2018年度 第7回筑波大学競技会が11月3日と4日の2日間で開催され、筑波大学 陸上競技部 長距離パートの学生が、3000mと5000mに出場した。
第95回箱根駅伝予選会に敗れた筑波大学陸上競技部長距離チームは、このタイミングで新体制に変わり、新たなスタートを切ることになる。新しい駅伝主将には、池田親(体育・3)、駅伝副主将は金丸逸樹(体育・3)が任命された。彼らを中心に、来年度の全日本大学駅伝出場と最大目標である箱根駅伝出場に向けて強固な意志を持つチームビルディングを目指していかなければならない。今回の記録会が、その始動戦である。
初日に組まれた3000mには、箱根予選会のエントリーメンバーのほとんどが出場し(藤田と相澤は研究室の活動があり欠場)、積極的なレースを展開させた。レースを先導したのは、予選会でチームトップ3となった3人。前述の強固な意志が感じられる。
池田⇒金丸⇒相馬の順番でレースを引っ張り、2分44秒⇒5分37秒のラップタイムを刻んだ。集団は、2つに分かれ、前を行くのは、池田、金丸、相馬、猿橋、杉山の5人。少し自重気味に進んだのが、西、児玉、川瀬、山口、渡辺の5人。
最初の流れが速かった(1周目が64秒)だけに思うようにペースが上がらない中、残り2周から果敢に前に出たのが1年生の杉山。もがき苦しむ先輩たちを尻目に、ペースをグングン上げて最後の1000mを2分43秒でカバーする8分21秒11。自己記録を20秒以上も短縮する快走をし、チームメイトを圧倒。素質の高さをあらためて示した。
杉山は「これから5000mの記録を狙うので、とても自信になりました。今日は身体も重く、体調が良いわけではなかったので、ここまで走れるとは思っていなかった。最後の苦しい場面で前に推進する感覚を得られたことは大きな収穫です」とレース後に語った。これからどれだけ記録を伸ばしていくのか、とても楽しみだ。
これに続いてゴールした猿橋と西、金丸、川瀬、児玉も自己ベストを更新(池田はペースメーカーのため、参考記録)。タイムは威張れるものではないが、このレースに向けて、調整など一切していない練習過程で自己ベストをマークしたことに価値は見出せる。目標とする1万m記録挑戦会(11月24日)に向けて、新体制のチームとして、幸先の良いスタートを切ったと言っていいだろう。
同日の3000mSCには、来年の関東インカレに向けて、A標準記録突破を狙って齋藤と重山が出場。1000m2分56秒という速い入りになったが、齋藤は苦しい展開を耐えて、9分03秒55の自己ベストをマーク。見事に関東インカレA標準記録を突破した。
中距離パートに所属してスピードを磨いている齋藤は、今年になって、800mと1500m、3000mSCと自己ベストを連発。この冬を越しての来年の活躍がとても楽しみになった。
2日目に組まれた5000mには、箱根予選会に出走した選手以外の学生が出場。夏の走り込みの成果を記録で表したいところだ。
新駅伝主将の池田がペースメーカーを務め、レースは400mを71秒のペースで淡々と流れた。このペースを余裕で追走して、後半にペースアップすることが自己ベストを出すために求められるわけだが、それができたのは大土手だけ。あとは、ズルズルとペースを落としながら粘るという内容に、やや不満は残る。
唯一ペースアップできた大土手は、この半年以上もの間、“股関節が抜ける”症状に悩まされ続けてきた。様々な取り組みを経て、やっと症状が改善されて臨んだレース。自己ベストには及ばなかったが、久しぶりに大土手に笑顔が戻った。期待の選手である大土手の復活は、チームにとって大きな意味があり、ここから本領を発揮して、新体制のチームの活力になってもらいたい。
その他では、大学に入り初めて14分台をマークした伊藤太貴(体育・1)、自己ベストをマークした赤星友都(理工・3)、小川慶図(M1)がいる。成長は感じるが、それぞれがタイムに満足していない。今後の記録会での奮起を期待したい。
今回、主力メンバーが3000mに出場したことには、「翌週の日体大長距離記録会に向けての練習(刺激)」と「長距離の基本となる距離を走って課題を見出すこと」の二つの目的がある。フォームと筋力、スピード持続力の現状(動きと出力)を把握して、今後の目標に向けての対策、さらには、もっと長いスパンでの課題を考え、取り組みべきトレーニングなどを整理するステップを踏む必要があるからだ。
今後の目標に向けて、どんなプロセスで進んでいくのか、それぞれの学生に分析と思考、工夫、継続の実行力が問われることになる。新チームに望むことは、その競技活動のレベルを皆で高めていく努力ということになるだろう。基本となる部分の努力を怠らない姿勢を新チームでは浸透させ、チームと個の大きな飛躍に繋げていきたい。
2018年度 第7回筑波大学競技会
3000mの結果
順位 | 氏名 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|
1 | 杉山 魁声 | 8’21″11 | PB |
2 | 猿橋 拓己 | 8’28″02 | PB |
3 | 西 研人 | 8’28″94 | PB |
4 | 相馬 崇史 | 8’31″37 | |
5 | 金丸 逸樹 | 8’34″03 | PB |
6 | 川瀬 宙夢 | 8’38″16 | PB |
7 | 児玉 朋大 | 8’39″87 | PB |
8 | 渡辺 珠生 | 8’50″99 | |
9 | 山口 航平 | 8’56″91 | |
PM | 池田 親 | 8’25″08 (参考記録) |
5000mの結果
順位 | 氏名 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|
1 | 大土手 嵩 | 14’48″27 | SB |
3 | 伊藤 太貴 | 14’58″92 | SB |
5 | 田川 昇太 | 15’06″27 | |
6 | 山本 尊仁 | 15’17″58 | |
7 | 尾原 健太 | 15’19″54 | |
8 | 赤星 友都 | 15’19″79 | PB |
9 | 小川 慶図 | 15’22″02 | PB |
10 | 三津家 貴也 | 15’29″68 | |
11 | 山下 和希 | 15’38″93 | |
12 | 岡島 広周 | 15’40″60 | |
13 | 植田 樹 | 15’43″75 | |
14 | 薮下 温司 | 15’44″67 | |
15 | 寺澤 龍之輔 | 15’46″05 | |
16 | 根本 啓介 | 15’47″85 |