第２５４回日本体育大学長距離記録会は、１１月１３日に男子５０００ｍが行われ、筑波大学からは１７名の学生が出場し、５人が自己新記録をマークした。とくに、才記壮人が１３分台に迫る１４分０３秒９９の大幅な自己新記録で組２位となった。才記の記録は筑波大学では歴代２位（歴代１位は偉大な先輩である渋谷俊浩氏の14分01秒42）。
※写真上は、１３分台に届かず悔しがる才記と森田

最終組の一つ前の第４０組には、才記と森田が１３分台を狙って出場。先頭グループは、１０００ｍ２分４６秒－２０００ｍ５分３６秒という１３分台を狙うには絶好のペースで推移し、才記も森田も余力十分に先頭集団で流れに乗っていた。ところが、その直後から１周毎のラップが、７０秒→７２秒と急激にペースダウン。誰もが先頭に立ちたくない雰囲気になってしまった。しびれを切らした森田が先頭に立ち、６６秒→６８秒とペースアップを図る。２０００ｍから３０００ｍのラップが２分５７秒では、１３分台はひじょうに厳しい状況ではあったが、“１３分台を出したい高い意欲”が森田を動かした。４０００ｍ手前で他の選手が前に出てくれたが、森田はかなりの体力を消耗。その後の急激なペースアップに対応する余力は残されていなかった。

才記は、絞られていく先頭争いに難なく対応し、１３分台を目指して残り６００ｍで渾身のスパート。４４００ｍ～４８００ｍを６３秒でカバー。ラスト１周を５９秒で走破すれば、１３分台に突入できたが、最後の直線で足が止まり、ゴール直前に交わされて２位でフィニッシュ。１４分０３秒というタイムで、とても悔しい結果となった。「最後に乳酸が溜まって足が動かなくなってしまった」と話すように、ラスト１０００ｍは２分３９秒。自身としては究極の足を使ったと言えるだろう。

森田も粘って１５位でゴール。自己記録まで５秒ほど足りない記録にとどまった。あまり感情を出さない森田が珍しく悔しさを表に出していたが、「途中のペースダウンがなければ・・引っ張ることがなければ・・という言い訳はしたくない」と。「引っ張っても１３分台で１位になる実力が足りない」と語る森田は、心身ともに確実に成長している。今後、間違いなく強くなっていくことだろう。

その他にも自己新記録をマークし成長を示した学生がいる。

高校時代のベスト記録が１５分４０秒の武田は、少しづつ記録を伸ばしてきたが、この夏の走り込みで一段と力をつけ自己記録を２０秒も更新する１４分３４秒をマークした（写真右の学生）。１年生の池田は、スタートから先頭に立つ積極的な走りをし４周ほど引っ張ったが、徐々にペースダウンし、自己記録更新はならなかった（写真左）。力はあるだけに、諸々の要素が噛み合えば、すぐに記録は付いてくるはずだ。

１年生の藤田も自己記録を４秒更新する１４分５０秒を出したが、消極的でもったいないレースだったように感じる（下の写真）。ただ、力が付いた実感があったようで、次は、より積極的な走りを期待したい。また、故障で春を棒に振った中川が、初めての１４分台を出した。藤田も中川もスピード能力が高いので、まだまだ記録を伸ばせそうである。さらに、１年生の西平も高校の記録を２１秒更新する１５分１１秒をマーク。成長著しい１年生だけに、この日のレース振りからも１４分台の声はすぐに聞こえるだろう。残念だったのが、井口。自己新記録が間違いないペースでレースを進めながら、３４００ｍ手前で接触があり足の捻挫で転倒してしまった。無念の途中棄権に本人は、悔しさを滲ませていた。

この日は自己新記録は出せなかったが、田沢や益川、赤星、植田は、２週間前に自己新記録をマークしている。他にも、出場すれば自己新記録間違いないと思われた村上や金丸は体調不良で欠場した。チームの人数は少ないが、確実にチーム力は向上している。

この後も記録会は続く。２週間後には、１万ｍの記録会が待っており、そこでは、来年の全日本大学駅伝予選会出場の可能性を高めるべく、大幅な自己記録更新を目標に掲げている。予選会の成績で意気消沈している暇など自分たちにはない。前を向いて、上を見て進んでいく！