みなさん、こんにちは!男子駅伝監督の弘山です。近況報告をさせていただきます。
箱根駅伝予選会まで約3週間となりました。秋の気配が訪れていますが、筑波大学の学生は、夏の勢いそのままに、熱い気持ちで最後の走り込みを続けています。
現在、この夏4回目となる合宿で、最終強化トレーニングに励んでいるところです。場所は、前回同様に長野県菅平高原。準高地と適度に起伏のあるロードコース、涼しい環境で充実した練習を消化することができています。
主に、ロードでの実践的な練習を組んでいますが、学生たちは力強く走っており、心身ともにタフに(強く)なってきたことが、ハッキリとわかります。前回の報告で、「過去の練習との比較」という話をさせていただきましたが、この合宿の最初の練習で、2年前とまったく同じ練習をしました。学生から提案されてメニューに組み入れたのですが、この練習が、2年前とは比べ物にならないレベルでできたのです。チームの層が厚みを増したことを実感するとともに、上位層のレベルアップもなされていることが確認できました。
このレベルが、予選会突破に通用するものかどうかはわかりませんが、確実に近づいているのは間違いないと思っています。走り込みや強化練習の期間は、自分がどのくらい強くなっているのかは、わかりにくいものです。厳しい練習の頻度が高いのですから、フレッシュな状態で練習に臨むことなどできないからです。これは、練習の組み立て方という理論(いや、持論と言うべきか)に関係することですので、チームによって違うとは思います。
私が課す練習メニューは「自分たちは、どれだけ強くなっているのか?」という問いに、練習で答えを出すことが難しい“組み方”になっています。つまり、その答えは、予選会で出ることになるので、学生は、それを信じて、あと少し頑張ってもらいます。調子を上げるのは、もう少し先でいいはずです。
チームの成長を日々感じているわけですが、それは練習タイムだけではありません。この練習においても、「ぶっちぎりのトップを取ってやろう!」と走る者、「絶対にこの記録で走ってやろう!」と攻めた走りをする者、チームメイトを気にかけ「あと少しだ!ここを乗り越えれば、最後までいける!」などと声掛けする者、など様々ですが、それぞれが、チームのために“自分が何をすべきか?”を考えつつ、同時に“自分が強くなるためにどうすべきか?”を自問自答しながら、練習に向かっていっていることがよくわかります。
はっきり言って、筑波大学は、非常に高いレベルで層が厚くなっているわけではありません。しかし、成長力があります。予選会まで残された日は少ないですが、個とチームは、さらに成長できる状態ですから、まだまだ強くなると確信しています。
それを物語るエピソードとして、合宿恒例のスピーチ。トランプでジョーカーを引いた学生が話すことになるのですが、例え、ジョーカーを引いたとしても誰も嫌な顔をしないのです。「さて、何を話してやろうか!?」という余裕さえ感じます。自分が学生だった頃、こんなこと出来たかな!?と感心させられます。しかも、話すことが、皆素晴らしい!チームのことを想って話題や言葉を選んでいるのが、よくわかります。
こんな学生と接していて、最近、よく考えます。「ポテンシャル」という言葉。この奥深い領域を個々に考えると、夜も眠れない・・なんて、ことになるのですが(笑)。
ポテンシャルと聞くと、肉体的なことを連想する方は多いと思います。しかし、そうではないことが、様々な学生と一緒に過ごすとわかってきます。私は、元々、『心技体のレベル、そして、バランス』を重視してきましたし、今もそう指導しているつもりです。それぞれに秀でる学生はいますが、高いレベルでバランスが整うことは、とても難しいことです。全てが揃えば、それはもう一流選手の仲間入りです。
その域に近づこうとしている学生はいますが、もう一歩という者がほとんどです。彼らをどう導くかが、私の役目になるわけですが、予選会に向けては、学生たち自らがレベルを引き上げているので、私の出番はあまりないような気がしています。学生と協力し合い、それぞれの心技体を現時点で最高のレベルに引き上げ、強いチームを作り上げて、予選会の戦いに挑もうと思います。
昨年は、9月末頃から数々の失敗がありました。私の未熟さが露呈したと思っています。その教訓を今年は、何としても活かして予選突破を成し遂げたいと思っていますが、そのためには、最後の強化を学生たちが乗り越えることが条件となります。
残り3週間、精一杯頑張りますので、引き続き、応援をよろしくお願い致します!