。筑波大学として過去最高順位を出すことができましたが、来年は更に順位を上げられるよう、個人の力を伸ばしていきたいと思います。
◆3区 藤原潤乃佑(3年)
3区に出走し、記録は14分41秒で区間8位でしたが、数字以上に良い走りができたと感じています。そして5kmという短い距離ですが、大学の代表として走る事ができ嬉しく、とても楽しいレースでした。2023年度は競技生活最終年、インカレでの活躍と箱根駅伝出場を目指し頑張ります!今後とも筑波大学陸上競技部への応援をよろしくお願いいたしします。
◆4区 市川碧花(1年)
今回4区を走らせていただきました。普段は別で練習している長距離の方と襷を繋いで戦うという貴重な経験ができ、とても楽しんで走ることができました。シーズンインに向けて現状を確認することができたので、今後につなげていきたいです。この度はご声援ありがとうございました。
◆5区 古川幸治(2年)
大学初の駅伝で、良い経験になりました。同時に、力不足も痛感しました。上位の大学の選手とも戦えるように、より一層精進していきます。
◆6区 樫原沙紀(3年)
初回から3年連続出場させていただきました。男女で襷を繋ぐことのできる唯一の試合で、毎年の楽しみになりました。今年は7位と過去最高順位を獲得することができました。来年はさらに上の順位を狙っていけるように最終学年として責任を持った走りをしたいと思います。
◆補欠 小寺恭平(1年)
今回は補欠兼サポートという立場での参加になりました。来年は選手として襷を繋げられるように、また歴史が浅い大会ですが、筑波大学最高順位、最高タイムを更新できるようにシーズン中の試合・練習を頑張ります。
◆補欠 小松夕夏(1年)
今回はサポートとして臨みましたが、たくさんの刺激をもらえた大会となりました。来年度以降は選手として、最高順位更新を目指したいと思います。ご声援ありがとうございました。
◆補欠 山下真奈(1年)
今回は補欠として参加させていただきました。駅伝本番での走りはもちろん、冬季練習の最中でのレースへの取り組み方など、学ぶことがたくさんありました。この経験を活かして、これからさらに力をつけられるように取り組んでいきたいと思います。