関東学連主催の10000m記録挑戦競技会は、11月26日(土)に慶應義塾大学の日吉陸上競技場で開催され、筑波大学からは8名の学生・院生が出場し、4名が自己記録を更新した。とくに、3年の森田佳祐が自己記録を1分以上も更新する29分26秒11をマークし、関東インカレA標準記録を突破した。
最終組(目標記録のレベル順では4番目程度の組)に出場したのは、新体制のリーダーとなった森田と河野。森田が新・中長距離ブロック長、河野が長距離パート長(駅伝主将)に選ばれており、今後、チームを引っ張っていく立場となる。「“走り”でもリーダーらしいパフォーマンスを示したい」と高い意識を持っている。その意気込みを胸にスタートした。前半は、1000mあたり2分55秒~58秒で淡々と流れていった。森田は余裕十分に集団の流れに乗り、後半の勝負どころに備えていった。
後半になってレースは動き出すも、飛び出した選手を誰も追走しない状況に。森田は、先日の5000mで集団を引っ張り失速した嫌な経験もあり、余力がありながらも、集団の中で様子を伺った。森田自身に1万mの経験があまりないことから、ペースアップは確実な距離として8000m以降と考えていたからでもある。
もう一人が7800mで飛び出したのを機に森田もペースアップ。単独走になったが、最後まで持ちこたえ、ラスト1000mも2分48秒でカバーし、大幅な自己記録更新に繋げた。関東インカレのA標準記録は突破したものの、全日本インカレのB標準記録まで僅かに1秒届かず。嬉しさ半分、悔しさ半分と言ったところだが、自身では初めて1万mをしっかりと走れた(29分台をマークした)ことに満足感は大きかったようだ。
一方の河野は、この1ヶ月間、喘息に悩まされてきており、この日も体調は完調に程遠い状態。それでも、新・駅伝主将として、欠場という選択はしなかった。「全員で全日本大学駅伝予選会の出場権を取りにいくんだ」という目標に向かっているからだ。苦しい状況でも最低限の30分台をマークできたことで、「次の記録会に繋がる走りができた」と悪い中でも前向きに捉えていた。
他では、成長著しい武田(上の写真)が、先日の5000mに続き、1万mでも20秒以上の自己記録短縮。8000mまでは、29分台も可能かと思える走りをしていたが、大きく失速してしまい、目標としていた“関東インカレのハーフマラソンの出場資格を得られる30分15秒”に10秒ほど届かなかった。悔しい気持ちのほうが大きいようだが、キロ3分ペースを8000mまでスムーズに走れたことは、かなりの自信になったに違いない。
先日の5000mで14分03秒をマークした才記にも大幅な記録更新が期待されたが、卒論を仕上げる時期で多忙を極めているために、練習不足状態。この日はその影響からか、5000m過ぎに集団から離れ、大きくペースを落としてしまった。それでも、29分前半を狙って5000mを14分36秒で通過しており、「今の多忙な生活を考えるとオーバーペースであることは承知の上」での挑戦。サバサバとした表情でレースを振り返っていた。
川瀬も自己記録を更新したが、足の不調での練習不足と医学部の勉強との両立から、記録の伸びは僅かになってしまった。そんな状況でありながらも、確実に成長を遂げており、どんどん記録を伸ばしていくことは間違いないと思われる。
森田が大幅に記録を伸ばしたことで、全日本大学駅伝予選会の出場権獲得に一歩近づいた。しかし、まだ足りない。一人平均15~20秒程度の記録短縮が必要な計算だ。ただ、今が伸び盛りの筑波大学。僅か20秒と言えなくもない。学生の奮起に期待していきたい。
<2016関東学連 10000m記録挑戦競技会 結果>
組 | 順位 | 氏名 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|
12 | 3 | 森田佳祐 | 29分26秒11 | PB |
25 | 河野 誉 | 30分52秒18 | ||
11 | 35 | 吉成祐人 | 31分21秒60 | |
9 | 34 | 才記壮人 | 30分11秒34 | |
6 | 7 | 武田勇美 | 30分26秒41 | PB |
5 | 17 | 川瀬宙夢 | 31分09秒64 | PB |
21 | 池田 親 | 31分26秒44 | ||
4 | 23 | 藤田黎士 | 31分57秒05 | PB |