第185回松戸市陸上競技記録会は、12月23日に千葉県松戸市運動公園で開催され、関東学生連合チームで箱根駅伝出場が内定している相馬崇史ら6名の筑波大生が1万メートルに出場した。最終組に出場した相馬は、終始無理することなく29分32秒をマークし箱根駅伝に向けて好感触を掴み、3名の学生が自己新記録をマークし1万メートルのチーム平均タイムを引き上げた。
先月11月25日に開催された関東学連1万m記録挑戦競技会で箱根駅伝出場の内定を得てから、相馬は、強化練習をびっしりと積んできた。全ての練習で圧倒的な強さを見せるまでに成長する1年生に、チームメイトは底知れぬ可能性を感じるほどだ。現在、大学の競技場が改修工事で使用できないために、この松戸市記録会を調整練習に充てることを選択した。最後の強化練習という位置づけであるから、当然、この記録会に向けて練習量は一切落としていない。レース前には、弘山駅伝監督から「絶対に頑張るな」と釘を刺されるほど、十分過ぎる練習を積んできていた。
スタート後のペースが速く(1000m通過が2分52秒)、オーバーワークが心配されたが、そんな心配は杞憂に終わる。蓋を開けてみれば、仕上がりの良さが見て取れる“圧巻のペース走”を相馬は披露。2000m以降、3分を切るペースで淡々と走り切り、どんどん順位を上げて3位でゴール。ゴールでは、笑顔さえ浮かべる余裕が残っていた(自己ベストまで4秒に迫るタイムでも)。
仲間から「最後上げたら自己ベストだったな」と言われ、「今日、自己ベストを出しても意味がないですから、知ってましたがやめておきました」と冗談交じりの会話が弾む。良い雰囲気だ。だが、本人曰く「けっこう練習してきたので、ウォーミングアップでは身体は重かったので、不安はありました。でも、このくらいのペースなら、余裕があるので」と。3分を少し切るペースは苦にならないと言わんばかり。順調と評して良いだろう。
箱根駅伝で任される予定区間は、第5区。高低差が800m以上ある厳しいコースで、往路の最終区である。責任重大だが、相馬は、ロードも上りも得意。練習の過程と出来具合、調子の良さから、克服して何ら不思議のない要素が揃ったと言える。本番での相馬の好走が、大いに楽しみになった。
他に1万mに出場した5名もしっかりと走り、チームのレベルアップを示してくれた。第2組目で出走した4人は、共に引っ張り合いながら、30分切りを目指して力走。3000mまでは、良いペースで進んでいたが、それ以降、3分を超えるペースに落ち着いてしまったのは残念。新・駅伝主将となった川瀬が必死にペースを上げようとするが、なかなか上がらない。後半になって、村上や西が先頭を引っ張るが、距離が進むほどに30分切りが難しくなっていった。
それでも、諦めるわけにはいかない。最後まで力走を続けた。残念ながら30分切りはならなかったが、川瀬(3年)は自己ベストを28秒更新する30分10秒、村上(3年)がセカンドベストの30分12秒、大土手(1年)が自己ベストを24秒更新する30分13秒、西(1年)が自己ベストを11秒更新する30分14秒で走破した。それも、それぞれが先頭に立つ積極的なレースでの結果。実力として捉えて良いだろう。
もったいなかったのは、8000m過ぎに先頭に立ってペースを一気に上げた1年の西研人。その足を見ると、片方が裸足。3000mでシューズが脱げたという。7000mにも及ぶ裸足での力走を仲間は讃えたが、「シューズを履いてたら・・・29分台は間違いなかっただろう」と悔しい気持ちしか残らない。しかし、本人はあっけらかんとした態度で、悔しさを表に出すことなく「8000mまで引っ張ってもらったので、楽でした。川瀬さん村上さん、ありがとうございました!」と。かなりの大物かもしれない(笑)。
第4組に出場した藤田は、12月初旬に5000mで14分17秒の記録をマークしており、今日こそは29分台に突入するだろうとの思いがチームにはあった。だが、レースのペースは思うように上がらず、途中で先頭を引っ張ったこともあり、29分台を出す流れに持ち込むことができなかった。30分18秒と大きく崩れなかったことは、力が付いている証拠だろうが、5000mの走力からして、辛口の評価が与えられても仕方がない。それは、本人も自覚していること。来季は、さらなる成長を遂げてもらいたい。
チームの今後が楽しみになった松戸市記録会。そして、いよいよ箱根駅伝本番!
相馬の箱根出場は、学生連合チームではあるが、11年振り(83回大会の大城先輩以来=学生連合チームで)に筑波大生が箱根路を走る価値あるものとなる。プロジェクトの進行を証明する筑波大学の存在感をアピールする走りを相馬には期待したい。「新年の始まりで相馬に勢いをもらい、2018年がチームにとって大飛躍の年になることを目指していきたい」と語る川瀬駅伝主将の想いは、相馬だけでなく、チームの皆にも届いている。
チームの想いを胸に相馬が力走します!
皆様、熱い応援をよろしくお願い致します!