箱根駅伝予選会を走り終え、秋のトラックレースでの自己記録の更新を目指し、質の高い練習を継続してきたメンバーが、11月16日(日)と11月29日(土)に行われた、日本体育大学長距離競技会の5000m、10000mにそれぞれ出場いたしました。今回の試合を経て、夏の練習を乗り越えて、厳しい予選会を戦い抜いた選手たちが力がついたことを証明する結果をたたき出し、チームにとっても来年度に向けて弾みのある良い試合となりました。ここでは、そんな2試合の結果を振り返ります。
(文責:2年髙久)
11/16 第324回日本体育大学長距離競技会5000m
この試合には、現在チームの主力である8名の選手が出場した。この時期の日体大記録会は、全国からハイレベルな記録を狙うランナーが多く参加するため、記録が狙いやすく、「スーパー日体大」とも呼ばれている。かくいう我々も、自己記録の大幅更新を狙い、それぞれの組でハイペースに挑戦するレースを展開した。
・第17組
この組には、期待のルーキーである畠中悠(総合1)が出場した。畠中は春からの長期離脱に苦しみ、思うようなシーズンを過ごせなかったものの、合宿シーズンから徐々に練習を積み上げ、今回の出走に至った。
畠中はスタート直後から集団のやや前方に位置し、集団の中で落ち着きながらペース変動に対応した。ペースが目まぐるしく変わるレースとなったが畠中は動じず、徐々にポジションを上げ、4000mを先頭集団で通過すると、ラストも後れを取らないスパートを見せ、14分23秒38の自己ベストで走破した。高校時の自己記録を更新することができたが、畠中は現状にまだまだ満足していない。来年の大きな飛躍に注目である。
・第18組
この組には、荻原悠生(応理2)、中村優太(体育2)、皆川和範(知シス院2)の3名が出場した。中村と荻原の2人も、畠中と同じく春シーズンは長期離脱に苦しんだが、夏合宿で力をつけ予選会出走を果たした。その勢いのままに、それぞれの目標達成のための記録を狙うレースとなった。
前の組とは打って変わって安定したハイペースを刻むレースとなり、ラスト1000mを手前に荻原と皆川が集団から遅れてしまう。しかし、序盤から先頭のそばでレースを進めていた中村は、集団のペースアップに冷静に対応し、持ち前のラストスパートで抜け出し、組3着の14分18秒97でゴールした。入学時から自己ベストを更新し続ける中村の記録は果たしてどこまで伸び続けるだろうか。
・第21組
この組には、予選会で好走をした、松浦海瑠(化学4)と小林晴琉(体育1)の2名が出場した。松浦は予選会を終えて、今年度で競技は一区切りとなるが、予選会後の勢いのまま学群生最後の記録更新を狙う。小林は入学して早々から力のある走りで、チームには欠かせない存在となったが、入学後は更新できていない5000mの自己記録更新を目標としていた。
日体大記録会も夜の時間帯に差し掛かったこの組は、序盤から14分切りを狙うようなハイペースで進んだ。2人はともに集団のやや後方につけてレースを展開した。2000mを5分40秒ほどで通過すると、集団のペースがさらに上がり、縦長の展開となったところで、松浦が先頭集団からこぼれてしまうが、小林は負けじと食らいついていき、徐々にポジションを上げていった。ラスト1000mとなったところで先頭からは離されてしまったが、ハイペースを淡々と刻み、14分07秒55で自己記録を約12秒更新した。来年の13分台に期待したい。松浦も終盤は粘りの走りを見せ、14:23.78のサードベストでまとめ上げてみせた。
・第22組
この組には、小山洋生(体育4)が出場した。小山洋はこの1年間、主将兼エースとして躍動し続けていたが、春シーズンに達成できずにいた5000m13分台を達成すべく、今回の記録会に挑んだ。
高校生や実業団の強力な選手も含めた、かなりハイレベルなメンバーの中でのレースとなり、スタートしてからも徐々に集団のペースが上がっていくタフなレース展開となった。そんな中でも小山洋は、スタート直後は集団後方に位置するも、1000m~2000mで集団やや前方へとポジションを上げ、戦闘が常に見える位置でレースを展開した。小山洋はそのまま4000mを11分17秒ほどで通過すると、ラスト1周は60秒を切るペースで数人をかわし、組5着の13分58秒59で念願の13分台を達成した。「トラックレースは苦手です」と言うほど、スピードに課題があった小山洋のこのラストスパートは、この1年間、常に自分と向き合ってきた努力の賜物であるといえるだろう。
・第23組
この組には、絶好調を維持している川﨑颯(体育3)が出場した。予選会を終え、関東学生連合チームへの選出が決まっていた川﨑にとってこのトラックレース2連戦は、関東学生連合チーム内でのメンバー争いがかかった、非常に重要なものであった。
最終組ということもあり、今までより一段と速いペースを刻むレースになったが、今の川﨑にとって記録を狙う上でちょうど良いペースとなった。スタート直後は集団の真ん中あたりにつけると、1000mを通過し始めてから徐々にポジションを上げ、4000mを手前に先頭に躍り出る。4000mを11分07秒ほどで通過すると、そこからは先頭を走り続ける圧巻のレースを見せつけた。ラストは実業団の選手に躱されてしまったものの、川﨑は組2着の13分42秒99でゴールし、昨年度、金子佑太朗(OB)が樹立した筑波大記録を更新する走りを見せた。新チームの絶対的エースとして申し分ない結果を残した。
このレースで、川﨑の筑波大記録更新を始め、それぞれのメンバーが力がついていることを実感する結果を残してくれた。この走りを踏まえて、チームは2週間後の10000mでの大幅記録更新へ向けて練習を続けた。
【リザルト表】
| 組 | 着 | 氏名 | 所属 | 記録 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 17 | 6 | 畠中悠 | 総合1 | 14:23.88 | PB |
| 18 | 3 | 中村優太 | 体育2 | 14:18:97 | PB |
| 20 | 皆川和範 | 知シス院2 | 14:34.63 | ||
| 25 | 荻原悠生 | 応理2 | 14:41.07 | ||
| 伊佐昂大 | 体育3 | DNS | |||
| 21 | 8 | 小林晴琉 | 体育1 | 14:07.55 | PB、関カレB標準突破 |
| 26 | 松浦海瑠 | 化学4 | 14:23.78 | ||
| 22 | 5 | 小山洋生 | 体育4 | 13:58.59 | PB |
| 23 | 2 | 川﨑颯 | 体育3 | 13:42.99 | PB、筑波大記録 |
11/29 第325回日本体育大学長距離競技会10000m
本レースは、前回の5000mに出場したメンバーを中心とした8名の選手が出場した。迎えた10000mの当日、今回の記録会も、昨年同時期の記録会同様、目標タイムが遅めの選手たちが朝早いスタートに、目標タイムが速い選手たちが夜のスタートとなった。前半組に至っては、スタート時間が箱根予選会とほぼ同等となる選手もいる難しいコンディションの中、各々の目標達成のための覚悟を胸にスタートラインへと立った。
・第3組
この組には、5000mで自己記録を更新した畠中悠(総合1)が出場した。今回の予選会メンバーに絡むことができなかった畠中にとって、初の10000m挑戦となった。
前半は目標としていた29分台が見えるペースで進み、3000mを8分台で通過したものの、集団の細かなペースアップに対応することができず、そこからは集団に離されてしまう苦しいレース展開となった。終盤もレースを立て直すことができず、組28着の30分56秒17でゴールした。初10000mで1年生ながら30分台でまとめ上げた走りは見事なものだといえるが、畠中にとっては描いていたものとは程遠い結果となってしまった。悔しい形でのシーズン閉幕となったが、来年度はチームの主力として躍動するため、冬季練習での距離適応に意気込んでいる。畠中の快進撃はまだまだ始まったばかりである。
・第4組
この組には、前回の5000m第18組で争った荻原、中村、皆川に、髙久浩輔(体育2)を加えた4人が出場した。今年予選会を初めて経験した荻原と髙久の2年生コンビは29分台を、すでに29分台の記録を保持している中村と皆川は29分台前半を狙う。
レーススタート直後、選手同士の牽制により入りのペースが遅く、序盤は中村と皆川が最初の2000mまでを引き合った。その後は約3分ペースの大集団でレースを進める形となり、5000mを15分03秒付近で通過した。29分台を出すにはペースアップが求められる難しい場面で、6000mを過ぎたあたりから集団のペースが少しずつ上がり、髙久と皆川が遅れ始める。そんな中、集団中腹で息を潜めていた荻原が先頭までポジションを上げる。9000mまで先頭の後ろにつき27分02秒で通過すると、最後まで先頭争いを繰り広げ、組3着の29分53秒32でゴールした。前回の5000mでは悔しい思いをした荻原が、苦手としていた10000mでPBをおよそ1分更新する活躍を見せた。
また、中村も先頭からは出遅れたものの、組9着の29分59秒63で29分台に滑り込んだ。思うような走りができなかった中村だが、常に組上位で戦い記録を残すその安定感には目を見張るものがある。皆川と髙久はそれぞれ組18着、組29着と苦しい走りとなった。この結果を来年度にうまく繋げられるか。
・第8組
午前最後の組に、本チームからは小林晴琉(体育1)が出場した。予選会前に初10000mながら29分台を出した小林は、実績のある選手がいるレースでさらなる記録更新を狙う。
スタート後は集団前方で淡々とペースを刻み、余裕を持ちながら5000mを14分40秒で通過した。その後は8000mにかけて集団が少しペースを落としたところで、小林が動いた。8200m地点から単独で抜け出し、9000mを26分28秒ほどで通過すると、最後は先頭を譲る形になったものの、ラスト1周まで後ろの選手を寄せ付けない、ルーキーらしからぬ大胆な走りを見せ、組5着の29分16秒86でゴールした。予選会前の記録からさらに記録を伸ばすことに成功した。入学後から確固たる強さを見せつける小林。これからは川﨑にどれだけ食らいついていってくれるのか楽しみである。
・第11組
夕方となり、日体大記録会らしい雰囲気が増してきたこの11組目には、前回念願の13分台を記録した小山洋生(体育4)が出場した。この日が学生最後のトラックレースとなった小山は、こちらも念願となる28分台を狙っての出場となった。
レースは外国人選手がかなりのハイペースで引っ張る展開となる。小山はスタート直後は後方に位置したものの、その後は集団前方でレースを進め、5000mを14分17秒とかなりのペースで通過した。その後は先頭集団からは遅れてしまうものの、後ろの集団で粘り強くペースを刻み、8000mを23分13秒で通過すると、残り2000mはペースを上げ、28分56秒72でゴールし、見事28分台に滑り込んだ。ハーフ61分の記録を保持し、1年時から10000mで29分台前半を記録していたものの、その後のトラックの適応に苦しみ続けた小山だったが、最後のレースで有終の美を飾った。シーズン最後のレースまで、小山は主将兼エースとして背中でチームを勢いづけてくれた。小山洋がこの1年間でチームに残した功績は凄まじい。
・第12組
この組には、新年度のエース川﨑颯(体育3)が出場した。前回の5000mで大学記録を更新した川﨑は、今回の10000mでも大学記録の更新を狙った。
先ほどの組よりもやや遅い入りとなったこの組で、川﨑は序盤から先頭付近でレースを進め、7000mを20分12秒で通過すると、そこから川﨑が先頭に立ち、集団をペースアップさせた。そこからは先頭の出入りがありながらも、集団が9000mを25分52秒あたりで通過したところで、川﨑が勝負をしかけた。そこからは先頭を一度も譲らす、最後の一周は後ろを引き離す鋭いスパートを見せ、見事組1着でゴールし、28分32秒10の自己ベストを記録した。惜しくも大学記録には届かなかったが、強力な選手が出そろう中でのこの走りは、来年の大学記録更新・27分台を予感させるレースとなった。また、関東学生連合チーム内で、箱根駅伝本戦の出走権をこの期間の10000mの争っていた川﨑にとって、このタイムでのゴールは出走向けて大きな一歩となった。本戦でも勝負所で輝く走りを見せてくれることだろう。
今回のレースも、前回同様チームを勢いづける結果をそれぞれが残してくれた。来年度の箱根駅伝予選会突破に向けて、この記録を弾みにチームは冬季練習へと向かっていく。
【リザルト表】
| 組 | 着 | 氏名 | 所属 | 記録 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 3 | 28 | 畠中悠 | 総合1 | 30:56.17 | 初 |
| 4 | 3 | 荻原悠生 | 応理2 | 29:53.32 | PB、関カレHM標準突破 |
| 9 | 中村優太 | 体育2 | 29:59.63 | ||
| 18 | 皆川和範 | 知シス院2 | 30:17.57 | ||
| 29 | 髙久浩輔 | 体育2 | 30:35.76 | PB | |
| 8 | 5 | 小林晴琉 | 体育1 | 29:16.86 | PB |
| 11 | 16 | 小山洋生 | 体育4 | 28:56.72 | PB |
| 12 | 1 | 川﨑颯 | 体育3 | 28:32.10 | PB |
以下、2試合の選手コメントになります。
荻原「日頃より筑波大学へのご支援、ご声援、誠にありがとうございます。応用理工学類2年の荻原悠生です。11月16日と29日に行われた日体大記録会にて、5000mと10000mに出走いたしました。5000mは14分41秒07でした。自己記録の更新と14分30秒切りを目標に試合に臨みましたが、序盤の動きは悪くなかったものの、中盤以降のペース変動に対応しきれず、悔しい結果となりました。今季最後の試合となった10000mは29分53秒32でした。5000mでの反省点を活かし、淡々と冷静に走ることを意識した結果、自己記録を約1分更新できました。目標にしていた30分切りを達成でき、日々の練習の成果を実感できたことは大きな収穫です。一方で、他大学の選手たちとはまだ力の差があることも痛感しました。この冬季練習でしっかりと走り込み、来シーズンに一段と成長できるよう精進していきます。応援、ありがとうございました。」
小林「日頃より温かいご支援を賜り、誠にありがとうございます。体育専門学群1年の小林晴琉です。11月16日、29日に開催された日体大記録会でそれぞれ5000mと10000mに出場し、14’07”55と29’16”86という結果でした。関東インカレのB標準を切ることを目標としていたので10000mは後一歩及ばずでした。2種目とも自己ベストを更新することができたことは多少なりとも自信に繋がりましたが、レースの中で勝負をできなかった点は課題が残りました。2025年のトラックレースはこれで終わりますが、2026年は5000m13分台、10000m28分台を出し、他大学の選手と戦える実力をつけていきます。応援ありがとうございました。」
小山洋「日頃よりたくさんの応援ありがとうございます。最低限の目標であった5000m13分台、10000m28分台を出すことができ、ホッとしています。なかなか調子が上がらない中でのレースでしたが、状況に応じてうまくレースを進めることができました。これが大学最後のトラックレースとなりましたが、満足できる結果ではなかったのでさらに記録を伸ばせるよう、今後も精進していきます。」
川﨑「先日行われた第324・325回日本体育大学長距離競技会において、5000mで13分42秒99、10000mで28分32秒10と、2種目で自己記録を更新することができました。
集団を引っ張りながらレースを進めるという、これまで苦手としていた展開の中で記録を出せた点は、今回のレースで特に評価できる部分だと感じています。
一方で、学外に目を向けると『10000m27分台』という好記録が数多く生まれたシーズンでもあり、他大学との差を強く痛感しました。来シーズンは強豪選手と対等に戦えるよう、試行錯誤を重ねながら日々の練習に取り組んでいきます。応援等ありがとうございました。」

































