『関東学生陸上競技対校選手権大会』(以下、関東インカレ)それは、大学track&fieldにおける日本最高峰の舞台のひとつです。筑波大学陸上競技部は、関東インカレ・日本インカレでの男女アベック総合優勝を目標にしており、箱根プロジェクトとしても入賞という形でチームに貢献することを目指しています。関東インカレは、標準記録突破(A標準、B標準)のうえ、最大3人まで出場することができます。突破者が複数いる場合はチーム内での選手選考を勝ち抜いた上で出場選手が決定されます。今年度は例年と異なり、ハーフマラソンのみ暑さを考慮した上で4月に焼津ハーフマラソンとの併催という形で別開催されました。
ここでは、
①5月2日〜3日、第1回筑波大学記録突破競技会(関東インカレ選手選考会)@筑波大学陸上競技場
②5月21日〜5月24日、第105回関東インカレ@カンセキスタジアムとちぎ
③別開催だった、4月5日、関東インカレハーフマラソン@静岡県・焼津
以上の結果をご報告いたします。
文責:小山陽生(体育4)
【第1回筑波大学記録突破競技会】
〈1500m〉
1500mには標準突破&3番以内を狙う渡辺大星(体育4)、荻原悠生(応理3)をはじめ、川﨑颯(体育4)、中村優太(体育3)、富田蓮大(体育3)、宮田海慈(社工2)、皆川和範(知シス院D1)の計7名が出場した。1500mはA標準が3‘50“50、B標準が3’54”00となっており、また力のある川﨑、中村が出場することからも、標準突破に向けてハイペースでレースが展開されることが予想された。先頭グループは川﨑、中村、荻原、渡辺の順、皆川、富田、宮田が後方から追いかける展開となり、当初の予想通り1周60秒を目安にハイペースでレースは進んでいった。400mは60秒、800mは2分1秒、1200mを3分2〜3秒あたりで通過し、川﨑がトップ、3分45秒台をマークした。先頭グループは前半速く入った分、中盤苦しくなった選手が多かったものの、中村が粘り切り3分52秒台、最初で最後の関東インカレを掴みにスパートを決めた渡辺が3分53秒台(標準突破!)で雪崩れ込んだ。
後ろのグループも1周62〜63秒あたりのところではまり、ラスト上がってきた富田が3分54秒台、皆川、宮田も4分切りでのゴールとなった。富田、宮田はこれが復帰レース。富田は3年目にして、これが大学デビュー戦。度重なる故障に苦しめられ、なかなかレースまで繋がってこなかったが、ポテンシャルの高さを示した。筑波大学では3年目・4年目で一気にレースでの結果に繋げてくる選手が多くいる。彼もその1人になってくれるはずである。
川﨑は5000m、中村は3000m SCで関東インカレの出場を予定しており、レースペースよりも速い刺激を入れて、順調に強化が進んでいることを確認した。そして渡辺が目標通りの標準突破、選手選考を勝ち抜き、関東インカレ代表内定となった。高校時代からスピードには自信を持っており、強みを活かし、満を持して最後のインカレに臨む。後ろでレースを展開したメンバーも予定通り、予想を上回るレースを見せた。出場7名中、6名がPB。まずは1500mから。トラックシーズンで殻を破り、予選会シーズンに繋げていく予定である。荻原は好調に練習を続けているが、中盤から耐えきれず、苦しいレースとなった。今は苦しんでいるが、彼の力はこんなものではない。
〈3000m SC〉
5月3日には3000m SCと5000mが行われた。3000m SCには、1500mに引き続き中村優太(体育3)が出場した。この時点でA標準突破者が2名おり、中村がB標準を突破している。ここでB標準以上の突破&中村に先着する選手が現れれば、中村がメンバーから外れることが考えられた。日差し・風の強いタフなコンディションでのレースとなり、前日の疲労もある中で、思うようにペースが上がらず最低限の走りではあったが、安定した走りで終始トップを走り続け、9分20秒台でゴールした。予定通り代表権を勝ち取り、関東インカレへの出場が決まった。
〈5000m〉
5000mには、西洸平(体育2)、三輪駿介(生物2)、平野悠樹(応理2)がメインで出場。復帰段階の中、1500mで快走した富田蓮大(体育3)、宮田海慈(社工2)が3000mまでPMとして出場した。メインの3人は15分30秒あたりをターゲットにして出場した。こちらもタフなコンディションであったために、かなり苦しいレースとなったが、西が15分台で踏ん張り、遅れはしたものの三輪がPBを更新する走りを見せた。平野は今シーズン波に乗れず、このレースではDNFとなったが、少しずつ練習のレベルは高まっている。3人とも入学時の記録は学年の中でも下の方であり、練習についていけないこともあったが、地道な取り組みを続けることで、全体と同じ流れで練習ができるようになり、レースにまで繋げられるようになってきた。まだ満足できる結果ではないかもしれないが、確実に力はついている。この夏、予選会に向かう流れについていけるように、トラックレースでもう1段・2段上がりたいところだ。
【関東インカレ】
今年度の関東インカレは、4月5日に静岡県・焼津にて、ハーフマラソンが一足先に別開催、5月21日〜24日にかけて、栃木県・カンセキスタジアムとちぎで開催された。ハーフマラソンには、鈴木将矢(医学5)、余村佑太朗(体育4)がエントリー。前述の通り、選考会を経て、1500mに渡辺大星(体育4)、3000m SCには中村優太(体育3)が代表に決まり、元々標準を突破、記録上位だった伊佐昂大(体育4)が3000m SCに、川﨑颯(体育4)、小林晴琉(体育2)が5000mに、計7名がエントリーされた。
【ハーフマラソン】
4月5日、例年とは異なりハーフマラソンが対校戦の幕開けを知らせることになった。暑さを考慮して1ヶ月強前倒しとなり、焼津ハーフマラソンとの併催で行われた。全体応援もなく、青桐を胸に走る対校戦としては少し寂しいものであったが、鈴木将矢(医学5)、余村佑太朗(体育4)が出場した。暑さを考慮して変更されたものの、4月にしては異例の蒸し暑さの中でレースがスタートした。鈴木は立川ハーフで本格的にレースに復帰し、入賞ラインを目標にレースを進める予定であったが、暑さの影響も大きく前半から苦しいレースとなった。先頭の大集団が1キロ3分ペースあたりを推移する中、入りの5kmが15分15秒と、前半でメインの集団からは離れてしまった。その後自分のリズムで刻みながら、集団から溢れてくる選手を拾っていった。10km通過が31分18秒(16分03秒)、15km通過が47分37秒(16分19秒)、20km通過が1時間04分07秒(16分24秒)、ゴールタイムが1時間07分36秒であった。前半から苦しい展開であったが、なんとか3分15秒あたりで我慢しながらゴールした。26位だった。
ここであえて触れておくが、鈴木は医学群・医学類の5年生。同期たちの大半はこの春卒業していったが、偉大な先輩たち(塚田萌成:26年卒、照内淳和:26年卒)の後を追って5年目もチームに残る決断をした。筑波大学らしい学生アスリートの1人であり、病院実習で多忙な日々を送りながら練習を積み重ねている。昨年の箱根駅伝予選会ではチーム7番手だった。彼がチームに残ることはとても大きな意味を持っている。現在は復帰段階というところで本領を発揮できていないが、必ずやチームの戦力になるはずだ。
一方、余村は前年の箱根駅伝予選会を終えてから長く故障が続いており、ギリギリのところでこのハーフマラソンに合わせてきた。状態は万全ではなく、復帰レースとして自分のペースで走り切ることを予定していた。そのため、前半から集団とは離れる形となった。ゴールタイムは1時間11分53秒と、目標として設定していたタイムからも遅れる苦しいレースであった。箱根駅伝予選会ではチーム5番手の快走を見せ、関東インカレハーフマラソンの標準記録も突破。今回4年目にして初めて青桐のユニフォームに袖を通した。ずっと着たかった青桐であったが、本人としては良い思い出にはならなかったようだ。しかし、この経験が彼を強くするはずである。長い距離を淡々と走ることを得意としており、今年の予選会でもチームの力になるはず。長く故障に苦しんだが、今後の復帰・活躍に期待したい。
【1日目・男子1部1500m予選】
渡辺大星(体育4)が3組目に登場。予選は全3組であり、3着+3名が決勝に進むことができる。2組までの結果から決勝進出ラインは3分51秒台前半。大幅なPB更新が求められる状況ではあったが、決勝進出を目指してスタートした。1周目は68秒あたり、かなりスローペースでの入りとなり、渡辺も余裕を持ちながら集団後方に位置付けた。このままラスト勝負になるかと思われたが、2周目に入り、60秒前後まで急激なペースアップ。ここまでは集団はほとんど一団であったが、3周目に入り集団が少しずつばらけ始める。渡辺は3周目も60秒前後で我慢したものの、鐘が鳴ってからは力尽きた様子であり、ラスト勝負には参加することができなかった。持ち前のスピードを最後に全て出したいところであったが、ハイレベルなレースの中で思い通りの走りができず、4分04秒台でのフィニッシュとなった。最初で最後の関東インカレは苦い思い出になったかもしれないが、大きな経験になったはず。元々短い距離を得意としてきた彼が、今後どこまで長い距離に適応してくるかとても楽しみである。
【3日目・男子1部3000m SC予選】
伊佐昂大(体育4)は怪我の影響で出場を回避、中村優太(体育3)が3組目に登場した。予選は全3組であり、4着+3が決勝に進むことができる。例年、決勝進出ラインが8分台になることが多い。中村としてはPBを出す必要があり、決勝進出は容易ではないが、最近明らかに強さを増していた彼は自信を持ってスタートラインに立った。同じ組には、日本選手権で表彰台経験もある早稲田大学の佐々木哲選手がおり、彼を中心にレースは展開された。1000m3分を切るペースで一団となってレースは進み、中村は集団の後方で様子を伺っていた。中盤、集団がばらけ始めたところで徐々にポジションを上げていき、決勝ラインの見える6〜8番手あたりを推移していたものの、最後まで4番手のところまでは追いつくことができず、8着・9分8秒27でのフィニッシュとなった。惜しくも決勝の舞台には届かなかった。PBにも0.2秒届かなかった。まだ3年目。来年同じ舞台でのリベンジを誓う。
【4日目・男子5000m決勝】
最終日、5000m決勝に、川﨑颯(体育4)、小林晴琉(体育3)が出場した。日本トップクラスで活躍する学生が数多く出場し、13分30秒を切るような非常にハイレベルなレースになることが予想された。今年、箱根駅伝で1区・区間3位、ハーフマラソン、3000mで筑波大学記録を更新。日本インカレ10000mでも入賞した川﨑はここでも入賞を目標にスタートラインに立った。入賞すれば日本選手権5000mの標準突破も狙える可能性が高く、これもひとつのターゲットとしていた。
一方、小林はまだ2年生であり、これが初めてのインカレの舞台。自己記録はB標準を突破した14分07秒55とランキングでは下位だったが、この冬は、川﨑の背中にぴったりと着いて練習を積み上げてきた、その成果を発揮し、レースの流れに食らいついていくことを目指していた。上手く流れに乗れれば自身初の13分台突入という期待があった。
レースは予想通り、1周66秒あたりを推移した。川﨑・小林ともに集団の後方に位置し、落ち着いたレース運びであった。縦に非常に長い集団は3000mを前にところどころ分裂していった。3000mの通過は、川﨑が8分15秒、小林が2〜3秒遅れで続いた。残り5周を過ぎ、留学生を中心とする7名ほどの先頭集団はラスト勝負に向けて振るい落としを始めた。川﨑は少しずつポジションを上げていたものの、川﨑以上にペースアップした先頭集団には追いつくことができなかった。入賞ラインが目の前に見えていた中で最後まで粘りを見せたが、惜しくも10着でのフィニッシュとなった。思い描いたレースができなかったようだが、13分49秒00と自身2番目の好記録であった。3000mを自己ベストで通過した小林は後半かなり苦しみ、初の13分台突入とはならなかったが、大舞台でPBを更新する14分06秒50をマークした。
今年はこの2人がチームを引き上げていくことは間違いない。彼らの背中を追いかけながらチームとしての底上げをしていく必要がある。
結びに、日頃より、支援者の方々をはじめ、たくさんのご支援・ご声援を賜り、誠にありがとうございます。対校戦としては、女子が総合優勝して幕を閉じました。今年も競技場で宣揚歌を歌うことができ、非常に貴重な経験ができました。男子長距離ブロックとしては、チームに点数を持ち帰ることができずに終わりましたが、レースに出場していないメンバーも補助員や応援でそれぞれの役割を果たした4日間になりました。トラックで勝負できるようになることが、箱根駅伝予選会にも大きな影響を与えると考えています。6月、7月とまだまだトラックシーズンが続いていきます。自信を持ってハーフマラソンのスタートラインに立つために、まずはトラックで個人が自己ベストの更新を実現し、夏の強化を前に1枚、2枚殻を破りにいく所存です。今後も変わらぬご支援・ご声援のほどよろしくお願いいたします。
以下選手のコメントです。
鈴木将矢(医学5)
『日頃より筑波大学を応援していただきありがとうございます。先日行われました、関東インカレハーフマラソン兼焼津ハーフマラソンにて、67分36秒で26位という結果でした。蒸し暑くタフなコンディションとなり序盤からかなり厳しい展開となり入賞とは程遠い結果にはなりましたが、予選会に向けて自分の課題が明確になったので、今回学んだことを活かしながら、予選会に向けてより一層励みたいと思います。これからも筑波大学の応援の程よろしくお願いします。』
余村佑太朗(体育4)
『怪我明けでしっかり練習が積めてない中でのレースとなり、最初から試合に参加することができず、悔しい結果となりました。関東インカレというレベルの高いレースに参加できた経験を、筑波大学の箱根駅伝出場に繋げることができるよう、この夏覚悟を持って頑張ります。』
渡辺大星(体育4)
『この度男子1500mに出場させていただきました。目標には遠く及ばず、予選落ちという結果となってしまい、大変悔いの残る大会となりました。練習への取り組み方や調整方法など、今回の反省を活かして予選会に向けて練習に励んでいきたいと思います。』
中村優太(体育3)
『先日行われた関東インカレで3000m sc 予選3組に出場し、9’08で7着、予選敗退という結果でした。まず、3年目にして関東インカレという舞台で走ることができたことを嬉しく思います。その中で自分の実力を十分に出せた結果が予選敗退でした。この結果を深く受け止めて、さらなるステージへと進めるように今後の練習も励んでいきます。応援ありがとうございました。』
川﨑颯(体育4)
『先日行われました第105回関東インカレ、男子1部5000mに出場し、13分49秒00で10着という結果でした。表彰台を目指し、春からこの一戦に賭けてきましたが思うような結果を残すことができず悔しいです。ただ、4年間を振り返ると、15分台に近かった自分が13分台で悔しがれるようになったという成長を感じられるレースでもありました。悔しさを糧に次のレースに向かっていきます。応援等ありがとうございました。』
小林晴琉(体育2)
『日頃より筑波大学へのご支援を賜り、誠にありがとうございます。先日行われました。関東インカレ男子1部5000mにおいて、14分06秒50で22位という結果でした。13分台を出し、勝負に参加することを目標としていたので、悔しさは残りますが、2年生の内にインカレの舞台を経験できたことと最低限自己ベストで走ることができたのは、次に繋がるレースにできたと思います。この経験を活かし、もう一段階レベルアップします。応援ありがとうございました。』
































