第252回日本体育大学長距離記録会は、9月24日(土)に日本体育大学健志台グランドで行われ、4年生の才記壮人が従来の自己記録を1分20秒以上更新する29分35秒82をマークした。
最終組の一つ前の組。多くの実業団選手に胸を借りることができる舞台で才記が好走した。1週間前に強化合宿を終えたばかりで、疲労を抱え、調整は不十分だったが、やや遅めのペースが幸いし、先頭集団で流れに乗った。中盤過ぎに集団がバラけたときに、位置取りが後ろだったために、先頭集団を追うのにかなりの体力を使ってしまい、8000mでペースダウン。スタミナ切れで得意のラストスパートも利かず、ひじょうにもったいないレースだったと言える。それでも大幅な自己新記録をマークし、日本インカレ1500m4位入賞の勢いをそのまま長距離にも繋げてみせた。
もともとが中距離選手だった才記。長い距離は得意ではなかったが、昨年から少しづつ対応できるようになってきていた。今年の急成長は、最上級生の意地なのかもしれない。この夏の走り込みでもチームを率い、完璧にこなした成果が表れた。「調整すれば、もっと記録を伸ばせる」という手応えを掴み、箱根駅伝予選会まで上昇気流のままチームを牽引してくれるだろう。
その才記よりも長距離の練習では強い1年生の金丸も29分59秒99をマーク。30分を100分の1秒だけ切るしぶとさを見せたところは評価できるし、才記との比較でいうともっと記録を伸ばせていいはず。ただ、この日の5000m通過タイム(14分42秒)は、自身の5000m自己記録よりも速い。課題は、スピードの余裕度ということだろう。才記との差はそこなのかもしれない。ただ、かなりの練習を積んで、疲労が蓄積される中で、30分を切れたことは相当な自信になったようだ。予選会での激走に期待したい。
また、これら才記や金丸と練習で互角に走る1年生の池田、さらには、3人に肉薄する河野と村上、武田も順当に30分台をマークした。池田と村上、武田は自己新記録だったが、もっと良い記録を出せていい。疲労から「カラダにキレがなかった」と皆が話すように、この日は狙ったレースではない。記録を狙っていたわけでもない。「疲労がある中で、どれだけ身体を動かせるか」を試す練習を兼ねて出場したわけであり、ある意味、目的は果たせたように思う。
何はともあれ、一緒に練習する一人が29分半で走った意義は大きい。自分が走らなくても、練習の価値を証明してくれたのだから。それまで曇りがちだった学生の表情が、才記の好走で明るく光り始めたように見えた。