男子駅伝監督の木路です。皆さま方のあたたかいご声援が学生の日々のトレーニングのエネルギーとなっております。感謝いたします。7月21日のトワイライトゲームスで、筑波大学陸上競技部男子長距離チームの年間期分けの第Ⅱ期(前半試合期)が終了し、ここから箱根駅伝予選会突破に向けた第Ⅲ期(夏季強化期)が始まります。この機会に前半試合期の総括をしてみたいと思います。
【2024年度に向けたチーム課題と取り組み】
まず、客観的にチーム力を把握するために、全選手のそれぞれの種目の年次シーズンベストのランク最高位をその選手の年次ランクとしてランク分けを行い、その各選手のランクに対応する下表のポイントを配分しました。そして、全選手の年次ポイントの合計を選手数で割った平均ポイントをその年次のチーム力として比較検討の材料としました。
そのチームポイントを元に2021年度、2022年度、2023年度および2024年度新チーム発足時のチーム力の推移を表したものが下図となります。チームポイントとそのランク内訳を見てみると、2021年度はエースの育成には成功したが、それに続くA+・Aランクの準エース、主力級の育成が間に合わず、トップ層が1枚抜けるとチーム力が著しく低下する編成であったことがわかります。2022年度はS・A+・Aランクのエース、準エース+主力級で12名と前年度の課題を克服し、チーム力の底上げに成功しましたが、13番目の選手との格差は改善できず、トップ層の離脱でチーム力が大きく低下する点は克服することができませんでした。そして、2023年度はエース・準エース級を育成できず、A・Bランク中心のチーム編成となりトップ層の内訳がレベルダウンしていることはチームポイントおよびグラフからも明らかです。
これらの分析から、2024年度の取り組みとして「S・A+ランク(エース・準エース)の育成とBランクまでの中間層の強化の両立とそのスピードアップ」を目標に掲げ、具体的な数値として、「S・A+ランク迄で10名、Aランク迄で15名、Bランク迄で20名のチーム編成」を目標としました。
【2024年度に向けたチーム課題と取り組み】
その実現に向けて ①チーム全員の個の力の強化(全員の自己記録更新) ②挑戦と確実性のバランス(狙った試合に確実に結果を残す) ③選択と集中(レベルに応じた試合の選択) の3つをテーマに、2024年度前半試合期の目標を、「S・A+ランク迄で5名、Aランク迄で10名、Bランク迄で20名のチーム編成」 として取り組み、2024年度前半試合期終了時のチーム力は下図のようになりました。チームポイントは現時点で3.72とすでに2023年度を上回っており、これからの夏季強化期間の出来次第ではありますが期待が持てる状況であると考えられます。
前半試合期出場全18試合のべ178名のうち44.6%の78名が自己記録を更新したことから、全員とはいきませんでしたが、テーマとして掲げている①チーム全員の個の力の強化は順調に進んでいると評価できます。また、関東インカレ入賞1名、五大学対抗優勝1名、3位2名と大学代表として公式ユニフォーム(青桐)を着用する試合できっちり他大学の代表と勝負し結果を残すことも出来てきました。そして5名を目標としていたA+ランク(14分15秒切り、29分30秒切り)迄の選手も4名輩出することができ、筑波大記録も3種目4回の更新と課題の一つであったトップ層の育成は順調であると言えます。これは、皆様のご支援によって北海道遠征という機会を作っていただけたことが大きな要因だと感謝いたします。
一方で、Bランク(14分45秒切り)迄で20名という目標が11名に終わり、中間層強化というもう一つの課題に対しては未達でありました。これらのことから、これからの第Ⅲ期の夏季強化~箱根駅伝予選会に向けての局面において、トップ層の故障回避と中間層の強化が最重要テーマになることは明白です。加えて、前半試合期の5000m、10000mのレース出場に間に合わなかった選手14名(うち1年生が5名)の強化も必須条件です。そのために8月17日から始まる福島県白河でのチーム合宿、熊本県水上村、長野県菅平での選抜合宿に向けた練習に耐えうる身体つくりや暑熱馴化およびトレーニング目的の理解と共有など心身のしっかりとした準備をこの7月から8月頭にかけて、つくばでじっくり行っています。
このしっかりとした心身の準備を基に、常に箱根駅伝予選会突破を基準としたトレーニングとそれを消化しうるメンバーの選抜を行っていきたいと思います。そのためにはチーム全体で箱根駅伝予選会突破という目標を決してブラさずに共有し続けていくことが重要だと考えます。その気持ちを持ち続けて強化、調整に取り組み、前半試合期で身に付けた5000mの力をハーフマラソンへ昇華し、やり残したことがなく予選会のスタートにつくことができれば目標達成の可能性は大きく高まるはずです。
学生たちはこれから、大学での陸上競技生活において最大の鍛錬期に向かっていきます。簡単に手に入らない目標を達成するために費やす最大の努力の時間は大学で競技スポーツに取り組む最大の価値であり、社会に出たときに必ず自身の武器になるものだと信じています。
この学生たちにとって有意義な時間をより良いものにするために、変わらぬご声援、ご支援宜しくお願いするとともに、前半試合期の活動報告にかえさせていただきます。