金丸逸樹(かなまる いつき)体育専門学群4年
2区(23.1km) 区間19位 1時間9分23秒
今年の箱根駅伝では、寒い中を沢山の方々に応援していただきました。筑波大学への声援は、どのチームにも負けないくらい熱かったと思います。そう感じるほどの熱気と気持ちが伝わってきて、感動を覚え、感激しながら走っていました。本当にありがとうございました。
箱根駅伝は全てにおいて素晴らしい大会でした。大学生活の最後の最後で、かけがえのない経験をさせてもらえたことに心から感謝し、「箱根駅伝を走って」というテーマで、僕の気持ちを記してみたいと思います。
夢にまで見た箱根駅伝への出場が迫るほどに、僕は楽しみと緊張が複雑に入り交じったような興奮が増していくような感覚がありました。こんな精神状態は、今まで味わったことのない感覚でした。責任重大な「花の2区」を任されたことと無関係ではないと思います。
チームのために責任を果たすこと、チームの目標を達成すること、自分自身にとって最初で最後の夢の舞台であること、筑波大学を応援する人がたくさんいること、様々な想いを胸に23.1kmを精一杯駆け抜けたつもりです。
結果は、1時間9分24秒の区間19位でした。僕自身が立てたレース前の目標タイムは、1時間9分30秒でしたから、なんとか目標をクリアすることができました。しかし、花の2区と呼ばれる「エース区間」において、僕の力では全く歯が立たず、他校の突出したエース達の力の前には、ただ屈するしかない悔しい結果となりました。
1区の西が区間11位と最高の順位で襷を持ってきてくれましたが、レース序盤で早々と4人に抜かれ、順位を落としてしまいました。やはり、前を追いかける圧倒的な力が僕には足りなかったため、自ら勝負を仕掛けることができませんでした。
精一杯走ったつもりですが、レースを終えてから振り返ると、後半にペースダウンを起こさないための「守りの走り」をしてしまったのではないかと思えてきました。「力ではなく、走り方(気持ち)が通用しなかった最大の敗因である」と考えると、自省の念が湧いてくるようで悔しさが増していきました。
反省すべき点を挙げればキリがありませんが、今後も箱根駅伝に挑戦していく後輩達にメッセージを送る意味でも、「箱根駅伝予選突破と本戦での戦い」を通して僕が感じたことを述べさせて頂きます。
それは「僕たち筑波大学の長距離チームは、自分達が思っている以上に強い力を持っている」ということです。全体的な結果を見れば、不甲斐ない結果に終わりましたが、1区の西の好走をはじめ、7区の杉山のハーフの自己ベストでの通過など、本番で自己ベストを出し、来年に繋がる結果が随所に表れていたと思います。
僕自身としても、単独走でありながら、10kmの通過が29分40秒と、昨年では考えられないようなタイムで通過しており(自身の成長スピードに驚きました)、他校のエースに抜かれる際にも、後半の失速という大きなリスクを考えなければ、このまま付いて行きたいという思いが心の中で溢れそうになっていたほどです。
僕自身、これまで強い緊張感の中でカラダの感覚が鋭くなっている時の直感は、大きく的外れをした時はありません。そのため、付いていけるのではないかと少しでも感じることができたという事実は、2区の上位の選手と比べても、勝負度胸が足りなかっただけで、それほど圧倒的に力がかけ離れていなかったのではないかと感じています。
そのため、僕達、筑波大学は「26年ぶりの箱根駅伝出場」という言葉に良くも悪くも踊らされていただけで、本来の力を発揮すれば、もう少し上の順位で勝負できていたはずです。喜び(予選突破と本戦出場)に浸るのは仕方ないとはいえ、勝負に対する欲をもっと前面に出すような空気を4年生として作れなかったことは悔やんでも悔やみきれません。
僕は4年生なので卒業してしまいますが、3年生中心で箱根駅伝を経験したチームは、新チームとなる2020年度、間違いなく筑波大学史上最強のチームになると思います。今大会の反省を生かし、もっともっと戦えるチームを作ってくれると信じています。
そうはいっても、単純には進まないと思います。今年は昨年とは違い、周囲の期待が大きくなり、様々な場面で大きなプレッシャーがかかると予想されるからです。しかし、チーム改革を実施し苦難を乗り越えてきた後輩たちなら、大したことではないはずです。今後は、心身ともに強い後輩達に期待しつつ、卒業生として、応援する立場に回りたいと思います。
最後に、筑波大学に入学して以来4年間、箱根駅伝復活プロジェクトに携わらせていただき、今の僕には感謝の気持ちしかありません。人として未熟で、弱い部分を多く見せてしまう時期も多々ありましたが、この4年間で成長することができたと胸を張って言えるようになりました。大学生活の全てを捧げ、勉強しながら、ひたすら箱根駅伝を目指してみて、分かったことがあります。
それは、「陸上競技に限らず一生懸命に取り組んだ経験や精神は、結果の良し悪しに関係なく、一生の宝物になる」ということ。さらに、「そこで得た仲間や思い出は、言葉で言い表せないほど素晴らしい!」ということを卒業間近の今になって、強く思い知らされています。
箱根駅伝は、人と人を繋ぐ、素晴らしい大会です。今後、その舞台を目指す筑波大学(後輩たち)をこれから一生、応援していきたいと思います。4年間ありがとうございました。