チームとして目指してきた箱根駅伝からひと段落ついた後、それぞれの目標に向かって進み始めた我がチームは、今の実力や調子を確認し、春に向けた課題の発見を目的に、多くの学生がレースに臨みました。新コロナウィルス感染拡大の影響で各種マラソン大会が開催中止となり、この冬のロードレースが実質的には終了しましたので、このタイミングで1月下旬から2月上旬に出場したロードレース大会の総括として、「香川丸亀国際ハーフマラソン」「神奈川マラソン」「勝田全国マラソン」の結果を報告させていただきます。
(担当:國井)
【第74回香川丸亀国際ハーフマラソン】
香川県丸亀市で2月2日に開催された香川丸亀国際ハーフマラソンに、川瀬(医学5)と児玉(体育3)、猿橋(理工3)、相馬(体育3)、西(体育3)の5人が出場した。5人全員が箱根駅伝に出走した選手であり、チームの主力が国内トップレベルのレースでどれだけ力が通用するかが試されるレースとなった。全員が、最初の10kmをオーバーペース覚悟で臨む意気込みを示していた。
丸亀ハーフの特徴として、アップダウンの少ないコースで実業団や箱根駅伝常連校のトップ選手が多く出場し、超高速レースになることが挙げられる。 当日の気象コンディションも良好であったために、その高速レースを体感しようと、 5人全員がゴールタイムよりも、10kmの通過タイムに重きを置くレースプランを描いていた。
これには二つの理由がある。「日本トップ選手に少しでも付いていき、その強さや走りの雰囲気を肌で感じること」と「箱根駅伝で痛感した高速レースへの対応力を磨くこと」というもの。学生たちに“挑戦しようとする心”が出現してきた気がした。
号砲が鳴りスタートすると、レースは、平均的に速めのペースで進んだ。先頭は5kmを14分14秒で通過。このペースに西が付いていくとは、さすがに予想しなかった。西の5000mのベスト記録は14分21秒であるからだ。猿橋でも手元の時計で14分25秒というハイペース(猿橋の5000mベスト記録は14分39秒)。
川瀬も5000mの自己記録(14分42秒)を上回る14分37秒で5kmを通過した。ここまでの積極性は、我がチームには今まで見られなかったように思う。「殻を破る」という行動を始めたことがわかる。
10km通過は、西がトラックの記録(29分27秒)を40秒上回る28分47秒、川瀬も1万mのベスト記録(29分54秒)を大きく上回る29分38秒だった。猿橋は7㎞からペースが落ちてしまったが、それでも29分48秒で通過している。
西は箱根駅伝でも10kmを28分48秒で通過しているが、この日も厳しいレースに耐え続け、後半の10kmも29分台でカバー。自己記録を2分以上も短縮する1時間1分分56秒でフィニッシュした。この記録は、従来の筑波大学記録(1時間3分53秒)を1分57秒も更新する素晴らしいタイム。順位も全体で30位と健闘し、実業団と学生トップランナー達と互角に走るまでに成長したことを箱根駅伝に続いて示すことになった。
川瀬も1時間3分分54秒と筑波大学記録にあと1秒と迫る好走をした。 猿橋は、10km以降でペースを落とし目標のタイムに届かず、児玉は高速レースにまったく対応できずに序盤から単独走となり満足のいく結果を出すことはできなかった。また相馬はレースの途中で脚に不安が出たため途中棄権となった。
〇西研人のコメント
「レース前の自己評価としては良くて63分切りくらいかなと考えていましたが、天候や集団に恵まれたこともあり予想以上の記録で走ることができました。例年通りハイペースに進んだレースとなりましたが箱根駅伝での高速レースの経験が活き、気後れせずに積極的に行けたことも今回の結果の大きな要因だったと思います。これからは春のトラックに向けての強化期間に入っていきます。トラック種目でも大幅な自己ベスト更新を目標にここからだという気持ちで準備していきます。」
香川丸亀国際ハーフマラソンの結果
氏名 | 所属 | タイム | 備考 |
---|---|---|---|
西 研人 | 体育3 | 61’56” | PB |
川瀬 宙夢 | 医学5 | 63’54” | PB |
猿橋 拓己 | 理工3 | 65’15” | |
児玉 朋大 | 体育3 | 67’16” | |
相馬 崇史 | 体育3 | DNF |
【第42回神奈川マラソン】
丸亀ハーフと同日の2月2日に開催された神奈川マラソンには、10kmの部に1名、ハーフマラソンの部に9名の学生がエントリー。記録狙いの丸亀ハーフ組とは違って、神奈川マラソン組は、あくまでも実践練習という位置づけで、各々の現状を把握する目的を持って臨んだ。
当日の天候は晴れで、若干の暑さや風があったものの比較的良好な気象コンディションの中でレースはスタートした。 一般10kmの部では、福谷(体育1)が出走。タイムは31分33秒で優勝したものの、自己ベストよりも40秒ほど遅れる結果となり、記録としては満足できるものではなかった。
ハーフマラソンの部では、先頭集団が序盤から3分/kmを切るペースでレースが始まった。その先頭集団に杉山(体育2)が加わり、「積極的なレースを心掛ける」と話した通りの走りを見せた。伊藤(体育2)も、その後ろの集団につき、好タイムが狙える位置でレースを進めた。 田川(医学3)と河合(体育2)は、後半のペースアップを考え、前半は無理せずに予定ペースをキープしていた。
15kmが過ぎて集団がばらけた中でも、杉山は最後まで粘り強く走り、自己ベストを2分30秒も縮める大幅な自己ベストタイムでフィニッシュした。レース後には笑顔も見られた。 その後、伊藤、田川、河合など自己ベストを更新するタイムで続々とゴールした。それぞれに課題が残るレースとなったが、節目の大会で自己記録を更新したことは良かったと思いたい。好調だった山本(理工2)が、膝痛で途中リタイアとなったことは残念だった。
ハーフマラソン初挑戦の五十嵐(体育1)と國井(体育1)を含めて、山口(医学3)や渡辺(体育3)は、練習の一環として出場しており、タイムは度外視してよいだろう。タイムこそ目標に届くものではなかったが、この経験は大きな収穫になったはずだ。 全員がこの試合に向けてピークを合わせているわけではなく、あくまで現状を確認するためのレースである。
これから本格化させる冬季練習(春のトラックシーズンへの基礎準備)では、今回のレースで得たことや反省点を踏まえて課題解決に取り組みたい。狙った大会で結果を出していくためにも今回の結果を分析し、各々の課題に向き合い、チームとしてもステップアップしていきたい。
〇杉山のコメント
「箱根駅伝である程度のタイムでレースをまとめられたこともあり、20km以上の距離に対する不安をあまり抱えることなく今回のレースに挑むことができました。中間地点を31分40秒で通過し、63分台がみえるペースで推移していたのですが後半は向かい風がきつく、それに加えほぼ単独走となってしまい、ややペースを落としてしました。大幅自己ベストはとてもうれしかったのですが、(同じ日に快走した)西さんや川瀬さんと比べるとパフォーマンス発揮度がまだまだ低いので、これからの冬季練習で自分の課題と向き合い、春のトラックレースで大飛躍を遂げられるように頑張ります!」
神奈川マラソン 10kmの成績
氏名 | 所属 | タイム | 備考 |
---|---|---|---|
福谷 颯太 | 体育1 | 31’33 |
神奈川マラソン ハーフマラソンの成績
氏名 | 所属 | タイム | 備考 |
---|---|---|---|
杉山 魁声 | 体育2 | 64’21 | PB |
伊藤 太貴 | 体育2 | 65’38 | PB |
田川 昇太 | 医学3 | 66’19 | PB |
河合 俊太朗 | 体育2 | 67’17 | PB |
山口 航平 | 医学3 | 69’02 | |
五十嵐 優汰 | 体育1 | 70’09 | 初 |
國井 辰磨 | 体育1 | 73’43 | 初 |
渡辺 珠生 | 体育3 | 74’50 | |
山本 尊仁 | 理工2 | DNF |
【第68回勝田全国マラソン】
1月26日に、茨城県ひたちなか市で開催された 『勝田全国マラソン』10kmの部に上迫(生命環境3)、岡島(人文2)、不二(人間2)、永山(体育1)の4名が出場した。4名ともが、冬季の走り込み、3月の日本学生ハーフに向けた現状確認という位置づけで臨んだ(学生ハーフは中止)。 風は少し吹いている程度だったが、曇りで気温が低い中でのレースとなった。
レースがスタートすると、永山は前方の集団でレースを進め、5kmを15分30秒程度で通過し、残りの3人は16分10秒前後で通過した。永山は後半にペースを落としてしまったが、1万mの自己ベストから遅れること5秒程度でまとめた。大きな上り坂はなかったとはいえ、緩やかなアップダウンが続くコースでトラックの自己ベストに近いタイムで走れたのは自信になっただろう。
岡島は後半のペースダウンを最小限に留め、目標としていた32分30秒で走破した。不二、上迫は後半アップダウンに苦しみながらも目標達成あるいは目標に近いタイムで走り切った。レベルは高くないが、前回大会出場者の岡島、不二、上迫の3名は前回出場時よりも大幅にタイムを縮めてゴールしたのは、自身にとっては大きな収穫。 4人とも箱根駅伝ではサポート役を務めたが、冬季練習を乗り越えてどのように成長していくのか楽しみである。
〇永山のコメント
「起伏のあるコースだったため後半はかなり苦しかったのですが、目標としていた走りをすることができました。この勢いのまま冬季練習に取り組み、箱根メンバーに追いつけるように頑張ります。応援していただきありがとうございました。」
勝田全国マラソン10kmの結果
氏名 | 所属 | タイム | 備考 |
---|---|---|---|
永山 龍吉 | 体育1 | 31’36” | |
岡島 広周 | 人文2 | 32’30” | |
不二 黎人 | 障害2 | 32’52” | |
上迫 彬岳 | 地球3 | 32’58” |
今回のレースを通して、大きな手応えを掴んだ者、課題が明らかになった者がそれぞれいる。春のトラックレースで記録を更新すること、そして箱根駅伝予選会に繋げるためにも、これからの1ヶ月半は基礎(スピード)強化に励んでいきます。個人もチームも飛躍するために、皆で切磋琢磨して頑張っていきたいと思います。