第267回日本体育大学長距離競技会に、筑波大学の学生16人が5000mに出場し、5人が自己記録を更新した。この記録会に向けて調整はせずに臨んだ筑波大チームは、次の目標に向けた通過点のレースとして「どの程度の走り(自己ベスト更新)ができるか」を試した。それ故に、成績にバラつきが表れた格好になった。
藤田が自己記録を10秒更新する14分07秒73をマークし、関東インカレA標準記録を突破した。最終組の一つ前、第37組に出場した藤田は、並ならぬ意気込みでレースに臨んでいた。「調整しなくとも、この記録会の5000mで14分10秒を切るようでないと、今年度掲げた13分台という目標は望めない」と。
入りの1000mが2分47秒とやや速めではあったが、藤田には余裕があり、レースの前半で14分10秒切りを早々と確信したというから、練習から手応えを感じていたということだろう。
次に狙うは、筑波大生として森田佳祐(現・小森コーポレーション所属)以来となる2人目の5000m13分台。ここまで近づいた今なら、しっかり調整すれば、十分に達成可能だと思える。次回の日本体育大学長距離記録会で狙うことになる。
新駅伝主将となった池田は、土曜日に1万m / 日曜日に5000mと2日連続の出場。前日の1万mは、積極的に走ったことが裏目に出て、失速してしまったが、走り方の問題というより、練習を積んできた疲労残りという印象が強い。それを考慮して、2日目の5000mは、自重しながら後半勝負の作戦に出た。
第36組のペースも速めで推移。4000まで集団の後方で力を温存して、最後の1000mを2分43秒でカバーする走りで、14分21秒19の自己ベストを更新し、関東インカレのB標準記録も突破した。
レース後に「3000~4000mを自重し過ぎたことは反省点」と本人は口にしたが、調整なしで走ったレースで、しかも10000mとの連戦。十分に及第点の評価が与えられ、これ以上を望むのは酷と思われるが、それが駅伝主将の自覚なのかもしれない。さらなる躍進が期待できる。
西と渡辺、杉山が第35組で走り、自己新記録をマークした。1年の杉山は、14分15秒あたりを目指して、先頭集団の前の位置でレースを進めた。ハイペースにも臆せずに、積極的に走る姿勢には好感が持てる。3000mを8分33秒で通過したが3400mから失速し、余力を失ってラストスパートもかけることができず、目標には届かなかったが、それでも自己新記録をマークしたことに、明るい未来を感じる。次はいよいよ目標とするレースになる。万全の状態で臨むことができれば、大記録を打ち立てる可能性がある。
2年の西と渡辺は、調整なしで臨んだ影響で身体の重さを感じていたという。杉山とは違い第2集団でレースを進めた。西は、後半にグングンペースを上げて得意のスパート力を発揮し、7秒の自己記録更新に繋げた。
渡辺も僅かながら自己新記録をマーク。臨戦過程を考えると価値は高い。目標とする次の1万mでの快走を期待したい。
他の学生も、自己記録更新は間違いないと思われた者がほとんど。練習で最も強い相馬と金丸、成長著しい猿橋が崩れたのは、正直意外だった。実は、チームとしては、全員が自己ベストを更新できると思って臨んだ記録会であった。
ペースが噛み合わなかったことは確かだが、後半のペースダウンが顕著だったことから、その理由を分析をしなければならない。疲労が残ったと言い訳するのではなく、今回の走りを「次にどう繋げるか」が重要なところである。
練習の出来具合やチームの雰囲気からトーンダウンする必要は全くない。出場者全員が自己記録を出す手応えを持てたことは事実。調整しなくても自己ベストをマークした仲間がいることを自信にし、「次は僕が」という前向きな気持ちで進んでいってもらいたい。
写真は、来年度最上級生となる池田、藤田、金丸(右から)。この勢いでチームを引っ張っていく
第267回日本体育大学長距離競技会
5000mの結果
組 | 順位 | 氏名 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|
37 | 6 | 藤田黎士 | 14’07″73 | PB |
36 | 8 | 池田 親 | 14’21″19 | PB |
26 | 相馬崇史 | 14’40″54 | ||
32 | 金丸逸樹 | 14’48″63 | ||
35 | 12 | 西 研人 | 14’26″28 | PB |
20 | 杉山魁声 | 14’30″14 | PB | |
23 | 渡辺珠生 | 14’34″36 | PB | |
38 | 川瀬宙夢 | 14’59″18 | ||
34 | 31 | 猿橋拓己 | 14’57″99 | |
35 | 児玉朋大 | 15’17″16 | ||
31 | 12 | 齋藤零司 | 14’42″30 | |
27 | 田中蒼大 | 15’15″55 | ||
28 | 山口航平 | 15’16″09 | ||
30 | 伊藤太貴 | 15’19″02 | ||
29 | 28 | 田川昇太 | 15’36″60 | |
28 | 山本尊仁 | 15’31” |