筑波大学陸上競技部男子駅伝監督の木路です。
強い日差しの中、また8時30分と早い時間のスタートにもかかわらず、第103回箱根駅伝予選会に現地でのご声援、テレビ画面を通してのご声援をいただきいただき誠にありがとうございました。
そのご声援を力に学生たちはそれぞれ自分の役割を果たすべく懸命に走ってくれましたが、昨年の16位より2つ順位を落とした18位という結果に終わりました。
予選会を終えて、それぞれが冷静に強化、コンディショニング、戦略の観点から見つめ直し、チーム全体で振り返りミーティングを行いました。その結果をふまえながら駅伝監督としての総括をしたいと思います。少し長くなりますが私たちの試行錯誤しながらの取り組みをお読みください。
<強化期>
上位陣の順調なパフォーマンス発揮に比べ、中間層以下のメンバーが今一歩の感じであった前半試合期終了後、昨年度の振り返りで出た意見を踏まえて予選会の準備に入る前に、学生たちと以下の2点を確認しました。
①強化からコンディショニングの流れは出来つつある
⇒7月のつくばでの夏季強化準備+帰省期間+短いスパンでの連続合宿の流れは継続
⇒白河でのクロスカントリートレーニングの重要視
⇒3週間前のスパイクでの10000mの是非検討
②メリハリをつけたテーパリングを成功させるには、強化期での量・強度の確保が大前提
⇒朝練習及びつなぎ日のJogでのボリューム確保
⇒そのうえでポイント練習の質の維持と指標となるポイント練習の上振れを目指す
上記2点の共通理解とつくばでの準備→白河甲子高原→熊本県水上村→長野県菅平高原の流れの感触が良かったという学生の意見を踏まえ、つくばでの準備を経て白河甲子高原のチーム合宿ではクロスカントリー走と登坂走を中心とした基礎作りをしっかり行い、その後の水上村の第一次選抜合宿から菅平高原での第二次選抜合宿へボリュームを確保しながら強度をアップしていく流れで予選会に向けた強化を実施しました。
強化に関して学生からは、以下のような前向きな感想と
①3回の合宿が例年通りで、かつ白河での基礎、脚作り→水上での基礎から実践への移行→菅平での本番を見据えた実践とそれぞれの目的が明確で段階を踏んで仕上げるイメージがしやすかった。
②予選会に白河でBチームの5名が予選会エントリー、出走2名とクロスカントリー走での基礎・脚作りの効果を実感した。
③3回の合宿を100%消化出来れば予選会で戦える実感を得られた一方で、合宿前の状態が合宿の出来に直結するのでつくばでの準備期間の重要性を改めて感じた。
菅平を11日間まで伸ばし、3週間前まで伸ばしたことに関して
④今年は特に菅平の気温が低く、かつロードコースの路面が非常に悪かったため最終合宿地として要検討
また、レースペースの練習の質を落とさないように30km走に余裕を持たせたことに関しても
⑥セット練習としては適度であったが、4本中1本は速いペース設定でやっても中盤押していくイメージ作りには良かったかもしれない(昨年菅平では1時間42分台)
という検討が必要な意見をもらいました。
<コンディショニング>
コンディショニングに関しても昨年同様、チェック練習によって入りの流れに乗り遅れない準備をしつつ当日までに出来るだけ疲労を残さないよう、トレーニング頻度を落とし、一つ一つのトレーニング強度を上げるテーパリングを強調した流れで行いました。菅平からつくばでのコンディショニング期間は16名が1グループの設定でトレーニングを実施でき、学生からの「試合当日に向けて徐々に動ける感じが出てきた」、「調子が上がっていると感じやすかった」という意見や、初ハーフマラソンの2名以外の10名中7名が自己記録更新、残りの3名の川﨑以外が自己2番目の記録という結果からも実力を発揮するためのピーキングの流れは出来ていたのではないかと評価できます。
その中で、昨年度の振り返りで多くの選手の意見であった「3週間前のスパイクでの10000m記録会出場の是非」に対応すべく、菅平での第二次選抜合宿を11日間に延ばし、2週間前にトラックで10000m変化走をシューズで実施したことに関して、以下のように非常に自信となった結果を得た反面、方法(レースor変化走)場所(トラックorロード)、時期(2週間前or3週間前)など結果だけではない要因の更なる検討が必要と感じました。
<10月3日 10000m変化走(3000+5000+2000)結果>
また、授業開始等の関係でつくばでの残り2週間の調整がどうしてもトラック中心にならざるを得ない状況に関して、せっかく作った感覚をブラさないためにもロードでのレースペース、距離走を可能な限り入れられないかという意見が出ました。次年度に向けて対策を練りたいと考えます。加えて、直前の体調不良や当日のレースで予定を大きく下回った選手が出たことや、何名かピークが1週間前だったように感じたとのコメントからも、1グループでのコンディショニングの是非も再検討していきたいと考えます。
<戦略・レース展開>
戦略としては、上記のような状況から10時間38分00秒(63分38秒)をボーダーとして設定し、S、A、B、Cの4グループに分け、それぞれ自分の果たすべき役割のポジションを果たすことを目標として送り出しました。
具体的にはSの川崎、小林の2トップは個人として日本人トップを狙い、結果的に他校の留学生の貯金を潰す役割、仕上がりが良く冷静な判断の出来るAの中村には日本人トップ集団の状況を見ながら、集団が大きければトップ集団、小さければ第二集団で臨機応変に対応し、公園内に80番あたりの集団で入れるよう指示し、この3本柱で貯金を作れればと考えていました。Bは初出走の成石、畠中に経験豊富な鈴木を付け3名で100~120位の集団、Cの残り6人は3分03秒を目安に最初の10kmを慎重に、公園内に150位集団で入れるよう4年生の余村にそのコントロールを任せ、初出場組、特に1年生で初ハーフマラソンの山口のストレスを軽減できるよう準備しました。
当日、事前予報よりも日差しと風が強く、その影響からボーダーが10時間40分00秒(64分00秒)くらいまで落ちることも予想されたので、よりタイムより自分の居場所(順位)を重視するよう送り出しました。
結果的には、風の影響で駐屯地内の集団が大きかったためA(中村)、B(鈴木、畠中、成石)が少し前掛かりになり10km過ぎからの集団走に乗れなかったことが順位推移より想像できます。Sの2名とCの荻原、高久、小嶋は予定通りのイメージでレースを進められたと思いますが、両グループとも後半もう一つ前の流れに乗れていればという想いも残ります。S、Aの3名で留学生の貯金を潰しきれなかった部分が15位まで1分54秒差でありながら東京国際大、駿河台大、麗澤大にやられ順位を落とした一要因とも考えられます。
駐屯地での予想以上の消耗は、駐屯地周回コースの向かい風と追い風のペースの上がり下がりの影響が大きかったと考えられます。事前の10000mの結果からも例年ほど入りのペースに恐怖感は感じなかった一方で、その流れに敏感に対応できてしまったのではと考えます。それは学生の「タイム設定は怖くは無かったが、風の影響による駐屯地内のペースの上げ下げによって消耗し、前半の余裕が予想よりもなかった」というフィードバックからも明らかです。
一方で、「Cグループの10km通過は今回の30分20秒が最低ラインと感じたので、今の入りを最低限維持し、公園内(Last6.1975k)でペースアップできる力(前半の余力+地力)を更につけなければならない」という言葉からも来季に向けて取り組まなければならない課題抽出も出来ています。
また、「大集団での走行に慣れておらず、給水が難しかった」という一方で、「ボディメンテによる前日までのウォーターローディングをしっかりやっていれば給水がとれなくても大丈夫」というコメントから集団走の対策を講じるとともに、ボディメンテによる10日前からのウェーターローディングは継続していきたいと考えます。
上記のようなウォーターローディングやレース中使用するランニングキャップをスタートギリギリまで氷水につけて冷やしておくこと、アイススラリーや手のひら用の保冷剤の準備、など当日どのような天候になっても慌てないように事前準備を徹底してくれたサポートメンバー、そしてその対策をしっかり検討、指導してくれた運動栄養学研究室の大学院生の知見と配慮は、ギリギリの状態で勝負を挑まなければならない私たちにとって大きな武器となっています。
<総括および来年度に向けて>
結果としては昨年より2つ順位を落とした18位と、出走12名中初が2名、自己記録更新が7名と学生たちは十分力を発揮したと評価する半面、それぞれが少しずつ目標に足りず何か消化不良な結果に終わりました。
出走メンバー選考に頭を痛めるほど16名の仕上がりが良く、チーム力に大きな影響はないと考えておりましたが、10番目で考えていた選手を微熱で変更したことが、少なからず影響を及ぼしたのかもしれません。特に自分の走りに徹してもらいたかった3本柱と副主将成石に少しでも貯金をしたいという焦りを生じさせたように感じさせられました。また、試合会場で今までにない密着カメラがあったりして注目を感じることにより、急に予選会突破の現実味を実感しだし、特に下級生が失敗できないという意識から守りに入ったように見受けられました。
しかし、昨年から順位を落としたとはいえ、10位とのタイム差は7分06秒から6分50秒に、増枠による13位までとの差は4分57秒から2分27秒に、来年度の15枠までは3分21秒から1分54秒に短縮できたなど明るい材料もみられました。また日本人トップ集団に3名でレースを進めていけるなど、今年目指してきた「決して川﨑一人を孤立させない、みんなのチーム」を編成することができたと思っています。
しかし、箱根駅伝出場を目標に掲げて皆さまに応援、ご支援をいただいている以上、自分なりによく頑張った合格点という評価は無く、今回の結果は18位で予選敗退である事実を真摯に受け止めなければなりません。
学生たちが身をもって感じた「今の入りを最低限維持し、公園内(Last6.1975k)でペースアップできる力(前半の余力+地力)を更につけなければならない」、「第二次選抜合宿からコンディショニング期でどうにかなる勝負ではない」というしっかり前を見据えた想いを具現化するために以下の取り組みを進めていきます。
来年度は記念大会として全国に門戸を開き予選会通過が15校となりますので、当日の戦略は今までのように10位を狙ってのギリギリの戦略でなく少し伸びしろを残した戦略が立てられると考えられます。しかし、その前提としては箱増枠は考えることなく10位以内を目標とする強化を進めて行かなければなりません。
そのためには、今回浮き彫りとなった課題を全て解決していく取り組みが必要です。公園内10kmの対策として年間を通したトレーニングは必須であると考えられるも学内クロスカントリーコースの整備や授業があっても信号を気にせず距離走が出来る洞峰公園の使用などつくばのトレーニング環境整備を要望をあきらめずに出していきたいと思いますが、皆様のご支援も必要になるかと思います。宜しくお願い致します。
川﨑、鈴木、余村という予選会経験者が抜けた現状の10人の戦力は10時間53分44秒(65分22秒)となっています。まず3月末までに10時間40分00秒(64分00秒)を目指し1人1分30秒の成長を目指し強化に取り組んでいきます。その成長には本年の予選会経験者だけでなく、岩田、黒木、半澤、富田、宮田らの新勢力の台頭が必要であり、期待しています。
その可能性を信じて「予選会を突破し、本戦で戦うために何をすべきか」という箱根駅伝プロジェクトの芯の部分をブラすことなく、学生と共に今回の10位までの6分50秒をどう削り出すかを1年間真摯に泥臭く考え続け、来年こそ「古豪復活~Future Blueの逆襲~」、その先の「ジャイアント桐ング」を達成できるよう頑張っていきたいと思います。
今回総合20位以内に入ったことで、新春の第103回箱根駅伝学連選抜チームの1枠を獲得致しました。チームとしては今回チーム1位であった小林晴琉(体育2)を選出する予定です。しっかりと準備し、昨年の川﨑の爆走に続けるよう、最新の調整を進めていきます。ご期待ください。
新春の箱根路を駆け抜ける桐の葉にご期待いただき、学生たちの頑張りに引き続き温かいご声援、ご支援を宜しくお願い致します。































