関東インカレを経て、他大学と勝負した選手のみならず、他の学生も筑波大の応援を通して「次は自分の番!」と競技への高いモチベーションを持ち、日々の練習、そしてレースに挑んできました。特に1年生はひたむきに練習に取り組み、その成果を大学デビュー戦で発揮してくれました。ここでは5/26に行われた第2回筑波大記録突破競技会と6/1・2に行われた第3回筑波大競技会の結果を報告させていただきます。 (文責:寺田、伊藤)
〈5/26 第2回筑波大記録突破競技会〉
この競技会ではチームからの出場選手全員が3000mに集結した。その目的としては、ハイペースでのレースを経験しておくことによって、翌週に控えていた5000mのレースで一段階上の記録更新を達成することにあった。5月に入って練習の設定タイムは一段と上がり、選手それぞれのタイムに対する基準も引き上がっていった。また入部してから基礎的な練習を重ねてきた1年生も、5月に入り本格的に練習に加わると毎回積極的な姿勢を見せており、大学デビュー戦となる今レースでの走りに期待がかかっていた。
(1組)
この組では、大きく2つの集団に分かれてレースを進めた。どちらの集団もハイペースで入ったが、全員がそのペースに臆することなく周回を重ねていく。先頭の集団を牽引したのは、関東インカレ明けの吉田(体育4)。練習の流れの中で2000mまでのペースメーカーとして出走し、その後ろに古川(体育4)、堀口(体育3)、川﨑(体育2)らが続いた。第二集団では、こちらも関東インカレに出場した鍔(体育3)、小牧(体育3)らが自己記録の大幅更新を狙えるペースで2000mを通過し、その中には大学デビュー戦となった中村(体育1)の姿もあった。2000mを通過してからは各選手ペースの維持が苦しくなってきたが、その中で川﨑が先頭に躍り出ると、ぐんぐんと後方を引き離していく。川﨑が8’19″93のタイムで一着でゴールすると、ラストスパートを披露した堀口、松浦(化学3)がその後に続き、堀口が8’26″56、松浦が8’31″03といずれも自己新記録であった。また小牧、中村も競り合いながらラストの苦しい局面を乗り切り、それぞれ8’33”63、8’35”22と自己記録更新につなげた。
(2組)
続く2組には、大学デビュー戦として多数の1年生が出走した。また離脱期間からの復帰段階であった選手が、練習の一環として、目標タイムを設定した上で2000mまでレースに参加した。怪我などによる離脱からレースへのスムーズな復帰にあたっては、段階的にトレーニングレベルを引き上げていくことが重要になるが、実践的な練習としてレースを活用できるのは学内競技会だからこそ可能な取り組みである。レースでは、2000mまで走る小山陽(体育2)、塚田(医学5)らが先頭に立って流れを作り、一つの大集団で推移した。2000mを過ぎ、集団の勢いが弱まったところで先頭に出たのは、田中(心理4)。最上級としての意地を感じさせる走りを見せ、その後ろに大瀧(応理2)、小嶋(応理1)、中川(比文1)の下級生が食い下がる。4人が激しく競り合ったままラストを迎えると、最後の直線で小嶋が抜け出し、8’51”35の自己新記録でトップでゴールした。大瀧、田中、中川そして岩田(体育1)含めて自己新記録をマークし、全体として収穫の多いレースとなった。
【選手コメント】
(川﨑)
「筑波大学記録突破会の3000mに出場し、8分19秒93で高校生時の自己ベストを約8秒更新することができました。関東インカレで少し状態が崩れてしまった感覚があり、そこから下がり調子ではありましたが、ここで自己ベストを出して悪い流れを断ち切れて良かったと思います。ただ、ラストのキレにまだまだ課題があったので、その課題解決に向けて日々練習に取り組んでいきます。応援ありがとうございました。」
(小嶋)
「日頃からの多くのご支援ありがとうございます。5/26に行われた第2回筑波大記録突破競技会において、8’51″35で約34秒ベストを更新することができました。今回の3000mは大学のデビュー戦で、昨年5月以来のレースということもあり少し緊張していましたが、レース終盤で粘ってベストを大幅に更新することができました。まだまだチームの戦力になるためには力が全く足りていないので、これから着実に力をつけていけるように練習に精力的に取り組んでいきたいと思います。」
【1組リザルト】
着順 | 氏名 | 所属 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | 川﨑颯 | 体育2 | 8’19″93 | PB |
2 | 堀口花道 | 体育3 | 8’26″56 | PB |
3 | 松浦海瑠 | 化学 3 | 8’31″03 | PB |
4 | 鈴木将矢 | 医学 3 | 8’33″11 | |
5 | 小牧直登 | 体育 3 | 8’33″63 | PB |
6 | 古川幸治 | 体育 4 | 8’33″87 | |
7 | 中村優太 | 体育1 | 8’35″22 | PB |
8 | 長谷川健太 | 資源 4 | 8’39″38 | |
9 | 大津勇人 | 体育 3 | 8’43″28 | |
10 | 鍔颯人 | 体育3 | 8’44″98 | |
11 | 熊谷秀人 | 国際 4 | 8’45″16 | |
12 | 山本健介 | 人文3 | 8’46″12 | PB |
13 | 渡辺大星 | 体育 2 | 8’59″28 | |
14 | 斉藤一樹 | 体育 4 | 9’31″70 | |
15 | 吉田海渡 | 体育4 | DNF | (PM) |
着順 | 氏名 | 所属 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | 小嶋潤 | 応理 1 | 8’51″35 | PB |
2 | 大瀧圭佑 | 応理 2 | 8’52″92 | PB |
3 | 田中康聖 | 心理 4 | 8’53″88 | PB |
4 | 中川尋雄 | 比文 1 | 8’55″70 | PB |
5 | 岩田明輝哉 | 体育 1 | 9’06″77 | PB |
6 | 平尾快 | 工シス 2 | 9’27″24 |
〈6/1・2 第3回筑波大競技会〉
この筑波大競技会では、初日に1500m、翌日に5000mに出走した。5000mがメインとなるが、5月はスピードレベルを引き上げながらの練習を積み上げてきたことから、その成果を確認する場として1500mにも出場した。一週間前の3000mで大学デビュー戦を果たした1年生も勢いそのままに、高校時の自己記録更新だけでなく、同期と勝負することへの熱意も持って臨んでいた。
(1日目・1500m)
(1組)
まず1組目は先頭の選手がスタートから飛び出し、後ろの集団は早い段階からいくつかに分かれた。このレースで翌年の関東インカレB標準の突破を狙う伊佐(体育2)は、単独で走る展開となるも果敢に自らペースを作っていく。その後ろの集団は若干スローな展開になり、その中から1500mでの実績がある松浦(化学3)が前に出る得意の猛追の走りを展開する。それに続いて中村(体育1)、渡辺(体育2)もスパートをかける。結果は、最後まで崩れることなく押し切った伊佐が見事、関東インカレB標準を突破する3’53″83のタイムでゴールした。その後には、安定した強さを見せた松浦が入り、渡辺も3’57″26でゴールし持ち味としてのスピードを発揮してくれた。
(2組)
2組目には斉藤(体育4)、田中(心理4)、大瀧(応理2)と、高久(体育1)、中川(比文1)の1年生二人が出走した。スタートして思いもよらぬ積極性を見せたのは、本格的なレース1戦目となった高久。後方から他の選手も追走し、集団を形成した。集団全体がキツくなってきた1000m通過からは、一週間前の3000mに引き続きこのレースでも田中(心理4)が自ら先頭に立つと、ペースを落とさないようにして集団の勢いを立て直した。ラスト一周は非常に激しい競り合いとなり、最後に腕を伸ばしてのフィニッシュを決めた田中が、高久を抑えて4’03”85の自己新記録をマークした。田中には及ばなかった高久も4’03”91の自己ベストでゴールし、同じく1年生の中川の4’08”14の記録も自己ベストであった。
(3組)
この組には伊藤(障害3)が出走した。スタートしてからは集団の中に位置取り、自己ベストが見えるペースでレースを進める。後半になると苦しい表情を浮かべるが、前の選手が見えていたことでラスト一周では徐々にポジションを上げ、僅かながらだが自己記録を更新する4’23″44でゴールした。これまでなかなか自己記録を更新できずにいた伊藤だが、今回のレースで上昇の機運を掴んでもらいたい。
【1500mリザルト】
組 | 氏名 | 所属 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | 伊佐昂大 | 体育 2 | 3’53″83 | PB |
松浦海瑠 | 化学 3 | 3’55″58 | ||
渡辺大星 | 体育 2 | 3’57″26 | PB | |
中村優太 | 体育 1 | 3’58″72 | PB | |
荻原悠生 | 応理 1 | 4’02″58 | ||
山本健介 | 人文 3 | 4’02″70 | PB | |
小嶋潤 | 応理 1 | 4’03″77 | ||
斉藤一樹 | 体育 4 | 4’05″01 | PB | |
2 | 田中康聖 | 心理 4 | 4’03″85 | PB |
髙久浩輔 | 体育 1 | 4’03″91 | PB | |
大瀧圭佑 | 応理 2 | 4’05″24 | PB | |
中川尋雄 | 比文 1 | 4’08″14 | PB | |
3 | 伊藤俊 | 障害 3 | 4’23″44 | PB |
(2日目・5000m)
初日の1500mを自己ベスト多数で終え、迎えた翌日の5000mは、この日の午後からの雷雨を伴う悪天候により競技時間が約2時間遅れるハプニングに見舞われた。しかしスタートの時間には気温・風ともに良コンディションとなり、記録に挑戦する絶好の機会となった。
(1組)
1組目には15名の選手が出場した。うち4名は一週間前のレースと同様、練習の一環としての出走であり、この日は3000mまで。その一人である小山陽(体育2)が先頭でペースメイクをし、後続には同じく3000mまでの成石(国際2)が積極的に食らいつくと、二人ともスタート前の設定タイムをきっちりとクリアする走りでこの日のレースを終えた。今後控える本格的なレースでの好記録が待望される。そして3000m過ぎからは伊佐(体育2)がリード役を引き継ぎ、松浦(化学3)、中村(体育1)、山本(人文3)がその後ろに続いた。ラスト1000mを切ると、この日も松浦が力強くペースアップを図り、中村がすかさず反応してピタリと背後に着いた。ラストは松浦が振り切り、14’37”17の自己ベストでゴールした。その直後にゴールした中村も14’38”35でこちらも自己ベスト。さらには、今季前半は故障の影響で出遅れていた山本が、自己記録を僅かに更新する14’45”55をマークした。上位でゴールした選手以外にも、大学初5000mとなった1年生を中心に複数の自己ベストが記録された。
(2組)
2組目でも、練習の一環として出走した塚田(医学5)、皆川(知シス院1)、平野(体育4)、磯谷(体育1)らが3000mまでを集団で走りきり、この日の目的をしっかりと果たした。レースはその後、斉藤(体育4)が単独走となるも、ラップタイムを大きく落とすことなく周回を重ねると、ラスト一周はキレのあるスパートをかけ、見事15’16”78の自己ベストでゴールした。
【選手コメント】
(松浦)
「日頃より、多大なるご支援賜りまして誠にありがとうございます。先日行われました5000mで14’37″17の自己記録を出すことが出来ました。昨年も度重なる故障に苦しみ、レースに出場すらできない日々が続きましたが、こうしてまた自己記録を更新することができ、嬉しく思います。レースの振り返りとしては、まだまだ課題は多く、さらに記録を伸ばしていける手がかりを掴むことが出来ました。今月と来月の記録会でさらに記録を伸ばし、今年こそチームの戦力として、箱根駅伝出場に貢献できるような選手になれるよう取り組んで参ります。今後とも、ご声援のほど宜しくお願い致します。」
(中村)
「大学での初の5000mとなりましたが、気候条件などにも恵まれ、前半抑えめで走り、後半に勝負するといった予定通りの走りができました。今後はレース全体でのペースの底上げに向けて日々の練習に励み、筑波大を引っ張る存在になれるよう頑張ります。」
【5000m 1組リザルト】
組 | 氏名 | 所属 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | 松浦海瑠 | 化学 3 | 14’37″17 | PB |
中村優太 | 体育1 | 14’38″35 | PB | |
山本健介 | 人文 3 | 14’45″55 | PB | |
伊佐昂大 | 体育 2 | 14’49″83 | PB | |
渡辺大星 | 体育 2 | 15’01″75 | ||
小嶋潤 | 応理 1 | 15’14″62 | PB | |
田中康聖 | 心理 4 | 15’17″01 | ||
髙久浩輔 | 体育1 | 15’17″06 | PB | |
大瀧圭佑 | 応理 2 | 15’20″68 | PB | |
中川尋雄 | 比文1 | 15’33″63 | PB | |
岩田明輝哉 | 体育1 | 15’35″34 | PB | |
小山陽生 | 体育2 | 8’39 | (3000mまで) | |
成石昌平 | 国際2 | 8’44 | (3000mまで) | |
荻原悠生 | 応理1 | 8’46 | (3000mまで) | |
寺田周世 | 人文3 | 8’58 | (3000mまで) |
組 | 氏名 | 所属 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|
2 | 斉藤一樹 | 体育 4 | 15’16″78 | PB |
磯谷虎樹 | 体育 1 | 8’48 | (3000mまで) | |
塚田萌成 | 医学 5 | 8’50 | (3000mまで) | |
皆川和範 | 知シス院 1 | 8’51 | (3000mまで) | |
平野大樹 | 体育 4 | 8’53 | (3000mまで) | |
中野景太 | 体育 1 | 9’11 | (3000mまで) | |
伊藤俊 | 障害 3 | 9’23 | (3000mまで) |
今回結果報告させていただいた2つのレースでは、多くのPB更新者が現れ、チーム全体としても盛り上がる結果となりました。また同日6/1に行われた日体大記録会では、金子佑太郎(工シス4)が5000mの筑波大学記録を塗り替えるなど、筑大競と併せてスペシャルな週末となりました。(順大記録会と日体大記録会の結果報告については、同時に上がる別の記事にて報告させていただきます。)
4/22~6/2までに行われた5大会6種目の結果としては、PB更新率(個々の結果に対してのPBの割合)が58.6%となっており、そのうち関東インカレの結果も含まれていることを考えると、現在のチームがいかに勢いをもって活動できているかが伺えると思います。残り1ヶ月ほどのトラックシーズン前半期を終えると、次第に夏の強化へと移行していきます。この勢いをさらに加速させ、最大目標である箱根駅伝出場へとつなげていけるよう、さらに選手一同頑張っていきたいと思います。
これからもご支援、ご声援のほどよろしくお願いします。