新年度のシーズンが開幕。第27回金栗記念選抜陸上中長距離大会(熊本)に小林航央(4)が出場し優勝。つくばでは、2018年第1回 筑波大学競技会が4月7・8日の二日間で開催され、多くの学生が1500mと5000mの2種目に出場。長距離パートでは、春季強化期間の最終タイムトライアルとしながら、活気に満ちた走りを見せ、チーム全体として好調なスタートを切った。
<4月7日 金栗記念 選抜陸上>
日本グランプリシリーズの開幕戦となる金栗記念選抜陸上は、1912年のストックホルム五輪で日本人初のオリンピック選手となり、「日本マラソンの父」と言われた金栗四三氏を称えて、出身地の熊本で行われる中距離・長距離種目の大会。そんな伝統ある大会に、小林が男子1500mに出場した。
この日の熊本地方は気温が低く、強風が吹く厳しいコンディションとなった。レースは案の定、スローペースで展開された。集団は密集し、小林は勝負どころでもポケットされて万事休すかと思われたが、持ち前の勝負根性を発揮し、残り250mで先頭に躍り出ると、そのままトップを譲らずに今季初戦を見事な優勝で飾った。小林は昨年度の日本ランキングトップの記録(3分41秒)を有する。タイムは、3分50秒93と平凡だが、勝負にこだわったレースでしっかりと勝てたことに、自身でも成長が確認できたようだ。
今大会を皮切りに、今後も日本グランプリシリーズに参戦しながら、3分40秒突破やインカレ優勝、日本選手権優勝を目指していくことになる。それら目標を達成するためには、スピード持続力やスピードのギヤチェンジなど、高いレベルでさらに磨きをかけていかなければならない。その先に見据えるのは、もちろん日本記録の更新。今季の小林の走りに注目していただきたい。
小林のコメント
「気温が低く、風も強かったのでタイムは狙えないと思い、勝負にこだわりました。ラスト250mで飛び出し、そのまま1位でゴールしました。筑波大の大先輩である金栗四三さんの記念大会で優勝でき、後輩としてとても嬉しく思います。シーズン初戦を良いかたちで始動でき、この勢いを次の大会にも繋げていきます。応援ありがとうございました。」
一方の筑波大学競技会。チームとしては、とくに、この競技会を目標にしてきたわけではないが、今年を占う重要な意味を成す競技会にしたかった。
それは、相模原クロスカントリー大会後から、この1ヶ月間、春シーズン前の最大強化練習をこなしてきたからだ。例年はスピードを重視している春シーズンだが、今年は異例の走り込みを実施。関東インカレへの複数人出場と入賞、その先にある全日本大学駅伝 関東予選会の出場、さらには、予選通過を目指して、練習の質も量も大幅に増強した。
競技会の週に入っても練習量を落とさない徹底した強化を敢行。学生たちは、疲労困憊でレースに臨んだはずだが、誰一人として疲労の顔は見せない集中した姿がそこにはあった。強化の最後となる最大負荷練習=タイムトライアルという位置づけのレースに、己の限界を突破すべく、学生たちは力走した。
<4月7日 筑波大1500m>
この日は、今までの春爛漫の暖かさが嘘のように冷え込んだコンディションに。しかも、強風。疲労を抱えて走る1500mには辛い条件が重なった。
持ちタイムの速い1組目、スタートと同時に村上が果敢に飛ばす。400mの通過は59秒。ペースが落ちるとすぐに才記が先頭を奪い、ペース維持を図る。しかし、才記一人が抜け出すかたちとなり、後続のペースは上がらない。才記はそのまま余裕で逃げ切るも、タイムは3分53秒台。才記の自己記録(3分46秒)から遅れること7秒。このタイム差が、学生たちのカラダと天候が厳しいコンディションであったことを物語る。
最後に猛然と追い込んだ相澤と池田が2位と3位。その他は、気象コンディションと疲労により動かない身体を必死に前に進ませていたが、目指す走りができないように見えた。ただ、皆が前向き。練習の内容と流れからは、1500mは厳しいとの自覚が走る前からあったからであろう。レース後は、翌日の5000mに、しっかり気持ちを切り替えていた。
<4月8日 筑波大5000m>
二日目の5000mの最終組、号砲と同時に相馬が前に。最初の400mの入りが66秒台とやや速い展開。これに付いたのは、藤田や才記、田川、そして、日本薬科大の選手。やや自重気味なかたちで、村上と西、相澤、金丸、尾原、河合らが続いた。1000mを2分49秒で通過すると、全体的にペースダウンしていった。疲労が蓄積された状態では「カラダの反応を確かめながら、ギリギリのラインを探りつつ」という走りになるのは仕方のないところだろう。
ペースが上がらない先頭集団を目標に第二集団がジリジリと差を詰め、最後は、双方(第一&第二集団)が入り混じってのラストスパートの争いに。先に抜け出して逃げ込みを図る西を、相澤が鮮やかなスパートを決めてゴール寸前に抜き去ってトップでゴールした。「西のロングスパート力VS相澤のラストの爆発力」は見応えのあるレースとなった。ともに自己ベスト更新。
全体を見渡すと、調子が上がらない中を積極的に走った相馬と藤田、絶対に自己新記録を出すとの意気込みを実現させた相澤と西、久しぶりに好走した金丸、初の14分台をマークした尾原、自己記録に僅かに届かなかった村上や田川、など、強化練習最終日の疲労困憊状態ということを考慮すると、十分に及第点を与えられるレース結果だっと思う。しっかりと調整すれば、それぞれが20秒以上は短縮できるはずで、今後に向けての明るい見通しの立つ競技会になった。
個の実力が高められていることが証明され、厳しい強化練習をやり切った満足感がチーム全体に広がった。この雰囲気を継続させて、この春は、チームとして大きいところを狙っていきたい。口には出さなくとも、学生の表情がそう語っているようだった。
第27回金栗記念選抜陸上 男子1500m
順位 | 氏名 | 所属 | 記録 |
---|---|---|---|
1 | 小林 | 筑波大 | 3’50″93 |
2 | 木村 | 東海大 | 3’51″06 |
3 | 廣瀬 | 大阪ガス | 3’51″21 |
4 | 冨田 | 西鉄 | 3’51″74 |
5 | 秦 | 大塚製薬 | 3’51″95 |
筑波大競技会 男子1500m1組
順位 | 氏名 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|
1 | 才記(M2) | 3’53″80 | |
2 | 相澤(理工3) | 3’56″33 | |
3 | 池田(体育3) | 3’57″67 | |
5 | 藤田(体育3) | 4’00″02 | |
6 | 相馬(体育2) | 4’00″06 | PB |
7 | 西(体育2) | 4’00″91 | |
9 | 村上(体育4) | 4’02″02 | |
11 | 猿橋(理工2) | 4’05″18 | |
12 | 吉成(D1) | 4’07″38 | |
13 | 大土手(体育2) | 4’09″32 | |
14 | 尾原(地球2) | 4’13″31 | |
15 | 持永(医学3) | 4’16″29 |
筑波大競技会 男子1500m2組
順位 | 氏名 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|
3 | 田川(医学2) | 4’05″01 | |
4 | 河合(体育1) | 4’06″21 | PB |
5 | 川瀬(医学4) | 4’07″36 | |
6 | 金丸(体育3) | 4’08″60 | PB |
7 | 齋藤(体育3) | 4’09″46 | |
8 | 山下(体育2) | 4’10″96 | |
9 | 薮下(理工1) | 4’11″01 | |
10 | 重山(体育2) | 4’11″26 | |
12 | 薛(体育3) | 4’12″71 | |
14 | 遠藤(体育4) | 4’15″54 | |
15 | 根本(体育2) | 4’15″71 |
筑波大競技会 男子5000m3組
順位 | 氏名 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|
1 | 相澤(理工3) | 14’33″58 | PB |
2 | 西(体育2) | 14’34″28 | PB |
3 | 藤田(体育3) | 14’36″42 | |
4 | 村上(体育4) | 14’38″61 | |
6 | 相馬(体育2) | 14’41″67 | |
7 | 池田(体育3) | 14’45″76 | |
8 | 金丸(体育3) | 14’45″90 | |
10 | 才記(M2) | 14’54″77 | |
11 | 尾原(地球2) | 14’55″58 | PB |
12 | 猿橋(理工2) | 14’55″61 | |
13 | 田川(医学2) | 14’57″07 | |
14 | 川瀬(医学4) | 14’57″99 | |
17 | 吉成(D1) | 15’04″56 | |
19 | 河合(体育1) | 15’19″93 | |
20 | 山下(体育2) | 15’22″85 | |
21 | 大土手(体育2) | 15’27″53 | |
22 | 重山(体育2) | 15’29″92 | |
23 | 寺澤(理工3) | 15’30″48 | |
24 | 薮下(理工1) | 15’30″75 | |
25 | 根本(体育2) | 15’33″12 | PB |
26 | 益川(理工3) | 15’53″22 | |
27 | 幟立(体育1) | 15’56″85 |
筑波大競技会 男子5000m2組
順位 | 氏名 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|
3 | 薛(体育3) | 15’29″27 | |
4 | 遠藤(体育4) | 15’32″03 | |
12 | 伊藤(理工2) | 15’41″81 | |
16 | 植田(理工3) | 15’55″11 |