第261回日本体育大学長距離記録会は12月2日と3日の二日間で開催され、筑波大学の学生が17名出場し、8名が自己新記録をマークした。とくに、5000mで藤田(2年)が関東インカレB標準記録突破となる14分17秒55、10000mでは児玉(1年)が関東インカレ・ハーフマラソンの標準記録を突破する30分05秒45をそれぞれ自己記録を更新してマークした。1・2年生だけに、今後の更なる飛躍が期待される。また、中距離パートからも7人の学生が5000mに出場し、5人が自己新記録をマークする走りを見せた。
12月2日(土)に行われた1万mに児玉が第8組で出場。児玉は、前回の日体大長距離記録会で、3000m過ぎから先頭に立ち、そのまま逃げ切って30分51秒をマークしている。この日の目標は、関東インカレ・ハーフマラソンの標準記録突破(30分15秒以内)。ややスローペースから始まった流れが、徐々に速くなる流れにも難なく対応。かなり力をつけていることが示された。
途中からは1周が71秒台の連続で、30分切りも可能なラップを刻んでいった。安定した走りで終盤を迎え、30分切りは間違いないと思われたが、8000mで先頭集団から少しずつ遅れ始め、ラスト1周も70秒までしか上がらずに、惜しくも29分台突入にはならなかった。縦長の集団を後ろからレースを進めたために、脚を使ってしまった影響もあっただろうが、この短期間で46秒の自己記録更新は立派だ。
本人も「スタートの位置取りに失敗し、後ろからレースを進めることになり、徐々に前に上がっていく展開になりました。5000mの通過から集団が崩れ始め、前の選手が離れるたびにペースアップして前に追いつくことを繰り返したために、だんだんと足に疲れがきていると実感しながらのレースとなってしまったことが悔やまれます。自己ベストは大幅に更新しましたが、30分を切って今年を終えたかったので、とても悔しいです」とコメントしていた。
12月3日(日)には5000mが45組も組まれた。第41組に出場した藤田は、目標を関東インカレ5000mB標準記録(14分22秒)の突破に置いていた。これまでの自身のベストが14分35秒であるから、15秒ほどの短縮が必要になる。少し背伸びした目標であることを本人も認めつつも、「2週間前の1万mの走りから、絶対に可能である」と自分に言い聞かせたという。
先頭集団の入りの1000mが2分50秒と絶好のペースだったが、藤田は後方3番手からの追走。3000mを自己ベストタイムで通過し少し苦しくなったようだが、我慢すべきポイントをしっかりと乗り越え、ラスト1000mを2分45秒でカバー。14分17秒の大幅な自己記録短縮を成し遂げた。縦長の展開を後方から進めて、最終的に2位でゴールしたのだから、もう少し位置取りを上手くできれば・・・と欲を言いたくなるレース内容だった。まだまだ伸びしろはあると感じることができる走りだった。
本人は「ウォーミングアップした感覚では、ここまで走れるとは思っておらず、目標としていた関カレB標準は厳しいだろうと思っていました。また、レーン番号の関係で、スタートが2列目になってしまい、少し出遅れて集団の後方になってしまったことは大いに反省しなければなりません。しかし、スタートしてからは非常に動きがハマり、68〜70秒のペースに対して余裕を持て、3000mの通過が3000mの自己ベストでした。3200〜4000mでかなりキツく、集団が割れて離れかけましたが、冷静に対応し我慢出来ました。ラスト1000mも2’45”で上がることができ、会心のレースでした。この感覚を忘れずに、次の松戸市記録会10000mにつなげていきたいです。」と話した。
期待の大きい1年の渡辺が、14分30秒切りを狙って力走。渡辺もまた後方からレースを進めたために、追走に脚を使ってしまったことが、後半に響いたように見えた。3000~4000mのペースダウンが悔やまれるが、ラストスパートを利かせて自己記録を更新する14分34秒をマーク。苦しい展開ながら1秒でも自己ベストを短縮したことは成長と捉えたい。
医学群の田川(1年)は、夏までは故障に苦しんだが、秋になって、授業が忙しい中でも努力を重ね練習を継続できるようになってきた。この日は、その成果が表れた。14分55秒と僅か1秒の自己記録更新に留まったが、強化途上時点でのもの。及第点以上であろう。
理工学群の相澤(2年)は、自己記録更新を目指して1000m~3000mを先頭で引っ張る積極的な走りを見せた。記録はわずかに届かなかったが、このような積極性を失わずに、成長していってほしいと願う。スピード能力に優れる二人(相澤と田川)には、来春、一気の大幅記録向上を期待したい。
その他、大幅に記録を伸ばした学生もいる。今年になって30秒以上も自己記録を更新した者として、理工学群の寺澤(2年)と伊藤(1年)、生命環境学群の上迫(1年)らがいる。とくに、寺澤と伊藤は、入学時に16分ほどだった5000mのベスト記録を15分10秒台まで伸ばしてきた。この冬の鍛錬期を乗り越えて順調に強化が進むと14分台が見えてくるだろう。
また、この秋に自己記録を更新できた学生が多く、チームの底上げが進んでいることが示されている。レベルアップを続けていくしかないチームではあるが、全日本大学駅伝予選会に出場するための上位8人の1万m平均タイムは、大学院生の吉成が競技を続けるか否かで違ってくるが、吉成抜きでも、29分55秒26まで上がってきた(吉成が競技を継続すると29分50秒20)。
11月25日の1万m記録挑戦競技会に出場した学生は、今回の5000mはパスして、12月23日の松戸市記録会1万mに照準を合わせている。箱根駅伝に関東学生連合チームで出場する相馬とともに厳しい強化練習を消化していくことになるので、更なる記録短縮を目指していきたいところ。
最後に、新チーム(3年生以下)として今秋に自己記録を更新できた人数(割合)を列挙してみると、次のようになる。
3年生=2人/4人、2年生=7人/11人、1年生=11人/13人
特筆すべきは1年生の伸び。この勢いを今後も継続していってもらいたい。
最後に、予選会後も練習を継続してきた4年生の二人が、学生として最後のレースを終えた。一人は、エースであり中長距離ブロック長の森田。来春からは、小森コーポレーションで実業団選手として競技を続行することになっている。練習として出場しながら、11月25日の1万mは29分38秒、今回は14分17秒を軽くマークするあたりはさすがだ。今後も練習には参加するが、一区切りとなった。
もう一人は、平賀。陸上競技部の執行部などの役職を経て、4年次には部全体の主事として激務をこなしながら競技を続けてきた。先月の日体大長距離記録会で17秒の自己ベスト更新(15分29秒)を成し遂げ、この日も2連続の自己記録更新で引退レースを飾ることを目指したが、残念ながら僅かに及ばず。アキレス腱断裂など故障の連続に悩まされながらも、競技に対して真摯に取り組む姿勢は、後輩のお手本となっていた。
それぞれの立場でチームを牽引してきた二人には、労いの言葉を送りたい。
4年生が抜けても、部員が互いの立場を尊重しつつ、良きライバル・仲間として、刺激し合いながら成長していけるような高次元の志を持ち、活発な活動を継続していってほしい。
-10000mの結果-
組 | 順位 | 氏名 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|
8 | 10 | 児玉 朋大(1) | 30’05″45 | PB |
-5000mの結果-
組 | 順位 | 氏名 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|
44 | 13 | 森田 佳祐(4) | 14’17″58 | |
43 | 15 | 小林 航央(中) | 14’20″27 | |
41 | 2 | 藤田 黎士(2) | 14’17″56 | PB |
40 | 11 | 渡辺 珠生(1) | 14’34″62 | PB |
35 | 32 | 猿橋 拓己(1) | 15’08″71 | |
29 | 13 | 相澤 拓実(2) | 14’56″44 | |
37 | 薛 玄太郎(2) | 15’42″57 | ||
27 | 30 | 重山 源斗(1) | 15’17″87 | |
37 | 尾原 健太(1) | 15’27″09 | ||
25 | 2 | 田川 昇太(1) | 14’55″17 | PB |
15 | 寺澤 龍之輔(2) | 15’14″32 | PB | |
30 | 遠藤 陽太(3) | 15’27″36 | ||
23 | 18 | 伊藤 直哉(1) | 15’18″34 | PB |
29 | 赤星 友都(2) | 15’32″58 | PB | |
30 | 平賀 大一(4) | 15’35″65 | ||
21 | 38 | 持永 佳輝(中) | 15’57″66 | PB |
17 | 1 | 登坂 健志(中) | 15’16″89 | PB |
10 | 長澤 圭吾(中) | 15’31″78 | PB | |
28 | 植田 樹(2) | 15’56″60 | PB | |
12 | 21 | 安藤 慎悟(1) | 16’03″91 | |
11 | 11 | 野村 拓也(中) | 15’42″47 | PB |
10 | 11 | 上迫 彬岳(1) | 15’54″07 | PB |
4 | 6 | 岡 裕一朗(中) | 16’26″66 | PB |